1ドル銀貨はアメリカを中心に1ドルという額面で発行された銀貨ではありますが、その種類はアメリカドル以外の国で発行されたドルを含めれば膨大であり、なかには1ドル以上の価値を持つ銀貨も存在します。
ほとんどの銀貨は発行枚数が多過ぎることから付加価値がなく、記念硬貨などで1ドル以上の価値を持っていたとしても数百円から数千円に止まることも多いですが、一部の1ドル銀貨は数百万円以上の価格で取引されることもあります。
同じ1ドル銀貨であっても差が生まれる理由には、価値を決めるための基準が存在しており、特に希少性という点において優れた銀貨は高い価値を持ちやすいです。
この記事では1ドル銀貨の価値を決める基準について解説し、おすすめの1ドル銀貨と高い価値を持つ1ドル銀貨を購入・買取する方法について解説します。
1ドル銀貨について
1ドル銀貨とはその名の通り1ドルという額面で発行された銀を素材として作られ貨幣のことです。
ドルはアメリカの通貨ですが、アメリカ以外にもカナダ、オーストラリア、ニュージーランドでもドルが発行されているため、これらのドルと区別する際には、アメリカドル(米ドル)、オーストラリアドル(豪ドル)と区別します。
またアメリカドルでは1ドル硬貨のことを銀貨であればシルバー・ダラー、金貨であればゴールデン・ダラーと呼びます。
最初の1ドル銀貨は1794年に発行されたフローイングヘアーと呼ばれる銀貨であり、2013年に1000万ドルで落札されて硬貨の落札価格の最高値を記録しました。※1
こちらの1ドル銀貨は発行された1794年にしか使用されなかったことから、1ドルという額面から1000万倍の価値を持つこととなりました。
このように過去に発行された銀貨はアンティークコインとしてコレクターを中心に収集の対象になっており、1ドルという額面を意味をなさないほど価値が膨れ上がることもあります。
※1参考:ロイター通信
1ドル銀貨の価値を決める基準について
1ドル銀貨が1000万ドルの価値になるという話はインパクトがあり、気になる方も多いかと思いますが、当然のことではありますが、ほとんどの1ドル銀貨に1ドル以上の価値はありません。
しかし、額面の他に価値を見出せる基準がある銀貨に関しては1ドル以上の価値を持つことがあります。
1ドル銀貨の価値を決める基準を主に3つまとめました。
- 発行枚数・現存数などの希少性
- 硬貨の状態・純銀であるか
- エラーなどの特殊な付加価値を持つか
それぞれ詳しく見ていきましょう。
発行枚数・現存数などの希少性
1ドル銀貨は他の額面の銀貨と比較しても広く一般的に枚数も多く発行されやすいです。
流通用に発行されることからも広く行き渡るために発行されているため、普通の銀貨に1ドル以上の価値を求めることができないことが分かります。
しかし、発行された経緯により発行枚数の少ない銀貨や、歴史的な背景で現存数が少ないと考えられている銀貨は高い希少性を持ち価値が上昇しやすいです。
一番分かりやすいのは万博やオリンピックなど国を挙げて開催されたイベントにおいて、限定で販売された1ドル銀貨ですが、広く一般的に販売されて多くの人が持っている状態では価値の上昇を期待するのは難しいでしょう。
先ほど紹介した1ドル銀貨の例も1794年と200年以上前に発行された硬貨でしたが、このように発行から年月を経ており、現存枚数が少ないと考えられている銀貨は価値が上昇しやすいです。
1ドル銀貨が1ドル以上の価値を持つには高い希少性が必要であるといえます。
硬貨の状態・純銀であるか
アンティークコインなど過去に発行された1ドル銀貨の価値を決める基準には硬貨の状態が関わってきます。
特に1ドル銀貨は記念硬貨などを除いて流通用に発行されるので、過去に発行された銀貨は使われた結果、摩耗したものだけが現存しやすいです。
しかし、ほとんど使われておらず状態のいい銀貨が現存していれば、広く流通した銀貨であっても付加価値を持ちやすいといえるでしょう。
また、コインの状態に関していえばアメリカ造幣局で販売されている投資用のコインである純銀の1ドル銀貨は、含有している銀量から1ドル以上の価値を持っているといえます。
銀の価値は毎日変動するため、銀価格の上昇によって1ドル銀貨の価値が高騰することも期待可能です。
エラーなどの特殊な付加価値を持つか
最後は、発行枚数や現存枚数、純銀による価値ではない特殊な付加価値についてです。
大量に発行される銀貨には何らかの異常が発生し、正しく製造できなかったエラーコインが出ることがあります。
エラーコインは流通する前に取り除かれ、市場に出回ることがありませんが、稀にそのまま市場に流通してしまうことも。
このようなエラーコインは流通するコインとしては不良品でしかありませんが、一部のコレクターの間で高い価格で取引されています。
通常のコインと比較して刻印がずれる、デザインの角度がずれるなどの違いがあり、エラーの希少性によって価値が決まります。
例外的なケースではありますが、エラーによって価値上昇することもあるので覚えておきましょう。
銀貨の価値や銀投資について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
銀貨の投資方法は? 価値の推移と投資できる銀貨を一覧形式で紹介
おすすめの1ドル銀貨5選
ここからは実際に1ドル以上の価値を持つことがある1ドル銀貨を5つ紹介します。
希少性だけでなく、1ドル銀貨はデザインの秀逸さからコレクターから人気を集めていることが多いので、手元に置きたくなる魅力的な銀貨を見ていきましょう。
- モルガンダラー(リバティコイン) 1ドル銀貨 1921年【アメリカ】
- ピースダラー(ハクトウワシ) 1ドル銀貨 1922年【アメリカ】
- アイゼンハワー 1ドル銀貨 1972年【アメリカ】
- イーグル 自由の女神 1ドル銀貨 2018年【アメリカ】
- エリザベス2世 1ドル銀貨(オタワ鋳) 1966年【カナダ】
モルガンダラー(リバティコイン) 1ドル銀貨 1921年【アメリカ】
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1921年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 38mm |
重量 | 26g |
品位 | 銀90.0%, 銅10.0% |
モルガンダラーは、彫刻家のジョージ・T・モルガンがデザインした1ドル銀貨のことを指します。
リバティコインとも呼ばれ自由の女神の肖像とアメリカの国鳥であるハクトウワシが描かれるデザインの完成度の高くコレクターから人気のある銀貨です。
このコインは1878年~1921年まで発行されていましたが、1905年~1920年まで製造が中止されていた影響で発行枚数が少なくなっており、現在では一定の希少性を持つようになりました。
希少性を決める上で重要なのは発行年とミントマークであり、なかでもフィラデルフィアで製造されたことを示すPのマークが付いた1895年に発行された1ドル銀貨の価値が高く、数百万円で取引されたことがあります。
ピースダラー(ハクトウワシ) 1ドル銀貨 1922年【アメリカ】
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1921年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 38mm |
重量 | 26g |
品位 | 銀90.0%, 銅10.0% |
ピースダラーは、メダル意匠家のアンソニー・デ・フランシシによってデザインされた1ドル銀貨です。
アメリカ合衆国・ドイツ・オーストリアの間で平和条約が調印され、第一次世界大戦の終結を記念してピースダラーと呼ばれるようになりました。
最初の製造期間が1921年~1928年と短く、次の製造期間は1934年~1935年と非常に短い物でした。
1965年にデンバーでピースダラーが製造されたことがありますが、すべて溶解されたことにされており、流通用・コレクター用に発行されたという事実もありません。
万が一残っている場合でも、公になれば1965年製のシルバーダラー所持していること自体が法に触れる可能性が高く、価値を付けることができない幻の1ドル銀貨です。
アイゼンハワー 1ドル銀貨 1972年【アメリカ】
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1972年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 38mm |
重量 | 24g |
品位 | 400/1000 |
1971年~1978年と限定された期間で発行されたのがドワイト・D・アイゼンハワー大統領の肖像が描かれたこちらの銀貨です。
この時代から1ドル銀貨の通常貨には銀を含有しない銅とニッケルの合金が用いられるようになりました。
しかし、コレクター用に発行された1ドル銀貨には銀が含まれており、未使用の状態で1ドル以上の価値を持つ銀貨が現存しています。
イーグル 自由の女神 1ドル銀貨 2018年【アメリカ】
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 2018年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 40mm |
重量 | 31g |
品位 | 900/1000 |
1986年から発行が始まった純銀の1ドル銀貨は、アドルフ・A・ワインマンの描く自由の女神増とイーグルが描かれた大型銀貨です。
このような銀貨を地金型銀貨と呼び、額面は1ドルですが銀価格に連動して価値が上昇する仕組みとなっています。
数多く発行されているため希少性はありませんが、実質的に銀に連動する投資商品となっている1ドル銀貨です。
エリザベス2世 1ドル銀貨(オタワ鋳) 1966年【カナダ】
概要 | 内容 |
発行国 | カナダ |
発行年 | 1966年 |
額面 | 1ドル |
直径 | 36mm |
重量 | 23g |
品位 | 800/1000 |
発行枚数 | 485枚 |
カナダの首都であるオタワで作られた1ドル銀貨であり、イギリス女王のエリザベス2世が描かれています。
オタワで通貨が発行される前には、カナダの通貨はイギリスで発行されていた経緯があります。
コインの裏面には冒険航海者が描かれており、このデザインは1966年を最後に発行されなくなりました。
累計で9,912,178枚発行されたこちらの銀貨は、コインの淵にあるビーズが小さいことから他の銀貨とは異なる価値を見出しています。
ビーズの小さいタイプは485枚しか発行されておらず、高い希少性を持っていることから1ドル銀貨でも高い価値を持ちます。
1ドル銀貨を購入・買取をするおすすめの方法について
ここまでの内容を踏まえて1ドル銀貨を購入したいと思った方や、自分が持っている価値がありそうな1ドル銀貨の買取を依頼したいと考えた方もいることでしょう。
購入・買取をするおすすめの方法はコイン専門店を利用することです。
コイン専門店では、今回紹介した銀貨のように希少性の高い1ドル銀貨の売買が行えます。
今後も価値のある1ドル銀貨の価格は上昇することが予測されるため、資産運用の手段として保有するのもよいでしょう。
購入した1ドル銀貨をいつでも売却できるように買取も実施しているコイン専門店を選ぶとスムーズです。
1ドル銀貨の購入・買取ができるコイン専門店には「コインライブラリー・プリンシパル」があります。
銀貨の購入方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
銀貨のおすすめの購入先は? 種類に合わせてどこで買うべきか解説
1ドル銀貨に関するよくある質問
1ドル銀貨に関するよくある質問をまとめました。
- 1ドルの記念硬貨を持っていますが高く売れますか?
- 1ドル銀貨の購入・買取ができるコイン専門店を教えてください
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1ドルの記念硬貨を持っていますが高く売れますか?
1ドル銀貨の価値は希少性・状態・需要によって、1ドル以上の価格で売れることがあります。
オリンピックや万博などを記念して発行された記念硬貨は、他の1ドル銀貨よりも希少性があることは間違いありません。
しかし、広く一般的に購入され、多くの人が保有している記念硬貨に関しては高価買取を期待するのは難しいかもしれません。
オークションの価格がすべてではありませんが、一般的なオークションで数多く安く出品されている記念硬貨は買取に出しても高値が付きにくいです。
反対に販売や出品されているところをほとんど見かけない1ドル銀貨は高く売れる可能性があります。
1ドル銀貨の購入・買取ができるコイン専門店を教えてください
1ドル銀貨の購入・買取ができるコイン専門店には「コインライブラリー・プリンシパル」があります。
額面は1ドルであっても希少性の高い銀貨は高値が付くこともあるので、その価値を知って売却したいと考える方は買取をご相談ください。
1ドル銀貨に限らず、アンティークコインの買取はこちらのフォームからお問い合わせお願いします。
まとめ
1ドル銀貨の価値とおすすめの銀貨の種類を紹介しましたが、額面は1ドルであってもその価値は数千倍になることもあります。
入手しやすい銀貨でありながら、その種類は膨大で、付加価値が付くことがあればその価値ですら変わってしまうのが1ドル銀貨を含めたアンティークコインです。
そして、その価値の上昇は止まっておらず、今後も右肩上がりの上昇が期待されることから資産形成の手段としても注目されています。
アンティークコイン投資について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。