コイン収集においてモダンコインという言葉を聞くことがあるかもしれませんが、アンティークコインとモダンコインに違いがわからない人もいるかもしれません。
簡潔に説明するならモダンコインは発行から50年以内、または100年未満のコインのことを指し、近年に発行されたコインの総称です。
また、イギリス貨幣史においては明確に定義されていることから、イギリス王室で近年に発行されたウナとライオンやダイアナ妃のコインなどを指す場合もあります。
この記事では、モダンコインについてアンティークコインとの違いを含めて解説した上で、モダンコインと呼ばれるコインの中でも人気の種類をご紹介していきます。
モダンコインとは?
モダンコインとは、明確に定義された言葉ではありませんが、100年以上前に発行されたアンティークコインと比較して近年に発行されたコインのことを指す場合が多いです。
具体的な年数は発行から50年以内、アンティークコインが100年以上前に発行されたコインと定義するなら発行から100年未満のコインという意味で使われることがあります。
イギリスの貨幣史においては、1945年の第二次世界大戦以降に発行されたエリザベス2世のコインをモダンコインと呼びます。
2019年に復刻版として発行されたウナとライオンや、1999年にダイアナ妃の追悼記念として発行された5ポンド金貨は代表的なモダンコインといえるでしょう。
モダンコインの定義は、使用者によって異なるところではありますが、近年に発行されたコインという認識で間違いありません。
モダンコインとアンティークコインの違い
コインの収集や、特に投資において、モダンコインはアンティークコインという言葉に括られることも多いです。
アンティークコイン投資において人気の金貨に2019年発行のウナとライオン金貨が挙げられることもあります。
古いコインについては海外を中心にオールドコイン、ヴィンテージコインと呼ばれる場合もあり、古くても投資対象として価値のないコインは数多く存在しています。
そのため、コイン投資においては価値があることが重視されることから、アンティークコイン投資という言葉自体にも古いだけでなく価値のあるコインに投資することが含まれるといえるでしょう。
モダンコインとアンティークコインを明確に区別することなく、総合して価値のあるコインに投資するという意味でアンティークコイン投資と呼ばれるようになったと考えられます。
コインは発行から時間が経つほど状態の良いコインの現存枚数が減少するため、希少性が高くなり価値が上昇しやすい性質を持ちます。
しかし、モダンコインは元々の発行枚数の少なさから希少性が高く、人気のあるデザインで発行されたことから発行されて間もない段階で大きく高騰し、価値が認められました。
モダンコインとアンティークコイン、その違いは年代だけを考えれば近年に発行されたコインと古くに発行されたコインです。
しかし、アンティークコインには価値のあるコインという意味も含まれていることから、価値のあるモダンコインがアンティークコインと呼ばれるため、一部のコインにおいては同様にアンティークコインに該当することがあります。
アンティークコイン投資についてはこちらの記事で紹介しています。
アンティークコイン投資とは? 初心者もわかるメリット・デメリット
モダンコインが大きく値上がりしている理由
アンティークコイン投資に興味を持った理由として、復刻版のウナとライオンの高騰であったという人もいるかもしれません。
モダンコインは古くに発行されたアンティークコインとは異なり、長期的に価格が上昇するのではなく、発行されて間もない段階で大きく高騰しています。
2019年に発行されたウナとライオンの金貨の5オンス金貨の発行枚数はわずか65枚、人気の金貨であるにも関わらず発行枚数が非常に少ない状況です。
約225万円で販売されたこのコインは、わずか半年で1,000万円を超える値が付けられ、大きく高騰しました。
また、ダイアナ妃の追悼記念金貨は、発行枚数は7,500枚と少数ではないものの、ダイアナ妃本人の人気の高さから大きく値上がりした事例の一つとなりました。
上記の大きな値上がりを経験したコインは短期的な売買や投機に用いられていることから、価値が安定しにくく、局面として下落を経験しています。
モダンコインは安定した価値を持つアンティークコインと比較すると、話題性の高さから短期的に価格が上下しやすいといえるでしょう。
そのため、大きく高騰したアンティークコインは一時的に価値が下落することが考えられますが、発行枚数の少なさなどから再び価値があると認められれば長期的な上昇も期待できます。
長期投資を前提にモダンコインを購入する場合は、投資タイミングが重要といえるでしょう。
モダンコインは人気のコインであれば、その話題性の高さから転売・投機目的の買いが集まりやすいことから、大きな値上がりが発生することがあります。
人気の高いモダンコインの種類
それでは、実際に人気の高いモダンコインの種類を紹介していきます。
- エリザベス2世 ウナとライオン 500ポンド金貨(5オンス) 2019年
- ダイアナ妃 追悼記念 5ポンド金貨 1999年
- エリザベス2世 スリーグレイセス 500ポンド金貨(5オンス)2020年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
エリザベス2世 ウナとライオン 500ポンド金貨(5オンス) 2019年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 2019年 |
額面 | 500ポンド |
直径 | 50mm |
重量 | 5オンス |
発行枚数 | 65枚 |
グレード | PF70UCAM |
ヴィクトリア女王生誕200周年を記念して復刻されたウナとライオンの額面500ポンドの5オンス金貨です。
オリジナルは1839年に発行されたヴィクトリア女王の5ポンド金貨であり、アンティークコインにおいて高い評価を受けている芸術家である彫刻家ウィリアム・ワイオンの最高傑作として知られています。
世界で一番美しい金貨と呼ばれたウナとライオンは、多くのコレクターが復刻を待ち望んだコインであり、復刻版が発行されて間もない段階で4倍近い値上がりを達成しました。
ウナ(若き女王ヴィクトリア)がライオン(国民)を導く様子が描かれたデザインであり、発行枚数は400枚とオリジナルのほうが多いものの、すべて贈呈用に製造されたものだったようです。
オリジナルとは異なり、ヴィクトリア女王の肖像ではなく、当時の君主であるエリザベス2世の肖像が描かれている違いがあります。
発行枚数は65枚と非常に少なく、一時的な高騰による下落はあったものの、長期的に考えればさらなる価値の上昇が期待できるコインです。
また、こちらの金貨はグレードにおいても最高ランクとなる「PF70 ULTRA CAMEO」であり、1ランクグレードの下がる「PF69 ULTRA CAMEO」とは相場となる価格が2倍以上離れることもあります。
アンティークコインとは異なり、モダンコインを高値で取引するにはグレードが最高であることが基本といえるでしょう。
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ダイアナ妃 追悼記念 5ポンド金貨 1999年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1999年 |
額面 | 5ポンド |
直径 | 36mm |
重量 | 39.94g |
発行枚数 | 7,500枚 |
グレード | PF69 UCAM |
ダイアナ妃は、イギリス王室の中でもトップクラスに国民に愛された人物であり、モダンコインの中でもその人気の高さから高騰したコインになります。
1999年の発行当時は発行枚数が7,500枚とモダンコインの中でも大量に発行されていたことから、特別に価値がある金貨として取引されていませんでした。
しかし、ウナとライオンをはじめイギリス王室のモダンコインの価値の上昇が注目されると、ダイアナ妃の肖像を描いた金貨の種類が少ないこともあり、人気が高まり高騰していきました。
表面にはダイアナ妃の肖像、裏面にはエリザベス2世の肖像が描かれています。
発行当時の価値と比較すれば、わずか20年で大きく価値が高騰した金貨であるといえるでしょう。
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エリザベス2世 スリーグレイセス 500ポンド金貨(5オンス)2020年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 2020年 |
額面 | 500ポンド |
直径 | 50mm |
重量 | 5オンス |
発行枚数 | 160枚 |
グレード | PF70UCAM |
スリーグレイセスとは、ウナとライオンの作者であるウィリアム・ワイオンの初期の作品であり、実際に流通することはなかったコインではありますが、後世で評価されています。
試鋳貨幣であるため、オリジナルの金貨で現存しているものは博物館で展示されるほどの希少性であり、そのためコレクターの間では幻の金貨と呼ばれてきました。
このような背景を持つスリーグレイセスを2020年に復刻させたのがこちらの金貨です。
イングランド、スコットランド、アイルランド、それぞれを擬人化する3人の女神を描いたデザインです。
ウナとライオンが大きく高騰したこともあり、翌年に発行された幻の金貨と呼ばれるスリーグレイセスも高値で取引されています。
発行枚数はわずか160枚であり、ウナとライオンと比較すれば話題性による高騰は限定的であることから割安であり、長期的な値上がりが期待されます。
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モダンコインに関するよくある質問
モダンコインに関するよくある質問をまとめました。
- モダンコインを購入する上で気をつけるポイントは?
- モダンコインはどこで売買できる?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
モダンコインを購入する上で気をつけるポイントは?
モダンコインは発行から100年以上が経過したアンティークコインと比較して、価値が安定していないことから、転売・短期売買を目的に購入すると大損をする可能性があります。
希少性が高くて需要があっても極端に価値が上昇したコインは、一時的ではあっても取引における相場が下落する場合があるからです。
そのため、購入のタイミングも価値が上昇しているタイミングではなく、相場が落ち着いてきたタイミングを見計らうのも良いでしょう。
また、短期的な売買ではなく長期的に保有すれば希少性と需要の高さから、価値の上昇を期待できるモダンコインも多く存在します。
短期的に価値が上昇するのはモダンコインの中でも人気の高い種類であることから、まだ価値が認められていなくても長期的な価値の上昇が見込めるモダンコインを選ぶのも、モダンコイン投資の醍醐味といえます。
コレクションを目的に少しでも安く購入する場合は、大きく高騰しているタイミングで人気の金貨を購入しないように相場の状況を判断して購入することも必要です。
モダンコインはどこで売買できる?
モダンコインは、当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」で人気のウナとライオン、ダイアナ妃追悼記念、スリーグレイセスを含めて幅広く取り扱っています。
100年以上前に発行されたアンティークコインから発行から50年未満の人気のモダンコイン、紀元前に発行された古代コインまで広く販売していることが特徴です。
また、当サイトではモダンコインの買取も受け付けており、価値のある人気のモダンコインの高価買取をおこなっています。
詳しくはこちらのページからお問い合わせお願いします。
まとめ
価値のあるコインとしてアンティークコインにも括られることがある近年に発行されたモダンコインは、その高騰によって大きな注目を集めています。
近年において話題になるアンティークコインの値上がり事例の多くは、モダンコインによるものであり、アンティークコイン投資に興味があるなら知っておきたいコインばかりです。
アンティークコイン・モダンコインの購入方法についてはこちらの記事で紹介しています。