古代ローマのアンティークコインは、アンティークコインのなかでも古代コインに該当し、コインについて知識がない方がイメージするアンティークコインは古代に発行されたものを意識するかもしれません。
状態の良い希少なコインが現存しているなら、博物館への展示などが検討されるほど文化遺産としての価値が高いといえますが、一般的に流通している古代コインは状態が芳しくないものが多く、値上がりしづらい傾向にあります。
ただし、発行年数の新しいコインと比較して値崩れがしにくいという特性を持っており、安定した価値があることから、コレクション目的でも安心して収集しやすく、資産防衛を目的に購入するならリスクが低くなりやすいという独自のメリットを持つのです。
この記事では、古代ローマのアンティークコイン特集として、おすすめの金貨・銀貨を紹介します。
古代ローマのアンティークコインとは
古代ローマは、紀元前からイタリア半島中部のローマを中心に領土を拡大し、地中海全域を支配する帝国となった国家の総称です。
この時代に造られた金貨を含む多種多様なコインが発見されており、その一部が後世にも残っており、収集の対象となっています。
主にローマ帝国時代のコインが現存していますが、ローマ共和国時代のコインもあります。
大きな値上がりはイギリス王室シリーズのアンティークコインと比較すると望めないかもしれませんが、収集する上で価値が変わりにくい安心感や、資産防衛を意識しやすいなど収集家・投資家ともにメリットがあるのが古代ローマのアンティークコインです。
また、代表的な鑑定機関であるPCGS社は16世紀までのアンティークコインまでしか鑑定に対応していない点には注意が必要になります。
古代ギリシャのアンティークコインについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ギリシャのアンティークコインの歴史と価値【6種の金貨・銀貨】
古代ローマのおすすめ金貨・銀貨
古代ローマのおすすめ金貨・銀貨を紹介します。
- 古代ローマ(ローマ帝国)ティベリウス アウレウス金貨 AD15-18
- 古代ローマ(ローマ帝国)ネロ アウレウス金貨 AD65-66
- 古代ローマ(ローマ帝国)アントニヌス・ピウス アウレウス金貨 AD155-156
- 古代ローマ(ローマ帝国) コンスタンティヌス1世 ソリダス金貨 AD336-337
- 古代ローマ(ローマ共和国)マルクス・アントニウスとクレオパトラ7世 テトラドラクマ銀貨 約紀元前36年
古代ローマ(ローマ帝国)ティベリウス アウレウス金貨 AD15-18
概要 | 内容 |
発行国 | 古代ローマ(ローマ帝国) |
発行年 | AD15-18 |
直径 | 19mm |
状態 | VF |
初代皇帝アウグストゥスの娘リヴィアと結婚し、ローマ帝国歴代2番目の皇帝となったティベリウスの金貨です。
表面は月桂冠を被った皇帝ティベリウスと銘文「神聖なるアウグストゥスの息子である皇帝ティベリウス」。
裏面は恐らくですが、初代皇帝アウグストゥスの妻であるリヴィアの座像です。銘文は「最高の司教」。
ルグドゥノムはフランス・リヲンの周辺地域でこのコインは発行されました。
古代ローマ(ローマ帝国)ネロ アウレウス金貨 AD65-66
概要 | 内容 |
発行国 | 古代ローマ(ローマ帝国) |
発行年 | AD65-66 |
状態 | EF |
ユリウス・クラウディア朝最後の皇帝であるネロは、歴代5代目であるローマ皇帝として君臨しました。
母親の殺害など芸術を愛した暴君としての逸話が現代において語られることが多くなっていますが、歴史研究が進むなかで、大衆から愛されていたという事実が見え、実際には名君であったという解釈が広まっています。
表面は月桂冠を被ったネロ皇帝と銘文は皇帝ネロと書かれています。裏面はローマの主神であるユピテルが雷霆を手に持つ座像であり、守護者ユピテルとつづられています。
ローマ皇帝のなかでも知名度が高く、再評価により人気も高まっているため、古代ローマの金貨のなかでもおすすめの1枚です。
古代ローマ(ローマ帝国)アントニヌス・ピウス アウレウス金貨 AD155-156
概要 | 内容 |
発行国 | 古代ローマ(ローマ帝国) |
発行年 | AD155-156 |
直径 | 19mm |
状態 | -EF |
アントニヌス・ピウス(慈悲深きアントニヌス)は、先帝であるハドリアヌスが元老院から恨まれていたにもかかわらず、神として祭るように説得したことを美談にしてそう呼ばれるようになりました。
五賢帝として数えられており、そのなかでも最も優秀であるという意見も多く、その根拠としてアントニヌスの治世下では大きな戦争と反乱が起こらなかったからです。
表面には月桂冠を被ったアントニウス・ピウスの肖像、裏面には古代ローマ人特有の羽織ものを着たアントニウス・ピウス立像が描かれています。
古代ローマ(ローマ帝国) コンスタンティヌス1世 ソリダス金貨 AD336-337
概要 | 内容 |
発行国 | 古代ローマ(ローマ帝国) |
発行年 | AD336-337 |
直径 | 22mm |
状態 | EF |
コンスタンティヌス1世は、初めてキリスト教徒のローマ皇帝として国教をキリスト教にした人物です。
ソリダス金貨は皇帝ディオクレティアヌスの時代には既に発行されていましたが、コンスタンティヌス1世は新たな貨幣制度でこれを発行し、ソリダス金貨を信用度の高い流通貨として確立しました。
表面にはコンスタンティヌス1世の肖像と「CONSTANTINVS MAX AVG(最高権力者である皇帝コンスタンティヌスつまりは大帝コンスタンティヌス)」と書かれています。
裏面には「VICTORIA CONSTANTINI AVG(勝利する皇帝コンスタンティヌス)」と書かれ、勝利の女神ヴィクトリーが持つ盾にVOTXXXXとありますが、これはコンスタンティヌス大帝の治世が40年続くように祈念を表します。
女神ヴィクトリーの下にCONSと刻まれていますがこれはコンスタンティノープルで造幣されたことを表すミントマークです。
オーストリアで開催されたオークションで同程度のコンディション出品物が2500ユーロスタートから9500ユーロで落札となりました。当時の為替状況において落札手数料含めて約140万円になります。
古代ローマ(ローマ共和国)マルクス・アントニウスとクレオパトラ7世 テトラドラクマ銀貨 約紀元前36年
概要 | 内容 |
発行国 | 古代ローマ(ローマ帝国) |
発行年 | 約紀元前36年 |
直径 | 25mm |
状態 | EF |
クレオパトラ7世フィロパトルは、プトレマイオス朝の最後の女王であり、絶世の美女として言い伝えられる多くの人々が知るクレオパトラは彼女を指します。
知略に優れた女王であり、ローマ共和国の軍事人マルクス・アントニウスと結婚し、自身の立場を確固たるものにしました。
こちらの銀貨は肖像も描かれていることから、現代には残っていないクレオパトラの素顔を知る大きな手掛かりとなっています。
クレオパトラの肖像は髪飾りを施し、首には真珠のネックレスが描かれ綺麗に飾り付けられています。
マルクス・アントニウスの肖像は軍人らしく太い首の厳つい顔つきで飾り気はなく、対照的なデザインです。
クレオパトラの知略はその美貌が重要であったため、古代ローマ・古代エジプトの歴史を紐解くにも重要なコインといえるでしょう。
古代ローマのアンティークコインに関するよくある質問
古代ローマのアンティークコインに関するよくある質問をまとめました。
- 古代ローマのアンティークコインはどこで購入できますか?
- 古代ローマの金貨・銀貨を売却する方法を教えてください
それぞれ詳しく解説します。
古代ローマのアンティークコインはどこで購入できますか?
古代ローマのアンティークコインは、コイン専門店で購入できます。
オークションサイトでも落札できますが、素性の分からない個人から購入するのは、偽物や相場より極端に高い価格で入手してしまうリスクが高いので推奨していません。
古代コインの取り扱いもあるコイン専門店から購入するようにしましょう。
古代ローマの金貨・銀貨を売却する方法を教えてください
古代ローマの金貨・銀貨は、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」において買取を受け付けています。
コインの年代にとらわれず、世界中のコインの買取を受け付けているので、古代ローマを含む古代コインの売却に対応しています。
詳しくはこちらのページからお問い合わせください。
まとめ
古代ローマの金貨・銀貨は、そのロマンに惹きつけられて根強い愛好家が多く存在しており、人気のあるアンティークコインです。
古代の歴史が好きな方もコインの価値が安定しているからこそ安心して収集しやすいといえるので、ご自身の目的に合わせて古代コインの購入も検討してみましょう。
アンティークコインの購入方法についてはこちらの記事で紹介しています。