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公開日 2022.11.14更新日 2024.11.24

銀貨の偽物の見分け方は? コインの状態を損ねずに判別する方法を紹介

銀貨などのコインを収集するうえで最も気をつけたいことは、偽物の見分け方を理解して購入しないようにすることです。

偽物を購入しない安全な方法は信頼できる取引先から購入することですが、収集したい銀貨によっては信頼できる取引先では取り扱っておらず、どうしても欲しいのでオークションを頼らざるを得ないこともあるかもしれません。

素性の分からない個人も出品できるオークションサイトで偽物を確実に回避する方法は、年を重ねるにつれて巧妙になる手段を考えればないかもしれませんが、基本的な見分け方を知っておけば多くの偽物を回避できるようになります。

この記事では、銀貨の偽物の見分け方について解説し、偽物が多く報告されている銀貨についても紹介します。

銀貨の偽物の見分け方

銀貨の偽物の見分け方

それでは、銀貨の偽物と判断するための1つの指標となる見分け方を紹介します。

  • 図柄に細かな違いがないか確認する
  • 重さを計ってみる
  • 鑑定会社で鑑定してもらう

それぞれ詳しく見ていきましょう。

図柄に細かな違いがないか確認する

銀貨の贋作のなかでも質が悪いとされる偽物は、本物の図柄と見分ければ細かな差異があるので、簡単に見抜けます。

図柄の位置や角度などの違いや、本物に刻印があるにもかかわらず、偽物には刻印がない場合や、文字の大きさが違うなどの明らかな違いがある場合は偽物である可能性が高いため購入は控えることを推奨します

ただし、用意する本物の図柄は発行年も発行元も同じ銀貨を用意して見比べることが重要です。

発行元が異なると造幣所を表すミントマークの違いから偽物と判断してしまうこともあるからです。

発行年によって図柄が微妙に変更されているコインもあるので、用意する本物の図柄が間違っていると誤った判断を下してしまう原因になりかねません。

まずは購入したい銀貨の適切な情報収集を行い、資料を揃えてから見比べて、偽物であるかどうかを判断しましょう

重さを計ってみる

アンティークコインのようにその希少性から高く取引されている銀貨であれば、贋作を作る場合も金属も含めて精巧な偽物が作られる可能性もあります。

しかし、ほとんど銀自体の価値で取引される銀貨であれば、金属は別の合金を使用する場合や、銀メッキを塗って銀貨と偽っているケースが大半です。

銀貨を名乗っているにもかかわらず銀を使用していないコインは、重さが異なる場合がほとんどであるため、重さを計れば簡単に偽物であることが見抜けます。

本来の重量に関しては、有名なコインであれば調べれば把握できるので、摩耗していることを考慮しても明らかに本物コインと比較して重量が異なる場合は、貴金属の分析装置にかけなくても偽物と判断できるでしょう

鑑定会社で鑑定してもらう

最後の方法は、鑑定会社で鑑定してもらうのが最も信憑性があるといえるでしょう。

ただし、購入する前に鑑定会社に鑑定をかけるわけにはいかないので、すでに購入している銀貨が対象になります。

持っている銀貨が偽物の可能性があり、確信が持てない方は、鑑定会社で鑑定してもらいましょう。

本物であった場合はコインの状態も評価してもらえるので、権威ある鑑定会社の評価であれば買取価格の向上にもつながります。

購入する前の話であれば、鑑定会社に鑑定された銀貨であることを確認した上で購入すると安全性が高まります

銀貨の偽物を用意して販売する行為は詐欺に該当しますが、アンティークコインを利用した投資詐欺の手口について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

アンティークコイン投資詐欺の手口と回避するための3つの方法

偽物が多く報告されている銀貨の種類

知名度もあり、人気の高い銀貨は偽物が多く報告されているので、このような銀貨が欲しい場合はより慎重に偽物を見分ける必要があります。

今回は、日本で偽物が多く報告されている銀貨について紹介します。

  • 1円銀貨
  • イーグル銀貨
  • 天皇陛下御在位60年記念銀貨

1円銀貨

新1円銀貨

概要 内容
発行国 日本
発行年 1885年
額面 1円
直径 38.6mm
重量 26.96g
品位 銀900、銅100

1円銀貨は日本の代表的なアンティークコインであり、本物であっても高額になることは少ないですが、手軽に購入しやすいことから偽物の被害も多い銀貨です。

まず重さですが26.96gとなっており、摩耗を考慮しても26.8g未満であれば偽物と考えてよいでしょう。

27gなど重量が増えている場合は偽物と断定可能であり、実際に偽物の多くは極端に重いか軽いかの2種類になります。

デザインでは、描かれている葉や龍の鱗などの彫りが浅い場合は偽物である可能性が高く、周囲にあるギザギザが等間隔で一定の大きさでないことも偽物の特徴です

日本の銀貨について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

日本で発行された銀貨一覧と購入方法をご紹介

イーグル銀貨

イーグル銀貨

概要 内容
発行国 日本
発行年 2003年
額面 1ドル
直径 40.6mm
重量 31.1g
品位 銀999

アメリカの地金型銀貨であるイーグル銀貨は日本でも知名度が高く、世界中で偽物も作られている銀貨です。

投資用の銀貨ではありますがデザインの美しさから人気があるため、1円銀貨と同様に特別に高価というわけではありませんが、多くの偽物が確認されています。

イーグル銀貨は上記の画像を見ても分かる通り、自由の女神の服や、鷲の羽など非常に繊細できめ細かな彫刻がなされているので、本物と比較できれば偽物と判断がつきやすいです

1円銀貨と同様に彫りが浅い場合や、細かな彫りが再現できていない可能性があるので、質の悪い偽物であれば真贋を見分けやすいといえるでしょう。

アメリカの銀貨について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

1ドル銀貨の価値は? おすすめのコインと購入・買取方法を紹介

天皇陛下御在位60年記念銀貨

画像引用:https://www.mint.go.jp/popup/data_kinen_page11.html

概要 内容
発行国 日本
発行年 1986年
額面 1万円
直径 35mm
重量 20g
品位 純銀
発行枚数 1,000万枚

天皇陛下御在位60年記念銀貨は、銀貨自体の性質により偽物が造られやすい銀貨となっています。

20gの重量を持つ銀貨で1万円の額面を持ちますが、銀価格が1gあたり100円と仮定しても、2,000円の価値しかないため、数千円以上設定された額面に差があることが分かります。

つまり、銀を使用して偽物を作ってもそれ以上の価値を額面が保証してくれるので、偽物が造られやすく、実際に財務省も2013年に偽造の事実を確認しているので、購入には細心の注意を払う必要があるということです。

偽物も銀で作られている可能性が十分に考えられるので、重さが一致していても偽物でないという確証が薄いため、図柄の違いから判断するのが効果的になります。

財務省が確認した偽物は純銀で重さも本物と同じでしたが、全体的に文字の線が太く、本物よりもギザの数が少ないことから偽物と判別しました。

財務省も流通していた偽物に関しては、細かな図柄の違いで判断したので、同様の偽物が販売されていた場合は判断の参考になるでしょう

天皇陛下御在位60年記念銀貨の価値について額面と買取から解説

銀貨の偽物の見分け方に関するよくある質問

銀貨の偽物の見分け方に関するよくある質問をまとめました。

  • 薬品を使う見分け方も効果的ですか?
  • 偽物を避ける銀貨の購入方法はありますか?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

薬品を使う見分け方も効果的ですか?

銀貨の見分け方として、硝酸が含まれた化学薬品を利用して金属の種類を判別する方法もあります。

金属の真贋を見分ける方法としては効果的ですが、銀貨の状態を乏しく損なう行為であるため、推奨しません

本物であった場合に買取価格が減少する原因になるので、銀貨の表面に化学薬品を使う判別方法や、その他にも銀貨の状態を損なう判別方法は避けるようにしましょう。

この記事で紹介した判別方法は、銀貨の状態を損なわない方法となっています。

偽物を避ける銀貨の購入方法はありますか?

銀貨の偽物を見分けるなら、見分ける方法を理解するよりも信頼できる取引先でコインを購入するほうが効果的です。

購入する前にデザインの見比べや、重さを計っても100%偽物を判別できるわけではありません。

偽物を販売する可能性がある素性の分からない個人が出品できるオークションを利用するのではなく、コイン専門店などの信頼できる販売元を頼るほうが初心者にとってもリスクを回避しやすくなります

基本的には、販売元の情報が掲載されており、古物商許可証を取得した信頼できる取引先からコインを購入するようにしましょう。

まとめ

銀貨の偽物を見分ける方法を紹介しましたが、購入する前の段階で確実に偽物を見分ける方法は存在しません。

見分け方を理解すれば偽物を回避できる可能性が高くなるのは間違いありませんが、偽物を何度が判別して見分けられるようになったと考えても、偽物を作り出す技術も向上していくので、絶対に騙されないという過信は危険です

そのため、銀貨に関する知識がない初心者は特に真贋を見分けるよりも、信頼できる取引先から銀貨を購入することが重要になるので、まずは目的に合わせてどのように銀貨を購入するべきか考えてみましょう。

銀貨の購入先について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

銀貨のおすすめの購入先は? 種類に合わせてどこで買うべきか解説

銀貨を購入・売却する

この記事の著者

アンティークコイン ジャーナル編集部

英国王室シリーズから古代コインまで、幅広い年代のコインの紹介だけではなく、試鋳貨、造幣局による違い、彫刻家、リストライク、などアンティークコインの魅力や楽しめる知識をフラットに情報提供している。編集長は、英国王室コインと、動物コインシリーズが好き。

アンティークコイン ジャーナル編集部

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