アンティークコインを販売店から探すにあたって、コイン(貨幣)だけでなくメダルが販売されている場合もありますが、違いがわからないという方もいることでしょう。
メダルとコインの大きな違いは用途になりますが、それ以外にも異なる点があるため、アンティークコイン・メダル投資を含めて新たにコイン・メダルの購入を検討している方は違いを理解しておきたいところです。
販売されているのはコインのほうが圧倒的に多く、様々な理由からコインのほうが人気はありますが、メダルにはコインにはない魅力がありますので、収集の選択肢に加えることをおすすめします。
この記事では、メダルとコインの違いについて、用途・価値を中心に比較し、おすすめメダルを紹介していきます。
メダルとコインの違い
メダルとコインの違いは主に3つあります。
- 製造される目的と用途が異なる
- アンティークコイン投資における価値
- 美術品として見た場合の完成度
それぞれ詳しく見ていきましょう。
製造される目的と用途が異なる
メダルは表彰・記念を目的に製造される金属製の記章であり、コインは多くの場合、流通を目的に発行される貨幣です。
メダルと同じ目的で記念を理由に発行される記念コインもありますが、メダルは通貨として使用できず、記念コインは通貨としても使用できる違いがあります。
メダルは記章、コインは貨幣であり、同じ円形で作られた金属ではありますが、製造される目的と用途が異なります。
アンティークコイン投資における価値
アンティークコイン投資は、一般的に100年以上前に発行された古く希少性の高いコインに投資することですが、投資対象にはコインだけでなくメダルが含まれます。
アンティークコイン投資を考える際に、コインとメダルの価値について理解しておくことが重要です。
まず鋳造枚数についてですが、コインとメダルではメダルのほうが表彰・記念を目的に製造される性質から数は少ないです。
そのため、希少性の高さではメダルのほうが優れている場合も多く、製造枚数が極端に少ないメダルはアンティークコイン投資の投資先として検討できるほど高い価値を持つことがあります。
しかし、現状ではコインのほうが額面においては高く評価されており、メダルは希少性に対して価値が低く評価されることが多くなっています。
メダルの種類によっては将来的にも値上がりが期待できない場合もあるため、アンティークコイン投資の投資先として検討する場合は慎重に考えたほうが良いでしょう。
一方で、希少性に対して価格が安いことからメダルは割安で放置されていると判断できるため、将来の価格上昇が期待できるメダルを選ぶならアンティークコイン投資にも適しています。
アンティークコイン投資についてはこちらの記事で紹介しています。
アンティークコイン投資とは? 初心者もわかるメリット・デメリット
美術品として見た場合の完成度
収集を目的にメダルを購入する場合、美術品として見た場合の完成度においてコインに勝ることも多くなっています。
メダルは深い彫りで、凹凸を感じさせるデザインに仕上がっていることが多いため、美術品として見栄えが良いです。
記念コインを除くコインは流通を目的に発行されるため、メダルと比較すると彫りが浅く、見栄えで劣ることもあります。
メダルは希少性やクオリティが高いにもかかわらず、コインと比較すると価格が安いことも多いため、割安で美術的価値の高い作品を入手しやすくなっています。
アンティークコインを収集目的で集めている場合は、メダルにも目を向けることで割安で魅力的な美術品を手に入れることができるため、メリットが大きいといえるでしょう。
【アンティークコイン ジャーナル編集部が選ぶ】おすすめメダル5選
メダルとコインの違いを理解したところで、実際に「コインライブラリー・プリンシパル」のアンティークコイン ジャーナル編集部が選ぶおすすめメダルを5つ紹介します。
- ブラジル ペドロ2世 万国博覧会記念金メダル 1884年 【発行枚数3枚】
- イギリス ジョージ5世 戴冠記念金メダル 1911年
- イギリス ヴィクトリア女王 ロンドン博覧会記念銀メダル 1851年
- フランス ナポレオン1世 マリー・ルイーズとの結婚記念銀メダル 1810年
- フランス 第三共和制 マーキュリー(ヘルメス)座像 フランス海外博覧会委員会銅メダル 1899年
ブラジル ペドロ2世 万国博覧会記念金メダル 1884年 【発行枚数3枚】
概要 | 内容 |
発行国 | ブラジル |
発行年 | 1884年 |
グレード | EF |
直径 | 46mm |
重量 | 85.92g |
発行枚数 | 3枚 |
状態 | 極美品 |
1884年にブラジル万国博覧会を記念してブラジルで発行されたペドロ2世の金メダルは、最も貢献した3名にのみ贈られた発行枚数3枚の限定金メダルです。
表面に描かれる肖像は、ブラジル帝国の最後の皇帝であるペドロ2世は、「ブラジル史上最高の政治家」と呼ばれるほど高く評価されています。
コインでもよく見られる左向き肖像ではありますが、コインと比較してもペドロ2世が深く彫られており、蓄えた髭の質感も伝わるメダルです。
このメダルを受け取ったのは「Mr.Thomas Driendl」と呼ばれるドイツ人の芸術家であり、メダルの裏面の中央に名前が刻印されています。
発行枚数が3枚しかない希少性の高さと金メダルでありながら、その価値は同様の希少性を持った金貨と比較すると低くなっており、アンティークコイン投資の投資先としても注目したいメダルです。
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イギリス ジョージ5世 戴冠記念金メダル 1911年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1911年 |
直径 | 51mm |
重量 | 86.3g |
発行枚数 | 500枚以内 |
状態 | Proof UNC |
イギリス国王のジョージ5世の戴冠式を記念して、ジョージ5世本人とその妻であるメアリ王妃の肖像を描いた記念金メダルです。
ジョージ5世の時代、1917年に王朝名を変更したことで現在まで続くウィンザー朝の初代君主となりました。
ロイヤルミントが発行するイギリス王室のコイン・メダルは、人気が非常に高く、メアリ王妃が描かれていることが珍しく、希少な金メダルです。
発行枚数は500枚以内と推測されており、発行枚数の少なさから希少性は高くなっています。
メダルはコインと比較すると資産価値が低いものが多いと説明しましたが、イギリスの戴冠式記念金メダルはロイヤルミントが発行していることや、アンティークコイン投資においてイギリス王室シリーズは代表的であることから高い価値を持っています。
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イギリス ヴィクトリア女王 ロンドン博覧会記念銀メダル 1851年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1851年 |
直径 | 77mm |
状態 | Proof UNC |
イギリスを代表する君主の一人であるヴィクトリア女王と夫のアルバート公の肖像を描いたロンドン博覧会記念して作られた銀メダルのリストライク品です。
世界で最初に開催された万国博覧会であるロンドン万国博覧会は、王立技芸協会会長のアルバート公が推進したものでした。
万博の成功による収入で、ヴィクトリア・アンド・アルバート・ミュージアム、科学博物館、ロイヤル・アルバート・ホールなどの文化施設が建設されました。
裏面には、座するブリタニアと、ヨーロッパ・アジア・アフリカ・アメリカの擬人像と、冠を戴く女王の姿が描かれています。
直径77mmの巨大なメダルであり、芸術作品として高い完成度を持っています。
こちらの銀メダルもロイヤルミントが発行していることから銀メダルでありながら高い価値を持っていますが、実物を見ることによって圧巻されるデザインが魅力的です。
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フランス ナポレオン1世 マリー・ルイーズとの結婚記念銀メダル 1810年
概要 | 内容 |
発行国 | フランス |
発行年 | 1810年 |
直径 | 33mm |
重量 | 28g |
状態 | EF+ |
ナポレオン1世は年齢的に嫡子の出産が難しいジョセフィーヌと離婚し、嫡子の出産を目的にオーストリアから当時18歳のマリー・ルイーズを新皇后に迎えました。
ナポレオン1世とマリー・ルイーズ、オーストリア皇帝夫妻が向き合う様子が表面に描かれています。
イギリス王室と並ぶアンティークコインの中でも人気のテーマであるナポレオンシリーズではありますが、様々な金属やデザインで発行されている性質上、希少性に対して相場は低くなっています。
しかし、ナポレオンのコインは人気が高く、ナポレオン1世が描かれたものであればすぐに売りきれることも珍しくはないため、このコインをコレクションしたい場合は購入できるタイミングで早めに決断することをおすすめします。
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フランス 第三共和制 マーキュリー(ヘルメス)座像 フランス海外博覧会委員会銅メダル 1899年
概要 | 内容 |
発行国 | フランス |
発行年 | 1899年 |
サイズ | 58.55mm |
状態 | EF+ |
ルイ・アレクサンダー・ボッテがデザインするマーキュリー(ヘルメス)座像を描く特徴的な形の銅メダルです。
フランスのメダルアートコレクションを牽引したボッテは、フランス海外博覧会委員会賞を受賞しました。
この時代のフランスは第三共和制であり、インドシナ、マダガスカル、ポリネシアなどの植民地を拡大していきました。
古くに発行された希少性の高い銅メダルではありますが、低価格で販売されており、収集を目的に購入するメダルとなっています。
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メダルとコインの違いに関するよくある質問
メダルとコインの違いに関するよくある質問をまとめました。
- アンティークコイン投資に向いているのはコインとメダルどっち?
- 希少性の高いメダルとコインを購入できる場所は?
- メダルとコインを売却するには?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アンティークコイン投資に向いているのはメダルとコインどっち?
希少性などに対して価格が高く評価されやすいのはコインであるため、アンティークコイン投資に向いているのはコインです。
一部の資産価値が認められているメダルや、価格上昇が期待できる割安な相場が形成されているものを除き、資産価値が認められていないメダルも多くなっています。
そのため、メダルは収集を目的に購入されることが多く、アンティークコイン投資用に購入されるのは一部のみです。
アンティークコイン投資のおすすめ銘柄を知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
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希少性の高いメダルとコインを購入できる場所は?
希少性の高いメダルやコインは、古くに発行されたものであれば、アンティークコイン専門店で購入できます。
メダルとコインも共通して、オークションなどに出品されることもありますが、出品者の信頼性を判断した上で取引するようにしましょう。
メダルやコインの取引に慣れていない場合は、信頼できるアンティークコイン専門店で購入するようにしてください。
メダルとコインを売却するには?
メダルやコインを手放して現金化したい場合は、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」で売却できます。
希少性が高くても価値が認められにくいメダルについても、できる限り高価格の買取をおこなっていきます。
詳しくはこちらのページからお問い合わせお願いします。
まとめ
メダルとコインの違いについて解説しましたが、アンティークコイン投資を目的にコインを選んでいる場合は、それぞれの違いを理解しておかなければ希少性の高い投資対象を購入したにもかかわらず価格上昇が期待できない可能性もあります。
一方で、メダルやコインを収集目的で集めている場合は、メダルから探したほうが低価格かつ魅力的な美術品が見つかりやすいです。
ただし、メダルにも資産価値が認められており将来的な価格上昇が期待できる商品もあり、コインにも収集価値のある魅力的な商品もあるため、最初から選択肢を狭めることなく自分に合ったメダル・コインを選んでいきましょう。
アンティークコイン・メダルを購入する方法はこちらの記事で紹介しています。