どの投資においても非常に重要になるのは銘柄選びであり、アンティークコイン投資における銘柄は世界中に存在するコインの数だけあります。
日本の東証証券取引所に上場している株式の種類は4,000近くありますが、アンティークコインはそれを超える万や億、発行年によるコインデザインの違いなどを含めれば途方もない数字です。
投資対象としてアンティークコインに興味を持っても、なにを購入すればいいのか分からないので始められないという方も多くいます。
この記事では、アンティークコイン投資のおすすめ銘柄の紹介や、高額コインの値上がり事例についても解説します。
アンティークコインにおける投資戦略とは?
世界で広くコレクションの対象として取引されるアンティークコインですが、なぜ世界の富裕層の間で話題となり、投資対象として注目を集めているのでしょうか。
それは、アンティークコイン投資における投資戦略が非常にシンプルで分かりやすく手間もかからないからです。
株式や債券などの金融資産にはない独自のメリットを持ち長期的な資産形成に適していることも注目されている理由になります。
アンティークコインにおける投資戦略は下記の2つの流れで完結します。
- 希少性が高く資産価値の成長が期待できるコインを探す
- コインの状態を保ちつつ長期的に保有し売却する
希少性が高く資産価値の成長が期待できるコインを探す
アンティークコイン投資において重要になるのは、資産価値が成長し、将来的に利益が得られるコインを選ぶことです。
このとき値上がりしやすいコインの特徴は3つあります。
- 発行枚数が少なく希少性が高い
- 傷などが少なく状態がいい
- デザインが美しく需要が大きい
上記の3つの条件を満たしたコインは、資産価値が成長しやすいです。
なぜなら、アンティークコインは新たに発行されることがないので、現存枚数が減ることはあっても増えることがないことが価値の保証になっています。
また、世界には多数のコイン収集家がいるため、需要がなくなり突然アンティークコインが無価値になることも考えにくいです。
ただし、希少性が高くても需要が少ないので割安で放置される場合や、状態もよくデザインが美麗でコレクター人気があっても発行枚数が多ければほとんど値上がりしないことも考えられます。
自身の余裕資産の範囲内で、この条件を満たすコインを見つけることがアンティークコイン投資における大きな課題です。
コインの状態を保ちつつ長期的に保有し売却する
アンティークコイン投資は購入するコインを選んだ後は、特別なことをする必要はありません。
株やFXのように毎日株価や為替の値動きを確認する必要もなければ、不動産のように定期的な物件の管理も行いません。
ただ、コインの状態を保つことを心掛け、長期的な価値の向上を待つだけです。
時折、傷つけない形で鑑賞するのもよいですし、アンティークコイン投資は保有しているコインの成長を楽しむ投資方法になります。
5年、10年、20年とコインの成長を待ち、資産価値が成長したことを買取などで確認できたタイミングで売却しましょう。
しかし、資産価値の高いアンティークコインを手元に置くのは心配だという方もいることでしょう。
アンティークコイン投資をご検討している方にも万全のサービスを提供する当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」では、購入したコインを金庫で責任を持って預かっています。
災害や盗難などの手元に置くリスクに不安を感じる方は、預かりサービスを利用することでより万全な体制で投資できます。
アンティークコイン投資におけるウナとライオンの値上がり事例
ここからは、アンティークコイン投資における具体的な値上がりの事例について解説します。
ウナとライオンとは?
アンティークコインのコレクターの間では、ほとんどの人が知っているほど知名度が高く人気のコインがウナとライオンの5ポンド金貨です。
1839年に彫刻家ウィリアムワイオンは、表面にヴィクトリア女王の肖像、裏面にイギリスの国獣であるライオンを女王が導く様子を描いたコインは世界一美しいコインとして知られています。
発行枚数わずか400枚という希少価値の高さもあり、多くのコレクターにとってウナとライオンを所有することは夢や憧れに近い感情を持つほどです。
高い希少価値に美しいデザインという2つの条件が揃ったコインですが、この条件に加えて状態のいいコインが現存していれば高い価値を持つことは間違いないといえるでしょう。
ウナとライオンのアンティークコインはこちら
約2億7,450万円で落札
それでは、2023年10月に行われたオークションの事例を見ていきましょう。
MDCモナコオークションに出品された今回のウナとライオンの5ポンド金貨は、コイン鑑定会社として権威を持ち厳しい基準での鑑定をすることで有名なPCGS社から「PR67DCAM」の最高クラスのグレードに認定されたコインでした。
ウナとライオンはこれまで約1億5,840万円で落札されたこともありましたが、今回のオークションでは€1,300,000(日本円で約2億7,450万円)※1で落札され、ついに2憶の大台に乗りました。
今回の事例で驚くべきことは、その状態の良さであり、奇跡的なコンディションであると評されました。
かつての5ポンド金貨が、2億円以上の価値を持つほど資産価値が成長したというアンティークコイン投資における代表的な値上がり事例といえるでしょう。
※1参考:PR TIMES
編集部が選ぶアンティークコイン投資のおすすめ銘柄
ここまで具体的な値上がり事例について紹介しましたが、具体的に投資できるおすすめ銘柄が知りたいという方も多いことでしょう。
今回はアンティークコインジャーナル編集部の選ぶおすすめ銘柄を3つ紹介します。
- イギリス エリザベス2世 スリーグレイセス 500ポンド金貨 2020年
- イタリア王国 ヴィットリオ・エマヌエレ3世 100リレ金貨 1925年
- アメリカ パナマパシフィック博覧会 八角形タイプ 50ドル金貨 1915年
- ブラジル ペドロ2世 金メダル 19世紀【発行枚数3枚】
- カナダ ジョージ6世 1ドル銀貨 (オタワ鋳) 1948特年
イギリス エリザベス2世 スリーグレイセス 500ポンド金貨 2020年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 2020年 |
額面 | 500ポンド |
グレード | NGC PF69 |
直径 | 50mm |
重量 | 156.295g |
品位 | 999/1000金 |
発行枚数 | 160枚 |
状態 | Proof FDC |
スリーグレイセスとは、イギリスの伝説的な彫刻家であのウナとライオンのデザインも手掛けたウィリアムワイオンの初期の作品です。
しかし、スリーグレイセスのデザインが描かれたコインは試鋳にとどまっており、正式に流通したことがないことからオリジナルの希少性は非常に高いです。
多くのコインコレクターから待ち望まれる形で、正式に発行されることがなかったスリーグレイセスをリストライクした金貨がこちらになります。
ギリシャ神話の3美神をモデルに、イングランド、スコットランド、アイルランドの3国を擬人化したデザインとなっています。
幻のデザインであったことから人気も高く、リストライク品でありながら発行枚数も限られているため、将来的に価格の上昇が期待できるアンティークコイン投資に適した銘柄の一つとなっています。
スリーグレイセス金貨・銀貨とは? ロイヤルミントの傑作コインに迫る!
イタリア王国 ヴィットリオ・エマヌエレ3世 100リレ金貨 1925年
概要 | 内容 |
発行国 | イタリア |
発行年 | 1925年 |
額面 | 100リレ |
グレード | PF63 MATTE |
直径 | 35mm |
重量 | 32g |
品位 | .900 |
発行枚数 | 5,000枚 |
状態 | Matte Proof UNC(完全未使用) |
イタリアのアンティークコインといえば、ヴィットリオ・エマヌエレ3世といわれるほどアンティークコインの世界では人気の高い第一次世界大戦参戦10周年を記念して発行された100リレ金貨になります。
発行枚数が5,000枚と希少でありながらも、マット仕上げがなされたこちらのコインは傷つきやすいことから状態のよいものがさらに少ないのですが、上記のコインはNGC社で「PF63Matte」の高いグレードで評価されたコインになります。
表面には58歳当時のヴィットリオ・エマヌエレ3世の左向き肖像画が描かれ、裏面は旗を掲げ、女神像を持った躍動感のある男性がデザインされた力強さを感じられるコインです。
アンティークコインはその性質から状態の良し悪しで大きく価値が変わってしまうコインも存在するので、グレードは必ず意識して購入するようにしましょう。
イタリア アンティークコインの価値と歴史【10種類の金貨・銀貨】
ヴィットリオ・エマヌエレ3世のアンティークコインはこちら
アメリカ パナマパシフィック博覧会 八角形タイプ 50ドル金貨 1915年
概要 | 内容 |
発行国 | アメリカ |
発行年 | 1915年 |
額面 | 50ドル |
グレード | MS63 |
直径 | 45mm |
重量 | 83.59g |
品位 | 金90% 銅10% |
発行枚数 | 645枚 |
状態 | UNC+(未使用) |
アンティークコインの収集家の属性について「コインライブラリー・プリンシパル」の調査※2では近年女性のコレクターまたは、投資家も増えていますが、依然として男性の割合が高いことに変わりありません。
これまでの人気のコインもウナとライオンといったように女性が描かれたものが多いため、最後は女神ミネルヴァが描かれたアメリカのパナマパシフィック博覧会を記念して作られた50ドル八角型金貨を紹介します。
当時、コインの買い手を新聞広告で募集しましたが、八角型金貨は645枚しか発行されていないアメリカのコインの中でも収集難度の高い最高レベルに希少な金貨です。
サンフランシスコの彫刻家であるロバート・エイトケンがデザインした金貨であり、八角形のタイプと丸型のタイプがあります。
表面には女神ミネルヴァが描かれ、裏面には知恵の象徴とされるフクロウが彫られています。
動物が描かれたコインは男女問わず共通して人気があるので、将来の買い手の属性を考えながら人気や需要を判断してもいいかもしれません。
※2 調査内容の参考ページ
ブラジル ペドロ2世 金メダル 19世紀【発行枚数3枚】
概要 | 内容 |
発行国 | ブラジル |
発行年 | 19世紀(1,800年代) |
額面 | - |
グレード | EF |
直径 | 46mm |
重量 | 85.92g |
品位 | - |
発行枚数 | 3枚 |
状態 | 極美品 |
ペドロ2世はブラジル帝国の第2代かつ最後の皇帝であり、学問や芸術を愛好するリベラルな君主で国民から尊敬され、ブラジルでは国民的な偉人であり「ブラジル史上最高の政治家」とも呼ばれます。
1884年、ブラジル万国博覧会で貢献した3名に授与された金メダルであり、この世に3枚しか存在しないアンティークコインの中でもトップレベルに希少な銘柄です。
表面には彫りの深いペドロ2世の左向き肖像、裏面にはメダルを受け取った「Mr.Thomas Driendl」の名が記載されており、この方はブラジル在住のドイツ人芸術家でした。
コインは3枚しか発行されていないことから文句なく高い希少性を持ち、状態もよく人気も高いことからアンティークコイン投資に適していますので、投資対象となるコインを探すなら発行枚数や現存枚数を考えるのが重要です。
ブラジルのアンティークコイン特集 おすすめの金貨・銀貨を紹介
カナダ ジョージ6世 1ドル銀貨 (オタワ鋳) 1948特年
概要 | 内容 |
発行国 | カナダ |
発行年 | 1948年 |
額面 | 1ドル |
グレード | PCGS MS63 |
直径 | 36mm |
品位 | - |
発行枚数 | 18,780枚 |
状態 | UNC |
カナダで発行されたジョージ6世の1ドル銀貨であり、「Voyageur Dollar(旅のドル)」と呼ばれるシリーズで1966年まで発行されていました。
流通用の銀貨であるため、ほとんどのコインに希少性は認められませんが、ジョージ6世の銀貨であれば1948年に発行されたコインだけは発行枚数が極端に少なかったことから状態の良い銀貨は希少価値があります。
銀貨は金属そのものに価値がほとんどないことから、アンティークコイン投資において銀貨に投資することは、金貨とは異なり金価格など貴金属の価格変動に左右されずにコインの希少性のみに投資しやすいことがメリットです。
表面はジョージ6世の左向き肖像、裏面にはフランス人商人と先住民がカヌーに乗り、毛皮の束を輸送している様子が描かれています。
アンティークコイン投資に適しているコインは金貨だけでなく、希少性のあるコインであれば銀貨にも投資メリットがあるといえます。
カナダの1ドル銀貨とは? イギリス王室の君主の肖像が描かれる希少なコインを紹介
アンティーコイン投資に関するQ&A
アンティークコイン投資を始める上で気になるQ&Aをまとめました。
- アンティークコインはどこで購入できますか?
- アンティークコイン投資に税金はかかりますか?
- アンティークコインの買取はどこで依頼できますか?
それぞれお答えしていきます。
アンティークコインはどこで購入できますか?
近年アンティークコインは、オークションサイトなどで気軽に購入できるようになりました。
しかし、投資対象としてアンティークコインを購入するなら基本的にオークションサイトの利用はおすすめしません。
理由は、相場より高い価格でコインを販売しているケースも多く、コインを高値で購入してしまい、まったく利益が出ずに大損をして失敗してしまうこともあるからです。
相場が分からないコイン初心者の方こそ、購入先は慎重に検討する必要があります。
基本的には信頼できるコイン業者からコインを購入するのが確実です。
当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」では、外国貨幣評価書、カタログ、オークションログを参照した上で適切な価格設定でコインを提供しています。
コインや業者の選び方などアンティークコイン投資の入門知識を知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アンティークコイン投資入門 グレード・希少性・人気などの選び方を解説
アンティークコインの買取はどこで依頼できますか?
アンティークコイン投資を考える際に、出口戦略となる買取先を決めておくことも重要です。
基本的にはコインを購入したコイン業者に買取を依頼できることが理想になります。
当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」では、購入したコインはもちろん他の場所で購入したコインの買取も受け付けています。
また、購入したコインの保管も当サイトに依頼する場合は、売却して現金化するまでの流れがよりスムーズです。
アンティークコイン投資に税金はかかりますか?
コインの購入時には消費税、売却して利益が発生した際に譲渡所得として課税の対象になります。
また、アンティークコインの相続、贈与が発生した場合も税金の対象になるので気をつけましょう。
税金の申告をする場合、相続税・贈与税に関しては複雑であり個人で正確に申告するのは難しいので、必要に応じて税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
アンティークコイン投資の税金について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
アンティークコイン投資の税金とは? 購入・売却・相続にかかる税金
まとめ
ここまで銘柄を選ぶ基準を交えながら実際に存在するアンティークコインの銘柄を紹介しました。
アンティークコイン投資におすすめの銘柄は、予算によっても異なるので、選び方を意識しながら自分にとって一番いいコインを選ぶのが最善です。
また、今回紹介したコインのなかで気になるコインがありましたらお気軽にお問い合わせください。
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