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公開日 2022.11.2更新日 2022.11.8

天皇陛下御在位60年記念銀貨の価値について額面と買取から解説

天皇陛下御在位60年記念銀貨は、1986年(昭和61年)に1万円の額面で発行された純銀銀貨です。

その価値は取引する場所によっては額面の通り1万円ですが、コイン専門店やオークションなどでは額面とは異なる価値を有することもあります。

希少性よりも知名度が高い日本の記念銀貨ですが、知名度の高さと額面の付く銀貨という性質から偽物も出回っているので注意が必要です。

この記事では、天皇陛下御在位60年記念銀貨の価値について額面と買取から解説します。

天皇陛下御在位60年記念銀貨とは?

画像引用:https://www.mint.go.jp/popup/data_kinen_page11.html

概要 内容
発行国 日本
発行年 1986年
額面 1万円
直径 35mm
重量 20g
品位 純銀
発行枚数 1,000万枚

天皇御在位60年記念銀貨は、昭和天皇の御在位60年を記念して1万円の額面で発行された銀貨です。

こちらの銀貨は、日本の記念貨幣として初めて発行された純銀の銀貨でもあります。

表面は、日の出と瑞鳥・瑞雲が描かれており、日の出の意味は極東における日本の自然、瑞鳥・瑞雲は吉祥を表現しており、裏面は、天皇陛下や皇室を象徴する菊の御紋章です。

発行時はブリスターパックと呼ばれるプラスチックのパッケージに入れて発行されたこともあり、未使用の状態で保管されているケースが多く、現存している多くの銀貨の状態がよいと推定されています。

発行枚数も1,000万枚と非常に多く、発行も1986年と近年であることから希少性に関してはそこまで高いわけではなく、入手しやすい記念銀貨といえるでしょう。

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10万円の金貨と500円の白銅貨も同時に発行される

天皇陛下御在位60年記念10万円金貨

概要 内容
発行国 日本
発行年 1986年・1987年
額面 10万円
直径 30mm
重量 20g
発行枚数 1,100万枚

上記の金貨は、同じ天皇御在位60年記念のタイミングで発行された10万円の額面を持つ金貨です。

表面の図柄が銀貨とは異なり、平和の象徴である鳩と水が表現されていますが、裏面は同じく菊の御紋章になります。

他にもこのタイミングで500円の額面を持つ白銅貨も同時に発行されています。

金貨・白銅貨も共通して大量に発行されていることから、金貨であるからコイン自体の希少性が高いということではありません

天皇御在位60年記念金貨について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

10万円の額面を持つ金貨とは? 通貨型金貨の性質についてもご紹介

天皇陛下御在位60年記念銀貨の価値について

天皇陛下御在位60年記念銀貨の価値について

それでは、天皇陛下在位60年記念銀貨の価値について額面と買取の2つの観点から解説します。

  • 銀行における価値は1万円
  • 買取ではプレミア価値が考慮される

それぞれ詳しく見ていきましょう。

銀行における価値は1万円

天皇陛下御在位60年記念銀貨は通貨としての通用力を有し、日本政府の保証により1万円で取引できます。

よって、銀行などに持っていくと1万円の価値をもつとみなされ取引可能です。

銀価格は毎日変動しますが、現在の時点で1gあたり数十円から数百円であるため、銀そのものの価値で1万円に届くことはありません。

しかし、日本政府が価値を保証しているため、天皇陛下御在位60年記念銀貨は1万円の価値があるとみなして取引することができます

買取ではプレミア価値が考慮される

買取では、素材が銀であることから貴金属の価値として1万円以上の価値は現在の時点では持たないため、1万円より低い価格で取引されると思うかもしれません。

しかし、日本政府から価値が保証されているので、現在の相場では1万円以上の価格が付くのが一般的です。

買取では1万円以上の値がつきやすいですが、希少性が低いことから考慮されるプレミア価値は微々たるものとなります。

発行枚数が多くても数十年前の発行であることから一定の希少性が認められますが、額面の倍以上の相場で取引するのは難しいでしょう

しかし、銀行での利用と買取での売却であれば、買取のほうが価値が高まりやすい状況であることは間違いありません。

天皇陛下御在位60年記念銀貨に関するよくある質問

天皇陛下御在位60年記念銀貨に関するよくある質問

最後に、天皇陛下御在位60年記念銀貨に関するよくある質問をまとめました。

  • 天皇陛下御在位60年記念銀貨の価値が高まる可能性は?
  • 天皇陛下御在位60年記念銀貨は偽造されやすいって本当?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

天皇陛下御在位60年記念銀貨の価値が高まる可能性は?

天皇陛下御在位60年記念銀貨は1,000万枚発行されており、発行枚数があまりにも多く状態のいいコインも多数現存しているため、最高の状態の銀貨を保有しているとしてもプレミア価値の上昇はあまり見込めません。

しかし、純銀であることから将来的に銀価格の高騰で価値が上昇する可能性はあります。

金貨では金価格の高騰により現在でも見られる現象ですが、コインに含有している金属の価値が額面を上回ると、買取でも金属の価値が考慮され価格が上昇します。

ただし、天皇陛下御在位60年記念銀貨に関しては、額面と現在の銀の価値を考慮すると額面を上回るのに時間がかかると推測されます

銀貨1枚の値段を決める基準について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

銀貨一枚の値段はどうやって決まる? 銀の価格推移についてもご紹介

天皇陛下御在位60年記念銀貨は偽造されやすいって本当?

天皇陛下御在位60年記念銀貨の偽物が報告されたのは2013年であり、外国郵便の中から偽造銀貨46枚が発見され、造幣局が真偽鑑定を行ったことで、いずれも偽造貨幣であることが判明しました。

この銀貨の材質としては純銀であることから、材質から偽物であることを見抜くことができず、文字と図柄の細かな違いと周囲にあるギザの数で判別するしかありません。

純銀の銀貨で偽物が作られた理由は、額面と銀の価値に大きな乖離があり、額面による価値が高いことから発生したといわれています。

そのため、天皇陛下御在位60年記念銀貨を購入するなら最新の注意を払って、できる限り信頼できる販売元から取引する必要があります

まとめ

天皇陛下御在位60年記念銀貨の価値について解説しましたが、銀そのものの価値よりも額面の価値のほうが高いですが、一定の希少性があることから買取では1万円以上の価値で取引されているようです。

ただし、過去には造幣局が偽物を確認している銀貨であるため、コレクション目的などで新たに購入する場合は偽物を購入しないように細心の注意が必要です。

天皇陛下御在位60年記念銀貨を投資目的で購入するには、リスクが大きく適しているとはいいがたいですが、銀貨への投資を検討していて、投資用の銀貨について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

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この記事の著者

アンティークコイン ジャーナル編集部

英国王室シリーズから古代コインまで、幅広い年代のコインの紹介だけではなく、試鋳貨、造幣局による違い、彫刻家、リストライク、などアンティークコインの魅力や楽しめる知識をフラットに情報提供している。編集長は、英国王室コインと、動物コインシリーズが好き。

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