ブレネリ金貨は、スイスで発行された国を代表する金貨であり、世界で最も美しいコインの1枚にも挙げられる希少性の高いコインです。
広く一般的にはブレネリ金貨と呼ばれるこちらの金貨は、ヘルベティア金貨、アルプスの少女金貨など、別の名称で呼ばれることもあります。
デザインも美しく、希少性が高いことから、これまでスイスのコインに目を向けてこなかった方は、ぜひ知っておきたいコインです。
この記事では、ブレネリ金貨特集として、その特徴と歴史、種類、希少性について解説したうえで、その魅力の秘密に迫っていきます。
スイスで発行されたブレネリ金貨(アルプスの少女)の概要
概要 | 内容 |
発行国 | スイス |
発行年 | 1925年 |
額面 | 100フラン |
デザイナー | Fritz Ulysse Landry(フリッツ・ユリス・ランドリー) |
表面 | エーデルワイスの花飾りを付けた女性とアルプス山脈 |
刻印(表面) | HELVETIA(ヘルベティア) |
裏面 | スイス連邦の紋章、アルペンローゼの花 |
刻印(裏面) | 100 FR 1925 |
グレード | NGC MS64 |
直径 | 35.6mm |
重量 | 32.2581g |
品位 | 金90% 銅10% |
発行枚数 | 5,000枚 |
状態 | UNC |
ブレネリ金貨は、スイスのアルプス山脈を背景にスイスの三大名花であるエーデルワイスの花飾りを付けた女性の肖像を描いた、スイスを象徴するコインです。
10フラン金貨、20フラン金貨で同様のデザインがありますが、100フラン金貨が、コインの見栄えやその希少性から最も注目されています。
そのため、ブレネリ金貨は上記に掲載した100フラン金貨のことであると一般的に想像する人が多いです。
当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」でも人気の金貨であり、入荷してもすぐに売り切れてしまうほど注目されています。
なぜ、ブレネリ金貨がここまで人気であり、多くのコイン専門店ではほとんど見かけることがないほど希少性が高いのか解説していきます。
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ブレネリ金貨の特徴
ブレネリ金貨の特徴を3つ紹介します。
- ブレネリ(Vreneli)はスイスでよく使われている女性の名前
- ヘルベティア(HELVETIA)やアルプスの少女と呼ばれることがある
- ブレネリのモデルは彫刻家のフリッツ・ユリス・ランドリーの隣人
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ブレネリ(Vreneli)はスイスでよく使われている女性の名前
この金貨の名称として広く一般的に呼ばれているブレネリ(Vreneli)とは、スイスでよく使われている女性の名前です。
日本でもスイスの童謡で「おおブレネリ」という曲を聞いたことがある方も多いと思いますが、「おおブレネリ あなたのおうちはどこ」という歌い出しから始まる陽気なイメージを持つ曲です。
『アルプスの少女 ハイジ』と共に日本における多くの人が抱くスイスのイメージの元になっていることでしょう。
モデルは存在しているといわれていますが、ブレネリとはその言葉だけで多くの人が共通して抱く「明るく気立てのよい美しいスイス人の女性」をイメージさせる名前です。
ヘルベティア(HELVETIA)やアルプスの少女と呼ばれることがある
ブレネリ金貨は、他にも別の名称で呼ばれることがある金貨となっています。
表面に書かれているヘルベティア(HELVETIA)という刻印からヘルベティア金貨とも呼ばれることがあります。
ヘルベティアとは、ラテン語での古いスイスの呼び名でもあり、スイスを擬人化した女神の名前です。
アメリカの自由の女神(リバティヘッド)、フランスのマリアンヌなど、女神のデザインがコインに採用されることは多いため、スイスでも同様に女神を意識したコインが発行されたと考えられます。
アルプスの少女は、アルプス山脈を背景に若い女性が描かれていることから、スイスのイメージから日本を含めて海外でこのように呼ばれることもあります。
ブレネリ以外にも複数の名称で呼ばれることはありますが、すべて同一のデザインの金貨を指しているので理解しておきましょう。
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ブレネリのモデルは彫刻家のフリッツ・ユリス・ランドリーの隣人
ブレネリ金貨をデザインした彫刻家はフリッツ・ユリス・ランドリー(Fritz Ulysse Landry)であり、彫刻家のランドリーの隣人であったフランソワ・クレイマー・エグリといわれています。
しかし、そのデザインは最初に描かれたものから修正されており、そのモデルにはいくつもの説があるため論争も盛んです。
発行されてから100年近く経っても、そのモデルについて議論されるほど、魅力のある金貨といえるでしょう。
ブレネリ金貨の歴史
ブレネリ金貨の発行された背景などその歴史について振り返っていきます。
- ブレネリ金貨が生まれた時代
- 最初のデザインから大きく修正されている
- スイスを代表する貨幣として当時は批判的な意見もあった
それぞれ詳しく解説します。
ブレネリ金貨が生まれた時代
1895年、スイスの20フラン金貨のデザインの変更を決定したことが、ブレネリ金貨の始まりでした。
スイス連邦の財務省は、スイスを象徴するデザインを盛り込んだ金貨を求めており、最終的にブレネリ金貨のデザインを採用します。
1897年に最初の20フラン金貨が発行され、1911年からは10フラン金貨、そして、1925年のこの年にのみ100フラン金貨が発行されます。
ブレネリ金貨は1897年~1949年、第一次世界大戦前から、世界恐慌の発生、第二次世界大戦の終結を迎えるまでの激動の時代に発行され続けました。
スイスは第一次世界大戦・第二次世界大戦共に中立の立場を維持した国ではありますが、戦争に参加する国と国境を接していることから戦中にもトラブルが絶えず、それでも中立を維持するためには覚悟が求められます。
ブレネリ金貨はこのような時代背景から、スイスの誇りを体現するために、一部の人々からは厳粛なデザインが求められていました。
最初のデザインから大きく修正されている
1895年、最初にフリッツ・ユリス・ランドリーから提出されたブレネリ金貨のデザインは、女性が若過ぎることを理由に修正を求められました。
スイス連保の造幣局であるスイスミントでは、ブレネリの最初に描かれたデザインが公開されており、下記のようなデザインであったようです。
画像引用:https://www.swissmint.ch/swissmint/de/home.html
現在のデザインは最初のデザインよりも、成熟した女性の肖像が描かれるようになり、正式な発行前に前髪についてさらなる手直しが加えられることもありました。
スイスを代表する貨幣として当時は批判的な意見もあった
最初のデザインから修正されたブレネリ金貨ですが、現在のデザインとして発行された後も当時は批判的な意見もありました。
描かれた女性が若過ぎることから、スイスを代表するコインとしてふさわしくないと専門家から激しく批判されたようです。
スイスを代表する人物といえばウィリアム・テルですが、スイスの威厳を示すためにウィリアム・テルのような男をデザインするべきであるといわれたこともありました。
しかし、ブレネリ金貨は大衆からの人気が非常に高かったことから、発行が取りやめられることはなく、現在ではスイスだけでなく世界中から愛されるスイスを代表するアンティークコインとなっています。
ブレネリ金貨の種類
ブレネリ金貨の種類は、10フラン金貨、20フラン金貨、100フラン金貨の3種類です。
当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」で取扱経験がある3つの金貨を掲載していきます。
スイス ブレネリ 10フラン金貨 1913年
概要 | 内容 |
発行 | スイス |
発行年 | 1913年 |
額面 | 10フラン |
直径 | 19mm |
発行枚数 | 600,000枚 |
状態 | AU/UNC |
スイス ブレネリ 20フラン金貨 1947年
概要 | 内容 |
発行 | スイス |
発行年 | 1947年 |
額面 | 20フラン |
直径 | 21mm |
発行枚数 | 9,200,000枚 |
状態 | UNC |
スイス ブレネリ 100フラン金貨 1925年
概要 | 内容 |
発行 | スイス |
発行年 | 1925年 |
額面 | 100フラン |
直径 | 35.6mm |
発行枚数 | 5,000枚 |
状態 | NGC MS64 |
表面のデザインはすべて同様ですが、裏面のデザインに発行年と額面以外にも違いがあることがわかります。
大きさも異なり、10フラン金貨・20フラン金貨は直径20mmほどの金貨となっていますが、100フラン金貨は約36mmの直径を持つ大型金貨です。
コレクションを考えるなら直径の大きい大型金貨を収集するほうがブレネリのデザインの見栄えも良く楽しめます。
ブレネリ金貨が購入できる場所はこちら
ブレネリ金貨の希少性
ブレネリ金貨の希少性は、100フラン金貨に関しては5,000枚という少ない発行枚数であることから非常に高いことがわかります。
それだけでなく、1,200枚はすでに溶解されている説もあり、現存している枚数は3,800枚以下であると考えられています。
そのため、日本国内のコイン専門店ではほとんど見かけられないほどです。
10フラン金貨・20フラン金貨に関しては発行枚数も多いことから取り扱いのある店も存在しており、100フラン金貨と比較すれば入手も容易となっています。
100フラン金貨の価値は、コインの状態によって変動しますが数百万円することが多く、一方で10フラン金貨・20フラン金貨は数万円程度で購入できることから、アンティークコインの収集を始めた人も入手しやすいものとなっています。
100フラン金貨は特に現存枚数が限られていることから、すでに国内でも取り扱うコイン専門店が少なくなっており、価値の上昇も期待できる金貨といえるでしょう。
ブレネリ金貨に関するよくある質問
ブレネリ金貨に関するよくある質問をまとめました。
- 国内では入手困難なブレネリ金貨はどこで購入できる?
- スイスではブレネリ金貨を含めてどのようアンティークコインを収集できる?
- 価値の高いブレネリ金貨を高価格で売却する方法は?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
国内では入手困難なブレネリ金貨はどこで購入できる?
ブレネリの100フラン金貨は国内では入手困難な金貨となっており、アンティークコインを専門に取り扱うコイン専門店でも取り扱いは限られます。
人気の高い金貨であることから偽物が流通するリスクもあり、アンティークコインの取引に慣れていない方は、真贋の判断が難しいことから個人が出品するオークションサイトで出品されていたとしても十分に気をつけて落札する必要があります。
10フラン金貨・20フラン金貨などの入手しやすい金貨、100フラン金貨など入手が難しい金貨、どちらも信頼できるコイン専門店から購入しましょう。
「コインライブラリー・プリンシパル」は、全種類のブレネリ金貨の取扱実績があり、100フラン金貨も複数枚入荷した実績があります。
当サイトは、万が一にもコインが偽物であった場合は永久買戻し保証による安心してコインを購入できる仕組みと、カタログやオークションログをもとにした適正価格によるコインの購入が可能です。
高い仕入れ能力により他社が入荷できない希少なブレネリ金貨を取り扱う可能性があるため、商品の一覧ページを定期的にチェックしてブレネリ金貨の入荷を待ちましょう。
スイスではブレネリ金貨を含めてどのようアンティークコインを収集できる?
スイスで発行されているアンティークコインで注目したいコインはブレネリ金貨だけではありません。
射撃祭記念コインは、1842年に初めて造られたスイスの記念コインであり、希少性の高いコインが存在します。
射撃祭とはスイスを含めたヨーロッパの国で開催されてきた実銃を使った射撃大会です。
一度は製造が中止されましたが、現在も発行が続いていることから、スイスを代表するコインシリーズのひとつです。
ブレネリ金貨からスイスのアンティークコインに興味を持った人は射撃祭記念コインにも注目してみましょう。
価値の高いブレネリ金貨を高価格で売却する方法は?
ブレネリ金貨をお持ちの方は、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」で買取可能です。
売却を希望の方は売却・買取査定申し込みページから情報を入力して申し込むことで、他店で購入したブレネリ金貨であっても売却できます。
その後は、現物の持ち込み、または郵送で査定をおこない、最終的に現金化できる価格を通知いたします。
ブレネリ金貨に限らず世界中のアンティークコインの買取を行っているため、ほかにも希少性の高いコインで現金化を希望の方はお持ちください。
コインの買取でご相談や疑問があればこちらのページからお問い合わせお願いします。
まとめ
ブレネリ金貨は、スイスを象徴する金貨で人気が高く、将来的に価格が上昇することが予想される希少性の高い金貨となっています。
アンティークコインの収集が好きな方はもちろん、アンティークコイン投資に興味がある方も注目したいコインです。
ブレネリ金貨を含めたアンティークコインの購入方法はこちらの記事で紹介しています。