世界各国で発行されている貴金属の価値と連動する地金型コイン、金貨・銀貨が有名であると思いますが、純プラチナで作られたプラチナコインはご存知でしょうか?
近年、金貨・銀貨だけでなくプラチナコインの人気が高まっており、プラチナへの投資方法としても注目されています。
アンティークコインとして歴史は浅くロシアで19世紀に正式な通貨として発行されていた歴史がありますが、基本的には20世紀後半以降に世界中で発行されるようになりました。
この記事では人気のプラチナコインの種類について、地金型コイン、収集型コインで分けて紹介し、購入方法まで詳しく解説していきます。
プラチナコインが人気の理由
プラチナコインは、プラチナを用いて製造したコインのことであり、金貨、銀貨と同様にプラチナ貨と呼ばれることもあります。
日本語では白金と呼ばれる金属であり、金よりも希少性が高い金属として知られています。
そのため、プラチナの価値は金よりも高いことが一般的ではありましたが、昨今の貴金属価格の情勢においては金のほうがプラチナよりも価値が高くなりました。
金・銀とは異なり、希少性の高さからコインの歴史は浅く、採掘量の多いロシアにおいて19世紀に正式な通貨として発行されていたことが、プラチナコインの最古の歴史といわれています。
そのため、金貨・銀貨と比較するとコインとしての知名度は低いです。
しかし、近年では日本でもプラチナコインが購入できる場所が増えており、金の希少性と比較した時の割安感から長期的にプラチナに投資したいと考える投資家も増えており需要があります。
銀と似た色合いではありますが、白金の名の通り白い輝きの光沢が特徴であり、見比べると印象が明らかに異なります。
また、金貨・銀貨と比較して流通数が少ないため、長期的に保有していると思わぬ形でプレミアが付くかもしれません。
以上のことから、金貨・銀貨で発行されているコインであっても、プラチナコインで収集したいと考える人も多くいるため、人気を集めています。
人気のプラチナコインの種類(地金型コイン)
それでは、人気の高い金属の価値と連動する形で発行されている地金型コインにおけるプラチナコインの種類を紹介していきます。
- プラチナイーグルコイン
- プラチナメイプルリーフコイン
- ブリタニアプラチナコイン
- プラチナウィーンコイン ハーモニー
- プラチナコアラコイン
- プラチナキャットコイン
- ノーブルプラチナコイン(バイキングシップ)
地金型コインと収集型コインの違いはこちらの記事で紹介しています。
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プラチナイーグルコイン
プラチナイーグルコインは、1997年から現在まで発行されているアメリカ合衆国が価値を保証するプラチナコインです。
プラチナの純度は99.95%以上を誇っており、一時的な発行の休止や供給が不安定な時期もありましたが、2016年以降から毎年発行されるコインとして確立しています。
表面にはアップで描かれた自由の女神の肖像、裏面には太陽を背にアメリカの国鳥であるハクトウワシが飛行する様子が描かれています。
プラチナイーグルコインは、イーグル金貨・イーグル銀貨とは異なるデザインとなっており、年度によって発行枚数も安定しない性質から多くのコレクターから注目されているプラチナコインです。
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プラチナメイプルリーフコイン
プラチナメイプルリーフコインは、地金型金貨において最も広く流通数するメイプルリーフ金貨を発行するカナダで発行されるプラチナコインです。
メイプルリーフ金貨を知っている人ならわかる通り、コインのデザインは共通しており、サトウカエデの葉が大きく描かれていることが特徴になります。
プラチナコイン・金貨・銀貨とすべてデザインが共通しており、日本では流通量から最も入手しやすいプラチナコインです。
金投資・銀投資だけでなく、プラチナ投資を目的にコインを保有したい場合は、地金型コインにおいて信頼性の高いカナダのプラチナコインが選ばれています。
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ブリタニアプラチナコイン
ブリタニアプラチナコインは、イギリスで発行されるプラチナコインであり、このコインも日本では広く入手しやすいものです。
イギリスを女性に擬人化した女神、ブリタニアが描かれていることからブリタニアコインと呼ばれており、発行年当時のイギリスの君主の肖像が描かれています。
デザインも金貨・銀貨・プラチナコインで共通しており、その美しさから地金型コインでもトップクラスの人気があります。
コレクションを目的に収集するのはもちろん、信頼性が高いことを前提に投資用の地金型コインをデザインで選びたい場合にもおすすめです。
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プラチナウィーンコイン ハーモニー
プラチナウィーンコイン ハーモニーは、オーストリアで発行されているプラチナコインであり、日本で人気の地金型コインです。
表面にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のパイプオルガン、裏面にはバイオリンなどの6種類の管弦楽器を描いています。
金貨・銀貨、全種類の地金型コインが存在しており、そのデザインからコレクションから投資用まで高い人気を誇っています。
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プラチナコアラコイン
プラチナコインには、プラチナコアラコインのように需要の少なさから2000年に発行が停止されたコインもあります。
2000年にはわずか2,048枚しかコインが鋳造されることがなく、現在まで発行の再開は果たされていません。
オーストラリアで発行される地金型コインは、金貨がカンガルー、銀貨がクッカバラ(カワセミ)であり、プラチナコインのコアラを含めて現地の動物達になります。
動物コインは需要が高く、発行が停止されてもコレクターの間では人気の高いプラチナコインです。
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プラチナキャットコイン
キャットコインはマン島で発行された人気の高いデザインのコインであり、金貨が有名ではありますが、プラチナでも発行されていました。
キャットコイン自体が2012年に発行を終了していることから、プラチナコインも発行が終了しており、高い需要を持っています。
描かれているのはペルシャ猫であり、毎年異なるデザインの猫が描かれることから、コレクションにおいて人気の高いコインです。
アクセサリーに用いられることも多く、金とプラチナの価値が逆転していることから、金貨よりもお求めになりやすい価格でアクセサリーが購入できる場合もあります。
ノーブルプラチナコイン(バイキングシップ)
ノーブルプラチナコインは、マン島で発行されていた海賊船を描いたプラチナコインです。
マン島にはバイキングが定住していたことで知られていることから、海賊船が描かれています。
イギリスの属領であるマン島では、キャットコインの他に別名バイキングシップとも呼ばれるプラチナコインの2種類があります。
人気のプラチナコインの種類(収集型コイン)
次に、過去に発行されたアンティークコインや記念コインで人気のプラチナコインを紹介していきます。
- ロシア帝国 ニコライ1世 3ルーブルプラチナ貨 1841年
- イギリス チャールズ3世 エリザベス女王追悼記念 100ポンドプラチナ貨 2022年
- ポルトガル 南蛮芸術450周年 200エスクードプラチナ貨 1993年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ロシア帝国 ニコライ1世 3ルーブルプラチナ貨 1841年
概要 | 内容 |
発行国 | ロシア帝国 |
発行年 | 1841年 |
額面 | 3ルーブル |
直径 | 23.3mm |
重量 | 10.36g |
発行枚数 | 16,921枚 |
品位 | 950/1000(プラチナ) |
ロシア帝国のニコライ1世の時代に発行された3ルーブルプラチナ貨であり、この時代のロシアではプラチナコインが標準通貨として採用されました。
ロシア帝国の象徴である双頭の鷲が描かれており、裏面には3ルーブルの額面と発行年等が示されています。
3ルーブルの他にも、6ルーブル、12ルーブルが流通していました。
プラチナコインが標準通貨として流通することがほとんどない理由は、希少性の高さから通貨として発行することが難しく、銀などの安価な金属と同色であることも理由といえるでしょう。
プラチナが採掘できる一部の国を除いて流通させるメリットがほとんどないため、最初に発行したロシアでも停止してから新たに発行されるまで130年以上の月日が流れています。
プラチナコインのアンティークコインが希少であることから、アンティークコイン市場ではコインの状態によるものの数万ドル以上の高額で落札されることも多いプラチナコインです。
イギリス チャールズ3世 エリザベス女王追悼記念 100ポンドプラチナ貨 2022年
概要 | 内容 |
発行 | イギリス |
発行年 | 2022年 |
額面 | 100ポンド |
直径 | 32mm |
品位 | 999/1000(プラチナ) |
グレード | PF69UCAM |
状態 | Proof FDC |
記念コインのプラチナ貨は、近年になってから発行される機会が増えており、エリザベス女王追悼記念の100ポンドコインでもプラチナ貨が発行されています。
表面には次期国王となったチャールズ3世の肖像、裏面はエリザベス2世を追悼するデザインです。
ロイヤルミントに所属する実力派デザイナーであるマーティン・ジェニングスの秀作となっています。
多くの記念コインのプラチナ貨は現在の時点で大きなプレミア価値のつかないモダンコインとなっていますが、希少性の高さから将来的に価値の上昇を期待できるコインも存在します。
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ポルトガル 南蛮芸術450周年 200エスクードプラチナ貨 1993年
概要 | 内容 |
発行国 | ポルトガル |
発行年 | 1993年 |
額面 | 200エスクード |
直径 | 36mm |
重量 | 31.12g |
発行枚数 | 2,000枚 |
品位 | 999/1000(プラチナ) |
南蛮芸術の誕生の450周年を記念してポルトガルで発行された200エスクードプラチナ貨です。
ポルトガルと日本の貿易や、アジア貿易においてポルトガルが仲介役を務めた様子が描かれています。
銀貨、金貨、プラチナ貨の3種類が発行されており、プラチナ貨が最も発行枚数が少なく希少性があります。
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プラチナコインの購入方法
プラチナコインの購入方法は主に3種類あります。
- 貴金属店
- オークションサイト
- アンティークコイン専門店
それぞれ詳しく見ていきましょう。
貴金属店
プラチナコインは、金貨・銀貨など他の地金型コインの取り扱いを行っている貴金属店で購入できます。
ただし、地金型コインでは金貨がメジャーであることから、店舗によっては取り扱われていないこともあるため注意が必要です。
プラチナメイプルリーフコイン、プラチナウィーンコイン ハーモニーなど、幅広く流通しているプラチナコインほど取り扱われている可能性が高いです。
オークションサイト
プラチナコインは、すでに発行が停止されているものを含めて、オークションサイトなどで出品されていることがあります。
出品者の素性や信頼性を判断して、偽物を購入することがないように慎重に取引するようにしましょう。
プラチナは銀などの安価な金属に色合いが似ていることから、偽物に気をつけたいところです。
アンティークコイン専門店
既に発行が停止しているコインや、ロシアをはじめとするプラチナのアンティークコイン・記念コインを購入したい場合は、アンティークコイン専門店を探してみましょう。
コイン専門店では年代を問わず、様々なコインを取引できます。
アンティークコイン専門店には当サイト「コインライブラリー・プリンシパル」があり、プラチナコインの取扱経験があり、プラチナコインの買取も受け付けています。
まとめ
様々なプラチナコインを紹介しましたが、近年ではプラチナ投資にも目を向けられており、発行枚数が少ないコインも多いことから、収集型のアンティークコインも注目されています。
プラチナコインは、コレクター・投資家ともに注目したいコインとなっており、金貨・銀貨の次の第三の選択として目を向けてみましょう。
プラチナコインを含めたアンティークコインの購入方法はこちらの記事で紹介しています。