オランダではウィルヘルミナ1世やウィレム3世をはじめとするオランダ国王の君主となった人物のアンティークコインが人気です。
イギリスの名誉革命ではウィリアム3世として妻メアリ2世と共にイギリス王になったウィレム3世はイギリス王室と血縁関係があるもののオランダ総督という立場でした。
フランス革命では、バタヴィア共和国からナポレオン一世の弟であるルイ・ボナパルトを国王とするホラント王国に移行した経緯から、アンティークコインでは代表的なテーマであるナポレオン一族のコインとの関係もあります。
この記事では、オランダに関連するアンティークコインをイギリス王室とナポレオン一族、収集テーマとしても知名度の高いコインも含めて金貨・銀貨に分けて紹介します。
オランダの通貨(コイン)について
オランダの通貨は、15世紀から2002年にかけてギルダー(蘭:グルデン)が使用されてきました。ギルダーの種類は下記の通りです。
- 1/2ギルダー銀貨
- 1ギルダー銀貨
- 2.5ギルダー銀貨
- 3ギルダー銀貨
- 5ギルダー金貨
- 10ギルダー金貨
- 20ギルダー金貨
国債金融市場の通貨表記には NLGが使用されましたが、オランダ国内では ƒ という表記が主流でした。
これは旧名であるフローリン金貨の名残からこのように表記されています。
1ギルダーは100セントのレートで取引されましたが、2002年にEUのユーロ導入に伴い姿を消し、現在のオランダの通貨はユーロが使用されています。
オランダの希少性の高いおすすめ金貨3選
オランダのアンティークコインでおすすめの金貨を3種類紹介します。
- ウィルヘルミナ1世 10ギルダー金貨 1897年
- ウィレム3世 10ギルダー金貨 1876年
- ウィリアム3世 5ギニー金貨 1701年(ファインワーク)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ウィルヘルミナ1世 10ギルダー金貨 1897年
概要 | 内容 |
発行国 | オランダ |
発行年 | 1897年 |
額面 | 10ギルダー |
グレード | - |
直径 | 24mm |
重量 | - |
品位 | - |
発行枚数 | 453,696枚 |
状態 | UNC |
ウィルヘルミナ1世は、第4代オランダ国王であり、ウィレム3世と王妃エンマの長女です。
イギリスのヴィクトリア女王から高い評価を受けており、娘のユリアナに譲位するまで58年という長い在位期間で女王親政によりオランダを支えました。
父ウィレム3世の崩御が早く幼少期に即位したウィルヘルミナ1世の肖像は4種類あり、こちらの金貨は少女タイプと呼ばれる女王の幼少期の肖像を描いたものです。
1892年~1897年に発行されたコインが少女タイプ、1898年~1909年がティアラを付けたヤングヘッドタイプ、1910年~1917年が成年像タイプ、1922年~1945年は老年像タイプが発行されました。
裏面にはオランダ国章が描かれており、オランダのアンティークコインのなかでもトップクラスの人気を誇ります。
ウィレム3世 10ギルダー金貨 1876年
概要 | 内容 |
発行国 | オランダ |
発行年 | 1876年 |
額面 | 10ギルダー |
グレード | - |
直径 | 22.5mm |
重量 | 6.75g |
品位 | 0.900 |
発行枚数 | - |
状態 | - |
ウィレム3世は、ウィレム2世とロシア皇帝パーヴェル1世の娘であるアンナ・パヴロヴナの長男です。
現国王であるウィレム=アレクサンダーが生まれるまでオランダでは直系の男児が生まれることがなかったため、100年以上に渡るオランダ女王の治世の前に生まれた最後の国王となります。
ウィレム3世の左向き肖像に「GOD ZIJ MET ONS(神よ我らと共に)」「KONING WILLEM DE DERDE(国王ウィリアム3世)」と彫刻されているのが特徴です。
GOD ZIJ MET ONSはオランダの代表的なことわざであり、ラテン語の起源である「Si Deus nobiscum quis contra nos(神が我々と共にいるならば、誰が我々に敵対するだろうか)」を拡大したものであり、現在の2ユーロのオランダ硬貨にも書かれています。
裏面はウィルヘルミナ1世の金貨と共通しているオランダ国章と額面・発行年が彫刻されています。
ウィリアム3世 5ギニー金貨 1701年(ファインワーク)
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1701年 |
額面 | 5ギニー |
グレード | AU58 |
直径 | 36mm |
重量 | 41g |
品位 | .917 |
発行枚数 | 不明 |
状態 | EF(準未使用) |
オランダに関連する金貨として紹介するのは、オランダ総督でありながらイギリス国王に即位したウィリアム3世の金貨です。
ウィリアム3世はオラニエ公ウィレム2世とチャールズ1世の王女メアリー・ヘンリエッタ・ステュアートの間に生まれました。
チャールズ2世の弟のジェームズ2世の娘であるメアリー2世と結婚し、イギリスの共同統治者になります。
1701年に発行されたこちらの金貨はファインワークスと呼ばれ、立体感が美しくハイレリーフのような完成度であったことからこのように呼ばれています。
コレクターからの人気も高く、オランダに関連する知名度の高い金貨です。
ウィリアム3世について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ウィリアム3世のおすすめコイン3選! メアリー2世との共同統治について
オランダの3種類のおすすめ銀貨
オランダのおすすめ銀貨を3種類紹介します。
- ウィレム2世 1/2ギルダー銀貨 1848年
- ウィレム1世 1ギルダー銀貨 1840年
- ルイ・ボナパルト 50スタイバー銀貨 1808年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ウィレム2世 1/2ギルダー銀貨 1848年
概要 | 内容 |
発行国 | オランダ |
発行年 | 1848年 |
額面 | 1/2ギルダー |
グレード | - |
直径 | 28mm |
重量 | 10g |
品位 | 0.945 |
発行枚数 | - |
状態 | - |
ウィレム2世は、初代オランダ国王ウィレム1世の息子であり、ナポレオン1世のフランス侵攻によりイギリスに亡命をした後に父の譲位により即位した国王です。
鎖国時代の日本に連絡を取っていた人物であり、日本に対して開国を勧告する内容の国書を徳川家慶に送っています。
自由主義派の要求する王権を制限する憲法改正を認めたことで、息子のウィレム3世は自由にに王権を振るうことができなくなりました。
表面にはウィレム2世の右向き肖像、裏面にはオランダ国章が描かれています。
在位期間が1840年~1849年と短いことから、ウィレム2世のコインは珍しいです。
ウィレム1世 1ギルダー銀貨 1840年
概要 | 内容 |
発行国 | オランダ |
発行年 | 1840年 |
額面 | 1ギルダー |
グレード | - |
直径 | 28mm |
重量 | 10g |
品位 | 0.945 |
発行枚数 | - |
状態 | - |
ウィレム1世は初代オランダ王国の国王であり、最後のオランダ総督であるオラニエ公ウィレム5世とプロイセン王女のヴィルヘルミーネとの間に生まれます。
開明的専制君主、遅れてきた啓蒙専制君主、商人王と高く評価されることが多い国王です。
1840年の最後の在位年に発行されたウィレム1世の1ギルダー銀貨は特殊であり、これまで直径30ミリ、重さ10.76グラム、品位.893であった銀貨を軽量化しています。
1945年にウィルヘルミナ1世の老年像タイプの1ギルダー銀貨が発行されるまで共通した規格で銀貨が発行されることとなりました。
ルイ・ボナパルト 50スタイバー銀貨 1808年
概要 | 内容 |
発行国 | オランダ(ホラント王国) |
発行年 | 1808年 |
額面 | 50スタイバー |
グレード | - |
直径 | 36mm |
重量 | 26.34g |
品位 | 0.912 |
発行枚数 | 2,465,807枚 |
状態 | - |
ルイ・ボナパルトはナポレオン1世によってオランダ王国を侵略した際に、ホラント王国のローデウェイク1世として即位しました。
ナポレオンの兄妹たちは、ナポレオンが侵略した国の国王になりましたが、基本的にはナポレオン1世の傀儡となっていたケースが多かったのですが、ルイ・ボナパルトは経済復興を行い、カトリック教会の復権に取り組むなどオランダ人のための政策を取ったといわれています。
ルイ・ボナパルトによるオランダ統治は1806年~1810年と短いものでしたが、1808年にこの50スタイバー銀貨が大量に発行されました。
ルイ・ボナパルトについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ルイ・ボナパルト(オランダ王)のおすすめアンティークコインを紹介
オランダのアンティークコインに関するよくある質問
オランダのアンティークコインに関するよくある質問をまとめました。
- オランダのアンティークコインを購入するおすすめの方法は?
- オランダの金貨・銀貨はどこで売却できる?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
オランダのアンティークコインを購入するおすすめの方法は?
オランダのアンティークコインは、コイン専門店を利用して購入するのがおすすめです。
素性の分からない出品者からオークションなどで購入するよりも、古物商許可証を取得した専門店で購入するほうが相場に沿った価格で購入しやすくなります。
贋作などのリスクに対して万が一にもコインが偽物であった場合の保険として永久買戻し保証を付けているコイン専門店を選ぶと安心です。
オランダのアンティークコインを購入するなら、信頼できるコイン専門店を選びましょう。
オランダの金貨・銀貨はどこで売却できる?
オランダの金貨・銀貨は当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」を通して売却可能です。
コインの鑑定から現金化まで1からサポートしますので、お気軽にお申し付けください。
また、当サイトにコインを出品することも可能です。
オランダのアンティークコインだけでなく、世界中の金貨・銀貨の買取を受け付けているので、詳しくはこちらのページからお問い合わせください。
まとめ
オランダのアンティークコインを金貨・銀貨に分けて紹介しましたが、オランダ総督のイギリス国王への即位、ナポレオン1世による侵攻によるホラント王の誕生、オランダ王国成立後の君主たちのコインが主にオランダに関連するアンティークコインになります。
イギリス王室・ナポレオン一族関連のコインが人気であることはもちろんのこと、ウィルヘルミナ1世のコインもコレクターから高い人気を誇るコインです。
今回の記事で気になったコインがある場合や、売却したときの価値が気になるコインがあるなら、コイン専門店を通じて購入・買取を行ないましょう。