オーストラリアでは当初、イギリスのソブリン金貨が発行されていた歴史があり、この国のコインは大きく分けてイギリスのコインと現地の動物が描かれたコインに分かれます。
オーストラリアにはカンガルー、コアラなどの特有の生物が暮らしており、世界中で人気を博しているこちらの動物が描かれたコインは人気です。
この記事ではオーストラリアのソブリン金貨・動物金貨を3つずつ紹介し、オーストラリアのコインの歴史についても解説します。
この記事のポイント
・オーストラリアに生息するカンガルーなどの動物を描いたコインの人気が高い
オーストラリア コインの歴史
オーストラリア シドニー
オーストラリアは、イギリス連邦加盟国であり、その歴史からコインに関してもイギリスと大きな関りがある国です。
オーストラリアのコインの歴史について解説します。
また、イギリスのコインについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
イギリス王室の歴史とアンティークコイン14選! レアな金貨・銀貨をご紹介
イギリスの植民地となったことで英ポンドが使用された
イギリスによって設立されたオーストラリアの州
オーストラリアは、オランダのウィレム・ヤンスゾーンが最初に発見し、スコットランドのジェームズ・クックが発見したことで入植が始まったとされています。
18世紀から流罪植民地として移民が始まり、当初は移民した人のほとんどが囚人や貧困層でした。
その後、1828年にはオーストラリア大陸全土がイギリスの植民地となっていました。
1851年には、ヴィクトリア州の内陸部で金が発見され、ゴールドラッシュが発生。
金を求めてイギリス以外の国からも労働者として移民が渡来しました。
先住民であるアボリジニの多くを虐殺し、実質的にイギリスの支配下となっていたため、当時のオーストラリアでは英ポンドが流通していました。
イギリスからの独立によりオーストラリア・ポンドが使用される
1916年に発行されたジョージ5世の1シリング銀貨
1901年1月1日にイギリス自治領として連邦を形成したことで、オーストラリアはイギリスから事実上の独立を果たします。
1910年にオーストラリア準備銀行で発行されるようになり、ポンドからドルに置き換わる1966年まで発行が続けられてきました。
オーストラリア・ポンドは、オーストラリアの他にクリスマス島、ココス諸島、ノーフォーク島、ソロモン諸島、ナウル、ツバル、キリバスなどの地域で用いられます。
基本的にレートもイギリス・ポンドと連動しており、補助単位であるオーストラリア・ペニーはオーストラリア・ポンドの240分の1の価値、オーストラリア・シリングはオーストラリア・ポンドの20分の1の価値がありました。
ポンドからドルへの通貨圏の移動
1966年、オーストラリアはポンド通貨圏を離脱し、1ポンドにつき2ドルのレートでドル通貨圏に移動しました。
1965年に、当時の首相であるロバート・メンジーズからは新たな通貨としてロイヤルという名称を提案していました。
ロイヤルはご存じのとおりイギリス王室に由来する名前であり、オーストラリアの親英派はポンドから名称を移行する場合でもイギリスに関する名称にするべきであると主張したのです。
しかし、首相を含む新英派の意見は却下された結果、現在のオーストラリア・ドルとなりました。
オーストラリア・ドルにはコインに現地の動物が描かれており、投資用のコインである地金型金貨・銀貨が多く発行されていることで有名です。
オーストラリアドルの硬貨の種類は下記の通りとなっています。
- 5セント
- 10セント
- 20セント
- 50セント
- 1ドル
- 2ドル
基本的に投資に用いられるのは地金型金貨ですが、動物が描かれていて親しみやすいテーマであることから、一部コレクターからの需要が高い人気のコインも存在します。
オーストラリアの金貨を含めた金貨の価値や種類について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
オーストラリアの3種類のおすすめソブリン金貨
ソブリン金貨とは、1ポンドの価値を持っているコインのことであり、ソベリン、ソヴァリン、ソボレンとも呼ばれます。
1817年から鋳造を開始され、表面に国王の横顔と裏面にセントジョージの竜退治が描かれた現在のイギリス王室の女王陛下エリザベス2世の金貨にもこのデザインが採用されています。
イギリスのコインを収集している方にはなじみの深い金貨ではないかと思いますが、オーストラリアでもイギリス国王が描かれたソブリン金貨が発行されているため、今回はオーストラリアで発行されたソブリン金貨を紹介します。
- ゴールドラッシュ ソブリン金貨 1852年
- ヴィクトリア女王(オールドヘッド) ソブリン金貨 1894年
- ジョージ5世 ソブリン金貨 1911年
ゴールドラッシュ ソブリン金貨 1852年
発行国 | オーストラリア |
発行年 | 1852年 |
額面 | ソブリン |
グレード | - |
直径 | 22mm |
重量 | 8.75g |
品位 | .917 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
ゴールドラッシュが発生した際に発掘された金を用いてアデレード試金局で初めて発行されたソブリン金貨です。
当時の南オーストラリア州は、ゴールドラッシュが発生したヴィクトリア州に労働力も通貨も奪われている状況であり、ヴィクトリア州に出向いた労働者が持ち帰った金もイギリスに送らなければなりませんでした。
オーストラリアは金を通貨や延べ棒に変えてイギリスの規制をかいくぐりました。
こちらの金貨は、ゴールドの価値が上昇したことにより、溶解して換金するためにイギリスに送られたため、現存枚数はほとんどないといわれています。
オーストラリアで発行された初めてのソブリン金貨であり、大変希少なコインとなっています。
ヴィクトリア女王(オールドヘッド) ソブリン金貨 1894年
発行国 | オーストラリア |
発行年 | 1894年 |
額面 | ソブリン |
グレード | MS62 |
直径 | 22mm |
重量 | 8g |
品位 | .917 |
発行枚数 | 4,166,000枚 |
状態 | EF |
こちらはイギリス国王であるヴィクトリア女王のオーストラリアで発行されたソブリン金貨であり、オーストラリアではヴィクトリア女王にちなんでヴィクトリア州が制定されるほどオーストラリアに縁があります。
ヤングタイプのヴィクトリア女王のオールドヘッドタイプの肖像に、裏面にはオーストラリアの文字と王冠だけでなく、「SYDNEY MINT」と描かれているため、発行場所まで分かるようになっています。
イギリス領時代のオーストラリアを象徴するコインの1つといえるでしょう。
ヴィクトリア女王のアンティークコインはこちらの記事で紹介しています。
ヴィクトリア女王のおすすめ金貨・銀貨8選 ウナとライオンを含むコインを紹介
ジョージ5世 ソブリン金貨 1911年
発行国 | オーストラリア |
発行年 | 1911年 |
額面 | ソブリン |
グレード | - |
直径 | 22mm |
重量 | 8g |
品位 | .917 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
ジョージ5世は、ヴィクトリア女王の息子であるエドワード7世の次にイギリス国王になった人物であり、このコインが発行されたときにはすでにオーストラリアは自治領として独立しています。
しかし、こちらの金貨はイギリス本国で発行されているジョージ5世の肖像と、聖ジョージと龍の絵はイギリスの金貨と同じデザインです。
しかし、裏面の年号の横にSの文字が刻まれていることから、シドニーで発行されたことが分かります。
ジョージ5世のコインについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ジョージ5世の人気コインを4つ紹介! 生い立ちと歴史についても解説
動物が描かれたオーストラリアドルの人気コイン3選
アンティークコインでは、エリザベス2世のキャットコインなどの動物が描かれたコインは男女問わず強い人気があります。
オーストラリアでは、カンガルーなどの地元の動物が描かれたコインを発行してきたので、人気コインを3つ紹介します。
- オーストラリア カンガルー金貨 2024年
- オーストラリア コアラ金貨 2009年
- オーストラリア カワセミ銀貨 2022年
オーストラリア カンガルー金貨 2024年
発行国 | オーストラリア |
発行年 | 2024年 |
額面 | 100オーストラリアドル |
グレード | - |
直径 | 32.6mm |
重量 | 31.1g |
品位 | .999 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
オーストラリアのカンガルー金貨は、前身がナゲット(金塊)のデザインであったことから地域によっては今でもナゲット金貨と呼ばれることもありますが、毎年デザインを変えて発行されている地金型金貨です。
2匹のカンガルーがオーストラリアの広大な平原を飛び回る様子と、裏面にはイギリス王室のチャールズ3世の肖像が描かれています。
日本では三菱マテリアル株式会社が販売しており、地金型金貨であることから含有している金による価値の変動はありますが、現代で広く発行されているためプレミア価値はほとんどない商品になります。
カンガルー金貨についてはこちらの記事で紹介しています。
カンガルー金貨の人気のデザイン一覧! 価値や特徴について詳しく解説
オーストラリア コアラ金貨 2009年
発行国 | オーストラリア |
発行年 | 2009年 |
額面 | 200オーストラリアドル |
グレード | - |
直径 | 32.6mm |
重量 | 31.1g |
品位 | .999 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
オーストラリアのコアラ金貨は地金型金貨として発行された経緯がありながら、年度によっては発行枚数が極端に少ないことから一部のコレクターから需要があり、プレミア価値もあるコインです。
ユーカリの葉に上るコアラの絵に、エリザベス2世の肖像画裏面に描かれています。
こちらのコインも発行年度によってコアラのデザインが変わるので集めて楽しいコインとなっています。
オーストラリア カワセミ銀貨 2024年
発行国 | オーストラリア |
発行年 | 2024年 |
額面 | 1オーストラリアドル |
グレード | - |
直径 | 40.9mm |
重量 | 31.1g |
品位 | .999 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | - |
オーストラリアの動物でカワセミのイメージを持つ人は少ないかもしれませんが、こちらの地金型銀貨は地元ではクッカバラと呼ばれる日本ではその独特的な笑い声のような鳴き声からワライカワセミと呼ばれるオーストラリアに分布する大型のカワセミです。
日本ではこちらの銀貨のことをカワセミ銀貨と呼んでおり、カンガルー金貨と同様に毎年デザインが変わる投資用のコインとして知られています。
収集コインとして希少価値を見出すのは難しいですが、魅力的なデザインからカンガルー・コアラ金貨と同様に収集をしているコレクターもいます。
オーストラリアのアンティークコインに関するよくある質問
それでは、オーストラリアのアンティークコインに関するよくある質問をまとめました。
- オーストラリアのコインを購入するならソブリン金貨と動物コインのどちらがいい?
- オーストラリアのソブリン金貨を含めた希少性のあるコインの売却先は?
それぞれ詳しく解説します。
オーストラリアのコインを購入するならソブリン金貨と動物コインのどちらがいい?
オーストラリアのコインは、イギリスに統治されていた時代・オーストラリア・ポンドを使用していたときのソブリン金貨と現代のオーストラリア・ドルによる動物コインの2種類に分けられます。
購入するならどちらのほうがいいのかについては、コインを購入する目的にもよるでしょう。
オーストラリアのソブリン金貨は希少性が高いものが多いことから収集型金貨としてプレミア価値の上昇を期待して保有できます。
一方で、動物コインは一部のコアラ金貨で例外はあるものの基本的には貴金属の価値に連動する投資用の地金型コインで、希少価値はありません。
目的に合わせるなら希少価値の高まりを期待して長期的に保有を続けるならソブリン金貨、金や銀をコインとして保有し、貴金属価格の上昇を期待するなら動物コインがおすすめです。
オーストラリアのソブリン金貨を含めた希少性のあるコインの売却先は?
オーストラリアのソブリン金貨を含めた希少性のあるコインの買取を依頼したい場合は、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」をおすすめします。
当サイトではオーストラリアだけでなく、イギリスを含めた幅広い国のコインの買取を受け付けており、オーストラリアの金貨の高価買取が期待可能です。
また、当サイトにコインを出品できるので詳しくはこちらのページを参考にしてください。
まとめ
オーストラリアのコインが持つ価値の本質はコインの種類によっても異なるので、それぞれのコインの特徴を理解して購入することが重要です。
動物コインは人気が高いですが、希少性を考えて購入するのは難しいため、金・銀への投資と考えるか、収集品として集める目的で保有することになります。
アンティークコイン市場で高値で取引されるのはソブリン金貨が多いため、コインの価値を理解して手元に置くかどうかを検討してみてください。