ロイヤルミント(英国王立造幣局)は、イギリスおよび世界各国の硬貨・記念貨・貴金属製品などを製造する、1100 年以上の歴史を持つ造幣機関です。
イギリスのアンティークコインをはじめ、現在のアンティークコイン市場で広く取引されているコインの多くがロイヤルミントで発行されました。
アンティークコインを代表するウナとライオン、ゴシッククラウンなどのデザインは、ロイヤルミントから生まれたものです。
この記事では、ロイヤルミント(英国王立造幣局)の歴史・代表する彫刻家を解説し、代表的なコインの価値も紹介します。
この記事のポイント
・ロイヤルミントを代表するアンティークコインの種類と価値を紹介
ロイヤルミント(英国王立造幣局)とは?

画像引用:https://historicengland.org.uk/listing/the-list/list-entry/1357516
ロイヤルミント(The Royal Mint)は、1,100年以上の歴史をもつ世界最古級の造幣局です。
現在はウェールズ南部のラントリサントに本拠を構え、英国の法定通貨である硬貨の製造を中心に、記念硬貨・投資用金貨・銀貨などの貴金属製品の製造・販売をおこなっています。
また、英国国内だけでなく世界60か国以上の硬貨やメダルを製造・輸出しており、国家の造幣局であると同時に世界有数の貴金属ブランドとしても高い評価を受けています。
ロイヤルミントは、英国王室と深い関係をもつ伝統的な機関でもあります。
イギリスの君主の肖像が刻まれる硬貨を通じて、王室の象徴性や国家アイデンティティを表現する重要な役割を担ってきました。
組織としての形態
ロイヤルミントは、かつては国の官庁組織の一部でしたが、2009年に法人化され、現在は「The Royal Mint Ltd」として運営されています。
ただし、完全な民間企業ではなく、英国財務省が100%の株式を保有する政府所有企業です。
経営上は自律性をもちつつも、国家的な使命と公共性を維持しています。
法定通貨の鋳造は、ロイヤルミントがイギリス政府と排他的契約を結んでおり、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドのすべての硬貨を唯一製造する権限を持つことが特徴です。
ロイヤルミントは、Royal Mint Museum(王立造幣博物館)を併設し、過去に発行されたコインや鋳造機器、歴史的文書を保管・展示しています。
単なる製造機関にとどまらず、貨幣文化を継承・発信する公共的機関としての側面も担っているといえるでしょう。
主な業務と役割
ロイヤルミントの中心的な役割は、イギリスおよび世界各国の硬貨やメダルを製造し、通貨制度を支えることにあります。
| 業務 | 内容 |
| 英国法定通貨の製造 | 英国内で流通する硬貨を一手に製造する |
| 海外向け造幣・輸出事業 | 世界各国の硬貨やメダルを受託製造する |
| 記念コイン・投資用コインの製造・販売 | 特別なコインの製造・販売をおこなう |
| 品質保証・制度維持 | 硬貨の純度や規格を法的に検査・保証する |
| メダル・ジュエリー制作 | 記念メダルや高級ジュエリーの製造 |
イギリス国内で流通する硬貨の鋳造は、1ペニーから2ポンドまで、すべての英国法定通貨がこのウェールズの造幣工場で生産されています。
イギリスの通貨のデザインが変更されるタイミングは新しい国王が即位したタイミングです。
新国王チャールズ3世の即位に伴い、2023年以降はエリザベス2世から国王の新しい肖像を刻んだ硬貨が登場しました。
ロイヤルミントは英国国内だけでなく、世界各国の政府や中央銀行と契約を結び、外国の硬貨や記念メダルの製造も請け負っています。
その取引国は60カ国以上におよび、世界市場での信頼性は非常に高いです。
イギリス本国の通貨製造に加えて、国際的な造幣事業を展開することで、外貨収入の確保や英国製造業の輸出拡大にも貢献しています。
このようにロイヤルミントは国家の造幣局であると同時に、世界的な貨幣製造企業としての側面も持ち合わせています。
また、同局は通貨だけでなく、記念硬貨や投資用貴金属製品の製造にも力を入れていることが特徴です。
2021年、世界で一番美しい金貨と呼ばれるウナとライオンを復刻した記念コインが発行されたことで注目を集めました。
イギリスの代表的な投資用のコインは、ブリタニア金貨・銀貨であり、地金としての信頼性とデザインの完成度から高い評価を受けています。
そのほかにも貨幣の品質保証と制度維持のための検査、造幣技術を応用したメダル制作や貴金属加工、ジュエリーブランド事業も事業として挙げられます。
製造設備と現在の技術
ロイヤルミントの製造拠点は、1968年に建設されたウェールズ・ラントリサントの造幣工場にあります。
敷地面積は約35エーカーであり、東京ドーム約3個分の面積を持つ世界最大級の造幣施設です。
年間数十億枚にのぼる硬貨やメダルがここで製造されています。
最新の金属圧延・プレス・レーザー彫刻・高精度検査機器が導入されており、硬貨の品質・耐久性・偽造防止性能を徹底的に管理しています。
最新の1ポンド硬貨には、複数金属を組み合わせたバイメタリック構造とマイクロテキスト刻印、潜像加工など、世界最高水準のセキュリティ技術が採用されました。
さらに、ロイヤルミントは環境配慮型の技術開発にも力を入れています。
2023年には、電子廃棄物から金・銀を抽出するリサイクル施設を新設しました。
ロイヤルミントには最先端の造幣技術が集まっており、世界の貨幣の中心地といえるでしょう。
ロイヤルミント(英国王立造幣局)の歴史
ロイヤルミント(英国王立造幣局)の歴史は大きく分けて以下の年表にまとめられます。
| 年度 | 内容 |
| 886年~ | アルフレッド大王による創設期 |
| 1279年~ | ロンドン塔時代 |
| 1696年~ | 近代化とアイザック・ニュートン所長 |
| 1968年~ | ロンドン塔からウェールズへ |
| 2009年~ | 法人化(The Royal Mint Ltd)後の動き |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アルフレッド大王による創設期

アルフレッド大王が鋳造した銀貨
ロイヤルミントの歴史は、イギリスがまだ統一国家になる以前、西暦886年のアルフレッド大王の時代から始まります。
イングランド南西部ウェセックス王国の王であり、バイキング勢力との戦いを経て、分裂していた小国をまとめあげ、統一王国の礎を築いた人物です。
この国家形成の過程で、貨幣制度の統一が重要な政策のひとつとして打ち出されました。
当時のイングランドでは、各地の領主や修道院が独自に硬貨を発行しており、貨幣の品質や重さが一定でないという問題が生じていました。
アルフレッド大王は、経済の混乱を防ぎ、王権の威信を示すために、王の名のもとで統一的に硬貨を鋳造する仕組みを整備します。
これが後にロイヤルミントと呼ばれる国家造幣制度の起源となりました。
当時の硬貨は主にペニー銀貨であり、表面には王の肖像と名前、裏面には鋳造都市名や造幣官の名が刻まれていました。
貨幣は単なる支払い手段ではなく、王の支配を象徴する国家の印章の意味を持ち、統治権を視覚的に示す手段でもありました。
アルフレッドの死後も、この制度は後継王たちによって受け継がれます。
鋳造所はロンドン、ウィンチェスター、ヨークなどの主要都市に置かれ、各地で同じ規格の貨幣が作られるようになりました。
ロンドン塔時代

エドワード1世の肖像
13世紀後半、エドワード1世の治世において、イギリスの造幣制度は大きな変革を迎えました。
1279年、ロイヤルミントの主要拠点がロンドン塔内に移設され、国家直轄の造幣機関として正式に整備されました。
これが近代に至るまで続くロンドン塔時代の幕開けでした。
この時代のイギリスでは、商業活動が活発化し、貨幣の需要が急増していました。
しかし同時に、偽造や、コインの縁を削って銀を抜き取る削り取りなどの不正が横行し、通貨の信頼が揺らいでいました。
これに対応するため、王室はより厳格な造幣管理と高い技術を導入する必要に迫られました。
ロンドン塔は王室の守護と管理が容易で、防御性にも優れていたため、国家の造幣拠点として理想的な場所でした。
ロンドン塔時代のロイヤルミントでは、金・銀貨の品質と重量を統一するために、精密な鋳造基準が設けられました。
14世紀から15世紀にかけては、貨幣デザインの芸術性も向上し、王の肖像や王冠の意匠がより精密に刻まれるようになりました。
ロンドン塔時代は、貨幣を通じて王権と国家の信用を守る中枢となり、英国経済の発展を支える基盤を築き上げました。
近代化とアイザック・ニュートン所長

アイザック・ニュートンの肖像
17世紀末、ロイヤルミントは大きな危機に直面していました。
再び偽造貨幣や劣化した銀貨が大量に出回り、通貨の信用が失われていたのです。
この問題に対処するために、政府は1696年、大改鋳と呼ばれる国家規模の貨幣再鋳造事業を実施しました。
そしてこの改革を主導したのが、物理学者として有名なアイザック・ニュートンです。
ニュートンは科学者としての精密な思考を貨幣制度に応用し、品質管理・偽造防止・金銀比率の見直しなど、数多くの改革をおこないました。
特に重要な改革が、重量基準の統一と鋳造技術の標準化です。
ニュートンは、すべての硬貨が同じ重量・純度を持つように管理制度を整備し、職人任せだった鋳造工程を科学的に管理しました。
偽造を防ぐために縁にギザを入れるミリング技術を推進し、硬貨の精度と信頼性を飛躍的に高めました。
イギリス通貨の安定性は格段に向上し、18世紀以降の大英帝国経済拡大の基盤となりました。
ロンドン塔からウェールズへ
20世紀半ば、ロイヤルミントは再び大きな変革期を迎えました。
長年にわたりロンドン塔で操業を続けてきましたが、第二次世界大戦後の経済成長とともに貨幣需要が急増し、旧施設での対応が困難となりました。
さらに1960年代後半には、英国通貨制度がポンド・シリング・ペンス制から十進法制度へと移行する大改革の時期でもありました。
1968年、ウェールズ南部のラントリサントに最新鋭の造幣工場を作り、1971年の十進法制度への移行に合わせて全面稼働を開始しました。
新工場は、当時の最新プレス機械や自動検査装置を備え、年間数十億枚もの硬貨を生産できる世界最大級の造幣施設となりました。
製造工程の自動化・標準化が進み、硬貨の品質・安全性が飛躍的に向上しました。
また、輸出能力の拡大により、世界各国の貨幣製造を請け負うグローバル造幣局としての地位を確立したのもこの時期です。
ウェールズへの移転は、単なる拠点の移動ではなく、近代化と国際化を果たす重要な変化でした。
法人化(The Royal Mint Ltd)後の動き
2009年、ロイヤルミントは「The Royal Mint Ltd」となり、法人化しました。
それまでロイヤルミントは政府機関として運営されていましたが、財務省が100%出資する政府所有企業として再編され、独立採算の民間型経営へと移行しました。
これにより、国の公共的役割を維持しつつも、市場競争やグローバル事業への参入が容易になりました。
法人化後、ロイヤルミントは事業の多角化を加速させます。
2017年には、Royal Mint Museumを開設し、工場見学と博物館展示を組み合わせた教育・観光施設として一般公開を開始しました。
ジュエリー分野にも進出し、2021年に創設された「886 by The Royal Mint」ブランドでは、造幣技術を応用したサステナブルな高級ジュエリーを展開しています。
2021年には、電子廃棄物から金を抽出するリサイクル技術を導入し、2023年にはe-wasteリサイクル工場をウェールズに開設。
伝統を守りつつも変革を恐れず、多面的な活動をおこなっています。
ロイヤルミント(英国王立造幣局)を代表する彫刻師
ロイヤルミントが発行する秀逸な貨幣のデザインは優秀な彫刻師によって生み出されてきました。ロイヤルミントを代表する彫刻師は以下のとおりです。
| 年度 | 彫刻師 |
| 1579-1646 | ニコラス・ブリオット |
| 1623-1665 | トマス・サイモン |
| 1705-1775 | ジョン・ギズモンド・タナー |
| 1783-1855 | ベネデット・ピストルッチ |
| 1795-1851 | ウィリアム・ワイオン |
| 1981- | ジョディ・クラーク |
| 1957- | マーティン・ジェニングス |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ニコラス・ブリオット

チャールズ1世の肖像が描かれた当時のコイン
17世紀前半に活躍したフランス出身の彫刻師・造幣技術者で、ロイヤルミントの歴史における技術革新の先駆者として知られます。
彼は1633年にチャールズ1世の招きを受けて渡英し、ロイヤルミントの主任刻印師に就任しました。
当時の英国造幣は手作業中心で品質が不安定でしたが、ブリオットはヨーロッパでいち早く普及していた機械式プレス鋳造を導入し、貨幣の均一化と偽造防止に大きく貢献しました。
制作したチャールズ1世の肖像コインや記念メダルは、当時としては異例の高精度と美しさを誇り、近代造幣の始祖と評されています。
トマス・サイモン

オリバー・クロムウェルの肖像を描いたメダル
17世紀中期に活躍したイングランド出身の刻印師で、オリバー・クロムウェルからチャールズ2世までの激動期にロイヤルミントで活躍しました。
彼は1645年に造幣局の主任刻印師に任命され、鋭い観察眼と緻密な技法で知られています。
サイモンは芸術性と技術の両面で優れ、ロイヤルミントの硬貨を芸術作品とする文化を確立した人物でした。
彼の影響は後のウィリアム・ワイオンなど19世紀の巨匠たちにも受け継がれています。
ジョン・ギズモンド・タナー

18世紀中期に活躍したドイツ生まれの彫刻師で、1741年からロイヤルミントの主任刻印師を務めました。
彼はジョージ2世とジョージ3世の時代に多くのコインデザインを手がけ、英国造幣の安定期を築いた人物として評価されています。
特にジョージ2世時代の6ペンス硬貨は、彼の名前に由来してTanner(タナー)と呼ばれるほど有名です。
彼の作品は精密さと実用性を重視し、量産に適した造形バランスを追求していました。
職人としての精度と安定性を重んじたタナーは、18世紀英国の貨幣を支えた堅実な技師として知られています。
ベネデット・ピストルッチ

19世紀初頭に活躍したイタリア生まれの彫刻家で、1815年に渡英し、その才能を認められて造幣局に招かれました。
ピストルッチの代表作は、1817年に発表された聖ジョージと竜のデザインです。
ジョージ3世時代のソブリン金貨に採用され、現在に至るまで英国を象徴するデザインとして受け継がれています。
彼の作風は古典美術の影響を受けながらも、躍動感と立体感に満ちています。
ウィリアム・ワイオン

19世紀を代表するロイヤルミントの巨匠であり、英国硬貨デザインの黄金期を築いた人物です。
1795年生まれのワイオンは、1828年にロイヤルミントの主任刻印師に就任。
彼の代表作はウナとライオン、ヴィクトリア女王の若き日の肖像であるヤングヘッドも描いています。
新古典主義の優雅さと写実性を兼ね備え、英国コイン史上最も美しいと評されます。
精密な浮き彫り技法と金属の質感表現に優れ、彫刻を工芸から芸術へと昇華させた先駆者でした。
ウィリアム・ワイオンについては以下の記事で詳しく紹介しています。
世界的に評価されるウィリアム・ワイオンの凄さは? 代表作のアンティークコインをご紹介
ジョディ・クラーク

現代ロイヤルミントを代表する若手彫刻師で、デジタル技術と伝統的造形の融合を象徴する人物です。
1981年生まれのクラークは、2012年にロイヤルミントへ入社。
2015年にはわずか33歳で、エリザベス2世の第5代公式肖像をデザインするという快挙を成し遂げました。
設計には3Dモデリングを用い、CADによるデジタル彫刻を初めて採用した点でも革新的でした。
伝統を守りつつも時代に即した表現を探求する姿勢で、現代のイギリスのコインデザインを牽引しています。
マーティン・ジェニングス

1957年生まれの彫刻家で、2022年以降のチャールズ3世即位記念コインの肖像制作者として世界的に注目されています。
公共彫刻や肖像彫刻で高い評価を得ており、詩人ジョン・ベッチェマン像など英国各地のモニュメント作品で知られる実力派です。
2022年にチャールズ3世の新肖像デザインを手がけ、王の自然な表情と品格を写実的に表現しました。
ロイヤルミントを代表するアンティークコインの種類と価値
ロイヤルミントを代表するアンティークコインの種類と価値を以下にまとめました。
- ソブリン金貨
- ウナとライオン
- ゴシッククラウン
- スリーグレイセス
- ブリタニア
- ダイアナ妃追悼記念コイン
- クイーンズビースト
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ソブリン金貨

ソブリン金貨は、英国金貨の中でも長い歴史を持つ金貨であり、発祥は、15世紀末のヘンリー7世の時代まで遡ります。
1816年の大改鋳を経て、1817年に再びソブリン金貨が復活しました。
金の含有量・信頼性ともに高く、多くの国で流通し、英国帝国時代には世界中で信頼性の高い金貨として扱われました。
ソブリン金貨は、長く発行されてきたことから種類が多く、ロイヤルミントを象徴する金貨の一つといえるでしょう。
イギリスのソブリン金貨の価値は? 発行年ごとに異なる種類もご紹介
ウナとライオン


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 1839年 |
| 額面 | 5ポンド |
| 直径 | 36mm |
| 重量 | 39.94g |
| 発行枚数 | 400枚 |
| 品位 | 916/1,000(金) |
ウナとライオン(Una and the Lion)は、1839年にウィリアム・ワイオンによってデザインされたイギリスの5ポンド金貨です。
この金貨は、ヴィクトリア女王の即位直後に発行され、女王を叙事詩『妖精の女王』のヒロイン「ウナ」として描き、そのそばに英国を象徴するライオンを配しています。
ライオンは英国の象徴であり、女王が国家を導くという意図を込めた図案です。
鋳造数は400枚とごく少数で、コレクター用であったため、市場では極めて希少な存在となっています。
コイン収集家の間では世界で最も美しい金貨と呼ばれており、アンティークコインを代表する金貨です。
2021年には、ロイヤルミントからウナとライオンを復刻させた金貨が発行されたことから、アンティークコイン市場で大きな注目を集めました。
発行枚数が限られており、人気も非常に高いことからトップクラスの価値を持つアンティークコインです。
世界で最も美しい金貨「ウナとライオン」の歴史と価値についてご紹介!
ゴシッククラウン

| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 1847年 |
| 額面 | クラウン |
| 直径 | 39mm |
| 重量 | 28.276g |
| 発行枚数 | 8,000枚 |
| 品位 | 925/1000(銀) |
| グレード | EF |
| 状態 | Proof |
ゴシッククラウン銀貨は、1847年に発行された銀貨で、デザインはウィリアム・ワイオンが手掛けています。
当時の英国では、ヴィクトリア女王による若き治世が始まり、国の象徴である硬貨デザインにも新たな意匠が求められていました。
この硬貨は、伝統的な硬貨の枠を超え、彫刻性・意匠性ともに非常に高い芸術的価値をもつものとして知られています。
ゴシックは、文字や図柄・縁の装飾などにゴシック書体・中世的意匠が取り入れられている点に由来しています。
イングランド・スコットランド・アイルランドの王冠付盾が四分割で配され、英国統合を象徴する意匠が採用されました。
人気が高く発行枚数が限られているため、高い入手難易度と価値を持つロイヤルミントを代表する銀貨です。
ゴシッククラウン銀貨とは? 世界のコレクターが愛するコインの魅力をご紹介
スリーグレイセス


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2020年 |
| 額面 | 500ポンド |
| 直径 | 50mm |
| 重量 | 156.295g(5オンス) |
| 発行枚数 | 160枚 |
| 品位 | 999/1000(金) |
スリーグレイセス金貨は、1817年にウィリアム・ワイオンが制作したコインですが、極少数の鋳造しかされなかったため、幻の金貨と呼ばれます。
ギリシャ神話に登場する3人の女神は、英国の連合王国(イングランド・スコットランド・アイルランド)を象徴しています。
デザイン・構図・芸術性が極めて高く、後世で高く評価されたロイヤルミントのコインとなりました。
現代でロイヤルミントはスリーグレイセスの人気が高いことを理由に、2020年にこのデザインの復刻金貨を発行しました。
オリジナルの1817年版は現存数がほとんどないため、博物館に展示されるほど希少な金貨です。
スリーグレイセス金貨・銀貨とは? ロイヤルミントの傑作コインに迫る!
ブリタニア

ブリタニアは、ロイヤルミントが発行する地金型コインであり、同じデザインで金貨・銀貨・プラチナコインが発行されています。
イギリスの象徴である女神ブリタニアが刻まれており、デザイン性と信用性の高さを両立しています。
2013年以降の金貨は、純度がK24に引き上げられており、金を保有する手段として魅力的です。
ロイヤルミントが発行する投資用コインであり、ブランド力の高さとデザインの秀逸さから日本でも人気を集めています。
ダイアナ妃追悼記念コイン


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 1999年 |
| 額面 | 5ポンド |
| 直径 | 36mm |
| 重量 | 39.94g |
| 発行枚数 | 7,500枚 |
| 品位 | 917/1000金 |
ダイアナ妃追悼記念コインは、1997年に亡くなったダイアナ王妃を追悼するために発行された、ロイヤルミントの記念金貨です。
ダイアナ王妃という英国国民にとって象徴的な人物を描いていることから、需要が高く価値が大きく上昇しました。
記念コインは、希少性と人気の高いコインが市場では評価されることが多いです。
近年にロイヤルミントが発行した記念コインのなかでも知名度の高い金貨となっています。
ダイアナ妃追悼記念 5ポンド金貨とは? 人気の秘密とコインの価値をご紹介
クイーンズビースト


| 概要 | 内容 |
| 発行国 | イギリス |
| 発行年 | 2021年 |
| 額面 | 500ポンド |
| 直径 | 50mm |
| 重量 | 156.29g |
| 発行枚数 | 135枚 |
| 品位 | 999/1000金 |
クイーンズビーストシリーズは、2016年から2021年にかけてロイヤルミントが発行したコインシリーズです。
英国王室の紋章に由来する、ライオン、ドラゴン、ワシなどの神話的な動物を描いています。
デザインはジョディ・クラークが手掛けており、高く評価されている記念コインです。
10種類のクイーンズビースト、最後のコンプリーターをあわせた11種類の金貨があり、コレクション性の高い現代のロイヤルミントを代表するデザインです。
まとめ
ロイヤルミント(英国王立造幣局)は、1,100年以上にわたり英国および世界の貨幣制度を支えてきた、世界最古級の造幣機関です。
創設当初から王権の象徴として貨幣を鋳造し、時代ごとの技術革新とともにその役割を進化させてきました。
現在では、法定通貨の製造のみならず、投資用コインや記念硬貨、ジュエリー製品まで幅広く手がける世界的ブランドとして高い評価を受けています。
ウィリアム・ワイオンをはじめとする名匠たちの手によって生み出された「ウナとライオン」「ゴシッククラウン」などのコインは、英国美術と貨幣文化を融合した芸術品として今も世界中のコレクターを魅了しています。