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公開日 2024.9.17更新日 2024.9.17

ジョージ5世とは? 昭和天皇にも影響を与えたイギリス国王の生い立ち、人気コインを紹介

ジョージ5世(在位1910-1936)はウィンザー朝のイギリス国王であり、さまざまな記念コインが発行されています。

第一次世界大戦など波乱の多い時代の中、ヨーロッパ諸国ではさまざまな王室が陥落することとなりましたが、ジョージ5世は国民から高い支持を得ました。

この記事では戦時中のイギリスを支えたジョージ5世の人気コインを紹介し、その生い立ちと歴史についても解説します。

この記事のポイント

・昭和天皇や日本との交流も多いジョージ5世の生い立ちと歴史を解説
・ジョージ5世の1ソボレン金貨を含むおすすめの人気コインを紹介

ジョージ5世とは ~昭和天皇とも交流があり日本とも関りがある君主~

画像引用:イギリス王室 公式サイト

まずは、ジョージ5世の家族構成について見ていきましょう。

父親 エドワード7世
母親 アレクサンドラ
王朝 ウィンザー朝
家名 ウィンザー家
子供 エドワード8世
ジョージ6世
メアリー王女
ヘンリー王子
ジョージ王子
ジョン王子

1865年にジョージ5世は、エドワード7世とアレクサンドラの次男として生を受けました。

ピースメーカーと呼ばれた国王のエドワード7世には、6人の子供がいます。

長男はアルバート・ヴィクターであり、当時ジョージ5世は王位継承を期待される立場にありませんでしたが、後に兄が肺炎で亡くなったためジョージ5世が即位することになります

ジョージ6世の子どもは6人おり、長男のエドワード8世と次男のジョージ6世が国王になりました。

また、ジョージ5世は昭和天皇が皇太子時代に訪英をした際にも歓待を受けており、ジョージ5世との交流をはじめ英国留学が君主としての在り方を学ぶ機会になったといわれています。

ジョージ5世の幼少期:次男であったことから次期国王としては期待されなかった

1865年6月3日、ウェールズ公アルバート・エドワード(エドワード7世)とウェールズ公妃アレクサンドラの間に次男として生まれました。

ジョージ5世の王位継承順位は誕生時において、父と兄のアルバート・ヴィクターの次に位置する第3位であったことから、次期国王になることは期待されていませんでした。

年の差が離れた兄弟ではなかったことから、アルバートとジョージ5世は同じ家庭教師であるジョン・ニール・ドルトンとともに学びます。

しかし、兄弟ともに学業における成績は優秀ではなく、ジョージ5世の自筆の文章には誤字が多く見られています。

1877年、父のエドワード7世は「海軍こそが男児にとっての最高の教育である」という持論を持っていたことから、父親の方針によって、海軍兵学校に入学し、教育を受けています。

ジョージ5世はわずか12歳で、デボン州ダートマスで士官候補生訓練船HMSブリタニア号に入隊しました。

航海好きで知られた青年時代と日本への訪問

ジョージ5世 航海

ジョージ5世の青年時代は世界各地を航海しており、セイラ―・キングとも呼ばれるほど航海好きとして知られています。

世界各地を訪問するジョージ5世ですが、1881年には、後に同盟国となる日本にも訪れました

ジョージ5世は京都や横浜に訪れ、狂言を鑑賞したといわれていますが、一番有名なエピソードには横浜で彫師に依頼して龍の刺青を自身の腕に入れさせたことが挙げられます。

イギリス国王に即位してからも昭和天皇の来訪を歓迎しており、日本の皇族に対して好意的な態度で接したようです。

帰国後は兄がケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに進学するのに対して、ジョージ5世は海軍に残って勤務を続けました。

メアリー王妃との結婚

1893年にメアリー王妃と結婚しますが、それまでの道のりは複雑なものでした。

ジョージ5世はマリー・オブ・エディンバラ王女に結婚を申し込んでいましたが、王女の家族がドイツとの距離が近く、マリーの母もイギリスが嫌いであったことから反対しました。

最終的にはジョージ5世の母のアレクサンドラに猛反対され、双方の家族がともに歩み寄ることが難しかったため、婚約を破棄することとなります。

そして、後に王妃となるメアリーは兄のアルバート・ヴィクターと婚約したものの、兄は式をあげる前に肺炎で亡くなりました。

ヴィクトリア女王はメアリーを王妃にしたいと考え説得をおこない、ジョージ5世はメアリーとの結婚を承諾したのです。

メアリー王妃は賢妻として知られており、国事やスピーチなどでもジョージ5世を支えました

新婚生活を始めたヨーク公時代は、両親とは異なる質素な生活を求め、趣味の狩猟と切手収集に勤しみました。

そのため、現在でもジョージ5世が熱狂的な切手収集家であったことが語り継がれています。

後のエドワード8世、ジョージ6世となる2人の子どもをはじめ、6人の子どもが生まれました。

ジョージ5世の王位継承と第一次世界大戦

1901年にヴィクトリア女王が崩御すると、父のエドワード7世が即位します。

この時点におけるジョージ5世の王位継承順位は1位であり、王太子となったことから、将来に備えて国事にも関わっていくようになります。

1910年にエドワード7世が崩御すると、ジョージ5世は王位を継承し、イギリス議会の仕組みの改善に取り組みました。

当時のイギリス議会は貴族院の横暴が目立っていましたが、国王大権を利用して貴族院の政治的権力を低下させることで議会の健全化に貢献します。

1914年には第一世界大戦によりイギリスとドイツが戦うことになりますが、ジョージ5世は祖父の出自からドイツの由来の家名でしたが、国民の感情を考えウィンザー家に改名します。

妻のメアリーと共にドイツの家名を捨て、国民のために尽くす姿から国王夫妻は多くの支持を得ることになります

ジョージ5世と昭和天皇

1921年、皇太子時代の昭和天皇が訪英し、ジョージ5世の歓待を受けています。

ジョージ5世はイギリスに立憲君主制を定着させた国王であり、ジョージ5世との交流で昭和天皇は立憲君主制について学んだといわれています。

当時は大正天皇が1918年頃から健康に不調をきたしており、その後も完全な回復に至ることはありませんでした。

この様な状況の中でイギリスの国王であるジョージ5世の言葉は、父から助言を受けられる状態になかった昭和天皇にとって父性を感じられるほど影響を与えられたのかもしれません。

実際に昭和天皇はジョージ5世のことを「父親のように感じた」と振り返っています。

この経験を元に昭和天皇は、「立憲君主であることが私の終生の考えの根本」と述べました。

昭和天皇の人柄は日本国民であればご存じであるかと思いますが、現在でも立派な君主であったと語り継がれる理由には皇太子時代にジョージ5世と言葉を交わしたことが根幹にあると考えられます。

穏やかな性格で最後まで国民を愛した国王

ジョージ5世 国王

第一次世界大戦終了後も経済の立て直しを計り、国民の税金負担を軽減するために王室費の削減までおこないました。

しかし、第一次大戦後から喫煙量の上昇と戦中の落馬事故の影響で、徐々に体調が悪化し、1936年に崩御することとなります。

ジョージ5世の性格は穏やかで真面目な人物であったと言われており、最後まで国家と国民を愛し、守り抜いた国王でした

ジョージ5世の人気コイン

それでは、実際にジョージ5世が描かれた人気のコインを5つ紹介します。

  • ジョージ5世 1ソボレン金貨 1911年
  • ジョージ5世 5ポンド金貨 1911年
  • ジョージ5世 15ルピー金貨 1918年
  • ジョージ5世 クラウン金打貨 ジョージ5世在位25年記念 レターエッヂ陽刻 1935年
  • ジョージ5世 戴冠記念金メダル 1911年

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ジョージ5世のアンティークコインはこちら

ジョージ5世 1ソボレン金貨 1911年

発行国 イギリス(ロイヤルミント)
発行年 1911年
額面 1ソボレン
グレード PR66
直径 22mm
発行枚数 30,044,000枚
状態 PF FDC

1910年に父王であるエドワード7世が崩御したことで即位したのちの1911年に、戴冠を記念して5ポンド金貨からマウンディセットまでの12枚を収めたプルーフセットとして制作されました。

ジョージ5世の肖像と聖ジョージの龍退治のデザインが裏面に描かれています。

発行枚数の多い金貨ではありますが、状態の良いコインは希少であり、高値で取引されています。

ジョージ5世  5ポンド金貨 1911年

ジョージ5世  5ポンド金貨 1911年

ジョージ5世  5ポンド金貨 1911年

 

発行国 イギリス(ロイヤルミント)
発行年 1911年
額面 5ポンド
グレード Proof AU/UNC
直径 36mm
重量 不明
品位 不明
発行枚数 2,812枚
状態 準未使用

1910年にエドワード7世が崩御したことで、ジョージ5世は即位し1911年に戴冠を記念して作られたのがこちらの5ポンド金貨です。

表面のジョージ5世の肖像画はバートラム・マッケンナル、裏面の龍と闘うジョージはベネディット・ピストリッチがデザインしました。表面はBM、裏面はBPの刻印があります。

2,812枚発行されていますが、状態によって価値が大きく変動し、こちらの金貨は状態がよいため高い価値を持ちます。

ジョージ5世 15ルピー金貨 1918年

ジョージ5世 15ルピー金貨 1918年

ジョージ5世 15ルピー金貨 1918年

発行国 インド
発行年 1918年
額面 15ルピー
グレード MS63+
直径 22mm
重量 不明
品位 不明
発行枚数 2,110,000枚
状態 未使用

ジョージ5世統治下のインドで作られた15ルピー金貨で、一般に流通していたコインになります。

このコインは発行年当時のオリジナルであり、流通用に製造されましたが、こちらは未使用でとても状態がいい金貨です。

そのため、発行枚数が多くても価値の高いコインとなっています。

ジョージ5世 クラウン金打貨 ジョージ5世在位25年記念 レターエッヂ陽刻 1935年

ジョージ5世 クラウン金打貨 ジョージ5世在位25年記念 レターエッヂ陽刻 1935年

ジョージ5世 クラウン金打貨 ジョージ5世在位25年記念 レターエッヂ陽刻 1935年

発行国 イギリス
発行年 1935年
額面 25ポンド
グレード PF63 NGC (4338478-002)
直径 不明
重量 47.83g
品位 不明
発行枚数 28枚
状態 完全未使用

ジョージ5世の在位25年を記念して、表面の肖像はバートラム・マッケンナル、裏面の竜退治デザインをパーシー・メットカルフェがアレンジしました。

コインの表と裏面にBMとPMとしてイニシャルが刻まれています。

こちらのクラウン金貨の発行枚数は28枚でしたが、内25枚を1枚25ポンドで販売予約を取ったところ、申し込みが1,329件あったため、抽選で25枚のみが販売された貴重なコインです。

ジョージ5世 戴冠記念金メダル 1911年

ジョージ5世 戴冠記念金メダル 1911年

ジョージ5世 戴冠記念金メダル 1911年

発行国 イギリス(ロイヤルミント)
発行年 1911年
額面
グレード PF UNC
直径 51mm
重量 86.3g
品位 不明
発行枚数 不明
状態 完全未使用

表面はジョージ5世、裏面はメアリー王妃の左向き肖像画が書かれた戴冠記念のメダルコインです。

左下にはバートラム・マッケンナルのイニシャルであるBMが刻印されています。

正確な発行枚数は分かりませんが、500枚以内と考えられているようです。

メダルは資産価値が低いことも多いですが、ロイヤルミントで作られ、発行枚数が少なく希少である場合はこちらの金貨のように高い価値を持つこともあります。

ジョージ5世のアンティークコインでよくある質問

最後に、ジョージ5世のアンティークコインを購入・売却・鑑定する上でよくある質問をまとめました。

  • ジョージ5世のコインはどこで購入できる?
  • 持っているジョージ5世のコインはどこで鑑定・売却できる?

それぞれ詳しく解説します。

ジョージ5世のコインはどこで購入できる?

ジョージ5世のコインは、オークションでも購入できますが、オークションは本来の価値よりも高値で落札してしまうリスクがあります

信頼できる業者から適性価格で購入するのがおすすめです。コインの取扱業者には当社の「コインライブラリー・プリンシパル」があります。

持っているジョージ5世のコインはどこで売却・鑑定できる?

ジョージ5世のコインの売却・鑑定も信頼できる業者に任せたほうがよいでしょう

コインライブラリー・プリンシパル」では他の場所で購入したコインの売却・鑑定もおこなっています。

すでに「コインライブラリー・プリンシパル」でアンティークコインを購入している方は、こちらで売却するほうがスムーズです。

まとめ

ジョージ5世の生い立ちと歴史について解説し、人気のコインを紹介しました。

青年時代は航海を通じて世界を冒険し、在位時にはイギリス議会の不平等を是正し、大戦後の経済の立て直しには王室費まで削減した常に国民のことを第一に考えた国王です。

誠実な人柄であったジョージ5世に興味を持った方は、資産価値を持つアンティークコインの保有も検討してみてはいかがでしょうか。

ジョージ5世のコインを購入・売却する

紹介したコイン

  • グレートブリテン(イギリス)

    イギリス ジョージ5世(1910-1936) 1ソボレン金貨 1911 FR-404 Spink-3996 7.99gm 917Gold PCGS PR64CAM(PF UNC+)

    SOLD OUT

    ー 円

  • グレートブリテン(イギリス)

    イギリス ジョージ5世(1910-1936) 1ソボレン金貨 1911 FR-404 Spink-3996 7.99gm 917Gold PCGS PR66 (PF FDC)

    SOLD OUT

    ー 円

この記事の著者

アンティークコイン ジャーナル編集部

英国王室シリーズから古代コインまで、幅広い年代のコインの紹介だけではなく、試鋳貨、造幣局による違い、彫刻家、リストライク、などアンティークコインの魅力や楽しめる知識をフラットに情報提供している。編集長は、英国王室コインと、動物コインシリーズが好き。

アンティークコイン ジャーナル編集部

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