ダブルイーグル金貨(セントゴーデンズ金貨)はアメリカ合衆国が発行していた20ドル金貨であり、1907年~1933年にかけて発行されてました。
19世紀には金の採掘が盛んとなったことから、金貨が発行されるようになり、その中でも20ドル金貨は著名な彫刻家であるオーガスタス・セント=ゴーデンズが手掛けたことで注目を集めます。
しかし、金本位制の廃止とともに金貨の流通が停止したことから、多くのダブルイーグル金貨が回収されたため、流通貨幣でありながら希少な金貨となりました。
また、約100年の時を経た2009年にセント=ゴーデンズが理想とした高いレリーフを現代技術で再現したウルトラハイレリーフのダブルイーグル金貨も発行されています。
この記事では、アメリカのアンティークコインの中でも人気の高いダブルイーグル金貨について概要、歴史、価値を紹介していきます。
この記事のポイント
・1933年製などダブルイーグル金貨によって異なる価値をご紹介
ダブルイーグル金貨(セントゴーデンズ金貨)の概要
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1908年 |
額面 | 20ドル |
デザイナー(表面) | オーガスタス・セント=ゴーデンズ(Augustus Saint-Gaudens) |
表面 | 自由の女神 |
刻印(表面) | LIBERTY 1908 |
裏面 | 左に向かって飛ぶハクトウワシ(イーグル) |
刻印(裏面) | UNITED STATES OF AMERICA TWENTY DOLLARS IN GOD WE TRUST |
直径 | 34mm |
重量 | 33.436g |
発行枚数 | 349,500枚 |
品位 | 900/1000金 |
グレード | Scratched EF |
状態 | UNC Detail |
ダブルイーグル金貨は、アメリカ合衆国で発行された20ドル金貨のことを指します。
イーグル金貨が10ドルの額面の金貨であるのに対して、20ドルの額面を持つイーグルが描かれた金貨であることから、ダブルイーグル金貨と呼ばれるようになりました。
ルーズベルト大統領が著名な彫刻家であるオーガスタス・セント=ゴーデンズにデザインを依頼しています。
当時のアメリカは他国と比較してデザインとして優れているコインがないと考えられていたことから、大統領自ら優れた彫刻家に依頼することでこの状況を変えようとしました。
表面、裏面ともに自由の女神とハクトウワシを描いており、どちらもアメリカを象徴するものをデザインした金貨です。
セント=ゴーデンズによって手掛けられたダブルイーグル金貨は、アメリカの金貨の中でもトップクラスに美しい金貨として発行当初から人気を集めました。
そのため、こちらの金貨は作成者である彫刻家の名前からセントゴーデンズ金貨と呼ばれることもあります。
直径34mmを超える大型金貨であり、K21.6(900/1000金)の高い品位を持つことから地金としての価値を備えています。
発行枚数は1908年で349,500枚と推定されていますが、年度によって発行枚数が異なるため、年度によって価値が大きく変化することも特徴です。
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ダブルイーグル金貨の歴史 ~発行から回収に至るまで~
ダブルイーグル金貨の歴史を以下のポイントに分けて振り返っていきます。
- ゴールドラッシュによる金の供給の増加により発行が開始される
- 1933年の金本位制の停止によるダブルイーグル金貨の回収
- 2009年にセント=ゴーデンズ氏の理想を現代技術によって再現
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ゴールドラッシュによる金の供給の増加により発行が開始される
アメリカでは19世紀初頭から金本位制を採用しており、1933年に停止されるまでに休止を経ながら続いてきました
1849年、「カリフォルニア・ゴールドラッシュ」により、アメリカの金の供給が大きく増加しました。
これに伴いアメリカ初の20ドル金貨であるリバティヘッド金貨が発行されるようになります。
リバティヘッド金貨
1907年までリバティヘッド金貨は発行されましたが、20ドル金貨に新しいデザインを採用することが決定します。
ルーズベルト大統領は彫刻家のセント=ゴーデンズに依頼して、アメリカで最も美しい金貨を製造しようとしました。
セント=ゴーデンズは自由の女神とハクトウワシを描くデザインを提案し、発行された金貨がダブルイーグル金貨と呼ばれるようになります。
しかし、発行されたダブルイーグル金貨はセント=ゴーデンズにとって理想のものではありませんでした。
セント=ゴーデンズはダブルイーグル金貨をより高いレリーフで作りたいと考えていましたが、当時の技術において大量生産が前提となる流通貨幣では実現は困難でした。
セント=ゴーデンズの理想に近いコインが発行されるのはそれから100年後の未来になりますが、発行された金貨はアメリカの金貨の中でも美しいとされて高く評価されることになります。
1933年の金本位制の停止によるダブルイーグル金貨の回収
画像引用:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-07/SPP8D3T0AFB400
1929年、世界恐慌により悪化する経済状況の中でアメリカ合衆国では金本位制を停止することが決定しました。
1933年4月19日に正式に金本位制が停止され、現在の管理通貨制度に移行したことをきっかけに流通しているダブルイーグル金貨の回収が行われました。
アンティークコインなど収集用の金貨を除いて、流通している金貨の回収が始まったのです。
ダブルイーグル金貨が大量発行される流通貨幣でありながら希少性が認められることがあるのは、金本位制の停止による回収が理由となっています。
その中でも最も影響を受けた年度が1933年に発行される予定であったダブルイーグル金貨であり、すべての金貨に溶解命令が出されていました。
本来は存在するはずがない1933年製の金貨ですが、オークションにて出品されており、サザビーズによる競売で約20億円の値がつけられ、全アンティークコインの中でも最高落札価格となりました。
ただし、1933年製の金貨は存在するはずがないことから、盗み出されたという説が有力であり、法的な問題のある金貨となっています。
発行年によってはそれほどの価値を持たないため、すべての金貨に高い価値がつけられるわけではありませんが、ダブルイーグル金貨がアンティークコインの中でも最も価値があるといわれるのは1933年製の金貨が理由です。
2009年にセント=ゴーデンズ氏の理想を現代技術によって再現
画像引用:https://www.pcgsasia.com/valueview/index?cid=941&specno=407404
金本位制が停止し、管理通貨制に移行したことでダブルイーグル金貨は流通貨幣としての役目を終えました。
そのため、1933年を境に流通用として新しくダブルイーグル金貨が発行されることはありません。
しかし、2009年にダブルイーグル金貨が最初に発行されてから100年以上経ってから、ウルトラハイレリーフのダブルイーグル金貨が発行されました。
オリジナルとは異なり純金で作られたこちらのコインは、約11万5,000枚程度の枚数が発行されています。
セント=ゴーデンズは当時のレリーフを理想とはしていませんでしたが、2009年に発行されたウルトラハイレリーフ金貨は現代技術によって理想に近づけたコインです。
オリジナルの金貨と比較しても高いレリーフによって、デザインの秀逸さがより際立つことがわかります。
状態の良いウルトラハイレリーフのダブルイーグル金貨はオークションでも高額で落札されることが多く、アメリカ金貨を収集するコインコレクターにとって憧れの存在となっています。
ダブルイーグル金貨(セントゴーデンズ金貨)の価値
ダブルイーグル金貨は、発行年によってその価値が大きく異なり、状態の良さによっても価値が変動します。
市場における取引例においては、1933年製の20憶の落札価格に注目してしまうかもしれません。
しかし、流通貨幣であるため発行枚数が多いことから、発行年や状態によってはプレミア価値はほとんどない状態で地金としての価値で取引される場合もあります。
反対にいえばダブルイーグル金貨は現在の時点で購入しやすい金貨であるといえます。
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まとめ
ダブルイーグル金貨は、著名な彫刻家であるセント=ゴーデンズが手掛けるアメリカを代表するアンティークコインです。
アメリカでもトップクラスに美しい金貨といわれることから、鑑賞性が高く、コレクションに適したコインとなっています。
高額落札事例がある一方で、コインによって価値が異なることから、アンティークコイン投資用のコインとして購入するなら個別に考えたいところです。
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