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公開日 2025.1.20更新日 2025.1.20

リバティヘッド金貨とは? 歴史と価値、20ドル金貨を中心に種類をご紹介

リバティヘッド金貨は、その名の通り自由の女神の頭像が描かれた美しい金貨であり、19世紀に発行された歴史あるコインです。

アメリカの象徴とも呼べる自由の女神と国鳥であるイーグルを描いており、アメリカ金貨の中でも人気が高いダブルイーグル金貨の前身となるデザインです。

流通用に大量に発行されていたことから現代では地金価格に基づいて取引されることが多い一方で、状態の良い金貨や希少な種類は高く取引されることがあります。

この記事では、リバティヘッド金貨について歴史と価値を紹介していきます。

この記事のポイント

・アメリカを象徴するリバティヘッド金貨の歴史と価値を解説
・20ドルだけでなく様々な額面で発行されているリバティヘッド金貨の種類を紹介

リバティヘッド 20ドル金貨の概要

概要 内容
発行国 アメリカ
発行年 1899年
額面 20ドル
デザイナー(表面) ジェイムズ・バートン・ロングエーカー(James Barton Longacre)
表面 自由の女神、囲むように13個の星
刻印(表面) 1899
裏面 ハクトウワシ(イーグル)
刻印(裏面) UNITED STATES OF AMERICA IN GOD WE TRUST TWENTY DOLLARS
直径 34mm
重量 33.436g
発行枚数 1,669,384枚
品位 900/1000金
グレード MS63
状態 AU/UNC

リバティヘッド金貨は、1838年~1907年まで発行されていたアメリカの代表的な金貨です。

50年以上に渡って同じデザインの金貨が製造されており、自由の女神の頭像を描いていることから「リバティヘッド」の名で親しまれてきました。

20ドル、10ドル、5ドル、2.5ドルの4種類の額面が存在しており、20ドル金貨はアメリカを代表する大型金貨の一つとなっています。

発行枚数が非常に多い金貨であり、1890年代頃にはアメリカの経済が大きく発展した影響で毎年100万枚以上発行されていました。

また、発行年によってデザインが異なることでも知られています。

1848年~1855年のゴールドラッシュ、西部開拓時代などアメリカの歴史と経済発展に密接に関連している金貨です。

アメリカでもトップクラスに発行された金貨でもあり、まさに国を代表するアンティークコインといえるでしょう。

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リバティヘッド金貨とアメリカ合衆国の歴史

リバティヘッド金貨についてアメリカの歴史に触れながら紹介していきます。

  • アメリカ経済の成長に合わせて発行された金貨
  • ジェイムズ・バートン・ロングエーカーによるデザイン

アメリカ経済の成長に合わせて発行された金貨

独立戦争の後に経済的な成長と発展を目指したアメリカは、1792年に貨幣法を制定してアメリカドルを公式な通貨として採用しました。

金貨・銀貨の製造が開始され、当時は「ターバンヘッド」と呼ばれるデザインで自由の女神がターバンを巻く様子を描いた金貨が発行されています。

1795年に発行されたターバンヘッドタイプの金貨

19世紀に入ると金の需要が大きく増加した影響により、金貨のデザイン変更が検討されます。

その結果、アメリカの象徴である自由の女神と国鳥であるハクトウワシを描いた初期のリバティヘッドのデザインが採用されます。

1848年にはアメリカにカルフォルニア・ゴールドラッシュが到来しており、金貨の需要はさらに高まっていきました。

リバティヘッドの20ドル金貨が発行されるようになったのは1849年のことであり、金需要の増加によって新しい額面の金貨が発行されています。

1890年代になるとアメリカの経済成長の発展とともにリバティヘッド金貨の毎年の発行枚数は100万枚を超えていきます。

1907年に至るまでリバティヘッド金貨の発行は続きましたが、この年に新デザインの採用が決定しました。

ダブルイーグル金貨(セントゴーデンズ金貨)

ダブルイーグル金貨(セントゴーデンズ金貨)はアメリカで最も完成度の高い金貨として知られている人気の金貨であり、金本位制が停止される1933年まで発行されました。

ダブルイーグル金貨は金本位制が施行された経緯から発行年によってはほとんどが溶解されてしまったため、オークションで約20億円の値が付いたコインもあります。

1907年にリバティヘッドの20ドル金貨は役割を終えて、デザインはダブルイーグル金貨になり替わりました。

ダブルイーグル金貨(セントゴーデンズ金貨)については以下の記事で詳しく紹介しています。

ダブルイーグル金貨(セントゴーデンズ金貨)とは? 歴史と価値をご紹介

ジェイムズ・バートン・ロングエーカーによるデザイン

ジェイムズ・バートン・ロングエーカーの肖像

ジェイムズ・バートン・ロングエーカーは1844年から亡くなるまで、アメリカ合衆国造幣局の第4代彫師主任を務めた人物です。

ペンシルベニアからフィラデルフィアに移り住み、本屋で働く中で芸術的な才能が認められて、版画会社に入社した後に独立します。

自身の設立した会社で伝記本のイラストや当時の指導者の肖像画を描くことで実績を積み、合衆国造幣局の彫師主任に任命されました。

19世紀の半ばにおけるコインのデザインを担当し、第3代彫師主任のクリスチャン・ゴブレヒトの後を継いでリバティヘッド金貨のデザインを手掛けています。

彫師主任になってすぐの時期には、フィラデルフィア造幣所の支配人ロバート・M・パターソンと、貨幣鋳造主任フランクリン・ピールと対立し、解雇寸前の危機に追い込まれました。

財務長官のウィリアム・メレディスの支持を得ることで事なきを得ており、対立した二人がすぐに造幣局を去ったことで対立もなくなりました。

破竹の勢いで経済成長したアメリカを象徴する金貨のデザインを手掛けており、アメリカの貨幣史において高く評価されています。

リバティヘッド金貨の種類

当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」でも取り扱ったことがあるリバティヘッド金貨の種類を紹介します。

  • リバティヘッド (クラシックヘッド)5ドル金貨 1837年
  • リバティヘッド 10ドル金貨 1907年
  • リバティヘッド 10ドル金貨 1888年
  • リバティヘッド 20ドル金貨 1898年

リバティヘッド (クラシックヘッド)5ドル金貨 1837年

概要 内容
発行国 アメリカ
発行年 1837年
額面 5ドル
直径 22mm
重量 8.3g
発行枚数 540枚
品位 900/1000金
状態 -EF
グレード AU55

1834年~1838年に発行されたリバティヘッド金貨の前身として発行されたクラシックヘッド金貨です。

自由の女神の髪がリバティヘッドのデザインとは異なり、ヘッドバンドでまとめ上げているのが特徴です。

発行枚数が非常に少なく、リバティヘッド金貨と比較すると希少な金貨となっています。

リバティヘッド 10ドル金貨 1907年

概要 内容
発行国 アメリカ
発行年 1907年
額面 10ドル
直径 26mm
重量 16.72g
発行枚数 1,203,973枚
品位 900/1000金
状態 EF+/AU
グレード MS62

1907年に発行された10ドルのリバティヘッド金貨であり、コインによってデザインが異なることがあります。

例えば、こちらのコインは額面の刻印が「TEN D」となっていますが、「TEN DOLLARS」と刻印されているタイプも存在します。

細かな違いによって希少性が変わる場合もあり、複数のコインを比較して楽しめる金貨といえるでしょう。

リバティヘッド 10ドル金貨 1888年

概要 内容
発行国 アメリカ
発行年 1907年
額面 10ドル
直径 26mm
重量 16.72g
発行枚数 648,700枚
品位 900/1000金
状態 AU/UNC
グレード MS61

それでは同じ額面でも発行年の異なる10ドル金貨と比較してみましょう。

こちらの金貨ではイーグルの足の部分にミントマークの「S」の刻印を確認することができます。

刻印がないタイプ、やSと刻印されているタイプ以外にも他のコインでは「D」「O」「CC」などの刻印が確認できました。

リバティヘッド 20ドル金貨 1898年

概要 内容
発行国 アメリカ
発行年 1907年
額面 20ドル
直径 34mm
重量 33.43g
発行枚数 2,575,175枚
品位 900/1000金
状態 AU/UNC
グレード MS63

最初に1898年発行の20ドル金貨を紹介しましたが、こちらは1年前に発行された1898年製の20ドル金貨です。

こちらの金貨でもハクトウワシの下にミントマークの「S」の刻印が確認できます。

他にも年号の刻印の大小や、オーバーデートという刻印を重ね打ちした痕跡のあるもの、フォントのゆがみや刻印位置のズレなどわかる人にはわかる違いも存在しますので、細かく比較して楽しめる金貨です。

リバティヘッド金貨の価値

リバティヘッド金貨は、発行年にはよっては100万枚~200万枚発行されていることから、ほとんどの場合は地金価格に基づいて取引されています。

K21.6(金の使用率が9割)で製造されていることから、地金型金貨としての評価は高く、金価格に連動した金貨として取引しやすいです。

ただし、リバティヘッド金貨は発行枚数が多いことから発行年や状態の良し悪しによって大きなプレミアが付く場合もあります。

場合によっては、リバティヘッド金貨に1億以上の値が付いた例もあるため、コインによってはアンティークコインとして高い価値を有しているといえるでしょう。

特にリバティヘッド金貨の中でもコレクター用に発行されたプルーフ金貨は、発行枚数が限られていることから、地金価格以上の高い価値を有することもあります。

反対に言えば、現在の時点ではほとんどのリバティヘッド金貨が地金に近い価値で取引できることから、お求めやすいため購入しやすいといえます。

リバティヘッド金貨は「コインライブラリー・プリンシパル」を中心に複数のコイン専門店で取り扱われている人気のコインです。

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まとめ

リバティヘッド金貨は、19世紀のアメリカの経済的な発展を象徴する金貨であり、自由の女神の頭像を描いたデザインが魅力です。

流通しているほとんどのリバティヘッド金貨にアンティークコインのプレミア価値を求めることは難しいですが、取引しやすくアンティークコイン収集を始めた初心者におすすめのコインです。

アンティークコインの購入方法はこちらの記事で紹介しています。

アンティークコインはどこで買う? 購入方法と人気のおすすめコインも紹介

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紹介したコイン

  • アメリカ

    アメリカ 20ドル金貨 1899 リバティヘッド Fr-177 KM-74.3 NGC MS63 (AU/UNC)

    SOLD OUT

    ー 円

この記事の著者

アンティークコイン ジャーナル編集部

英国王室シリーズから古代コインまで、幅広い年代のコインの紹介だけではなく、試鋳貨、造幣局による違い、彫刻家、リストライク、などアンティークコインの魅力や楽しめる知識をフラットに情報提供している。編集長は、英国王室コインと、動物コインシリーズが好き。

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