イギリスはアンティークコインの収集先の国として最もメジャーなテーマとなっており、種類も幅広く、さまざまな人気コインが集結しています。
イギリス王室シリーズは、アンティークコインを収集する人のほとんどが知っている有名なテーマです。
そのデザインの秀逸さからコレクター人気が非常に高く、人気の高さから投資対象としても注目されているため、どのような目的でアンティークコイン収集する場合でも必ず知っておきたい国がイギリスとなっています。
イギリスのアンティークコイン特集としておすすめの金貨・銀貨を紹介します。
イギリスのアンティークコインについて
イギリスはヨーロッパの北西部にある島国であり、グレートブリテン島のイングランド、スコットランド、ウェールズと北アイルランドの4つの国が連合する形で構成されています。
ヨーロッパ諸国では革命により王政を打破したフランスをはじめ近世から近代にかけて王室が消滅していくなかでも、長き歴史があり現在に至るまで王室が存在している国でもあります。
そのため、過去から現在に至るまで当代の君主の肖像が描かれた通貨やメダルが発行されてきた歴史があり、過去に発行された希少性の高いコインがアンティークコインとして現在でも収集の対象となっているのです。
ウィリアムワイオンをはじめとする優れた彫刻家が造るイギリスのコインはコレクターを惹きつけ、世界中のコレクター同士で高額の取引がされています。
今回は数多くあるイギリスのアンティークコインのなかでコインライブラリー・プリンシパル編集部がピックアップしたおすすめの金貨・銀貨・メダルなどを紹介していきます。
イギリスのアンティークコインを語る上で重要なイギリス王室について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
イギリス王室の歴史とアンティークコイン14選! レアな金貨・銀貨をご紹介
イギリス金貨の種類【おすすめ5選】
イギリスのアンティークコインにおいて代表的な図柄の種類をピックアップしたうえで、おすすめの金貨を紹介します。
- イギリス エリザベス2世 ウナとライオン 500ポンド金貨 2019年
- イギリス エリザベス2世 スリーグレイセス 500ポンド金貨 2020年
- イギリス エリザベス2世 5ポンド金貨 1985年
- イギリス ジェームズ2世 5ギニー金貨 1688年
- イギリス ジェームズ1世 ローズ・リヤル金貨 1619-1625年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
イギリス エリザベス2世 ウナとライオン 500ポンド金貨 2019年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 2019年 |
額面 | 500ポンド |
直径 | 50mm |
発行枚数 | 65枚 |
状態 | Proof(専用ケース付) |
1839年に発行されたウナとライオンの5ポンド金貨は1837年のヴィクトリア女王戴冠の年に制作を手掛け始めました。
高額落札事例で全世界に注目されたデザインの金貨となっているため、世界で最も有名なアンティークコインといわれることもあります。
ウナ(若き女王ヴィクトリア)がライオン(国民)を導くデザインはイギリスを代表する彫刻家であり、アンティークコインの世界では高い知名度を持つウィリアム・ワイオンによって造られたものです。
1839年銘のウナとライオンの5ポンド金貨は戴冠記念として400枚をセットとして贈呈用に造られました。
イギリスのアンティークコインを代表するデザインのウナとライオンは近年にリストライクされており、今回紹介するこちらの金貨は2019年に当時の君主であるエリザベス2世を裏面に描く形で限定65枚で発行されています。
天才彫刻家ウィリアムワイオンの最高傑作が現代に蘇るだけでなく、発行枚数が非常に少ないことからプレミアが付き、その価値の上昇も注目されるアンティークコインであることから高いペースとなっています。
ウナとライオンはアンティークコイン収集家のなかでは憧れとも呼べる存在であり、最初にチェックしておきたい金貨です。
エリザベス2世のアンティークコインについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
エリザベスコインの種類は? 金貨・銀貨に分けて代表的なコインを紹介
イギリス エリザベス2世 スリーグレイセス 500ポンド金貨 2020年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 2020年 |
額面 | 500ポンド |
直径 | 50mm |
発行枚数 | 160枚 |
状態 | Proof FDC |
スリーグレイセスは、ウィリアム・ワイオンによって造られた初期の作品であり、その稀少性と美質によって全世界を魅了してやまない英国貨幣の傑作です。
オリジナルは銀貨のほうが有名になっていますが、金貨も発行されており、その枚数はたった4枚しかなく3枚は博物館に展示されているので、存在はしていても入手できない幻のコインになります。
当初は3枚と考えられていましたが、4枚目が突如日本コインオークションにて出品され、約1億円で落札された経緯があります。
この発行枚数の少なさは試作貨であり、実際に流通貨としては採用されず、正式に発行されなかったことが理由です。
しかし、幻の金貨であったスリーグレイセスが2020年に復刻したことにより、200年以上の時を経た現代でスリーグレイセスの金貨を保有できるようになりました。
発行枚数は非常に少ないうえに人気金貨であることから、復刻であっても高い稀少性と需要を持っています。
イギリス エリザベス2世 5ポンド金貨 1985年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1985年 |
額面 | 5ポンド |
直径 | 36.02mm |
重量 | 39.94g |
発行枚数 | 13,000枚 |
品位 | 917/1000金 |
状態 | Proof FDC |
イギリス女王エリザベス2世は、1952年に父王ジョージ6世の後を受けて即位、崩御に至るまでコインの発行も即位以来イギリス本国及び英連邦諸国で盛んに行われ、通常貨、記念貨ともに初心者から上級者まで多くのコレクターが収集対象としています。
その多種のコインのなかでも「品格、歴史性、適度な希少性、材質による資産性」、この全てを兼備した存在がエリザベス2世の5ポンド金貨です。
1980年に発行が開始された5ポンド金貨は下に記した規格の通り見事な大型金貨であり、また1937年の父王ジョージ6世による発行以来43年ぶりの5ポンド金貨発行ということで大きな注目を集めてました。
1980年の発行開始以来、表面は肖像、裏面は伝統的な「聖ジョージの竜退治」のデザインを踏襲し、現在までほとんど毎年発行され続けています。
更に1989年からは王室の慶事を中心としたテーマで、バラエティー豊かなデザインの5ポンド記念金貨の発行が開始されました。
このようにエリザベス2世の5ポンド金貨は1980年の発行開始から既に40年近く経過し、肖像のタイプ別収集、年号別収集、記念貨収集など、多くの収集方法が楽しめるテーマとして確立しています。
エリザベス2世の5ポンド金貨の種類はこちらの記事で紹介しています。
エリザベス2世の5ポンド金貨おすすめ10選!希少性のあるコインを紹介
イギリス ジェームズ2世 5ギニー金貨 1688年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1688年 |
額面 | 5ギニー |
直径 | 36mm |
重量 | 40g |
状態 | F |
ジェームズ2世は、イングランド・スコットランド・アイルランドの王であり、スコットランド王としてはジェームズ7世です。
3王国にとってジェームズは、歴史上最後のカトリック信仰を有する国王となりました。
1685年に兄のチャールズ2世が亡くなったことで王位を引き継ぎましたが、3年後には追放されることとなり、再び亡命生活を送ることになったため、王位は1688年までの3年間のみと短い期間です。
そのため、その間に作られた金貨であり、年号も少なく貴重なものとなっています。
5ギニーは、イギリスで1600年代から1700代にかけて鋳造された大型の金貨(重量は約40グラム)で、当時の最高額面のコインです。
状態の良いコインは少なく、数も少ないため、現在は5ギニー金貨全般が入手困難となっており、市場では非常に高値で取引されています。
ジェームズ2世の5ギニー金貨にはこれとは別に、像のミントマークがついたもの、第1肖像が描かれたものもありますが、どれも現存枚数は非常に少ないとされています。
ジェームズ2世についてはこちらの記事で解説しています。
ジェームズ2世のおすすめ金貨・銀貨! 名誉革命についても解説
イギリス ジェームズ1世 ローズ・リヤル金貨 1619-1625年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1688年 |
直径 | 40mm |
重量 | 12.47g |
品位 | 995/1000金 |
状態 | EF |
ジェームズ1世はイングランドとスコットランドが連合国となる最初の国王となり、こちらのコインの裏面に描かれる紋章にスコットランドの紋章が初めて加えられました。
額面名であるRose-Ryalはローズ・リヤル金貨、ローズ・リアル金貨またはローズ・ロイヤル金貨と国内では呼ばれておりジェームズ1世における第3次貨幣です。
約12.47グラムの金純度99.5%という見事な大型金貨で、特にこのコインはこの時代における最高傑作品といわれており人気のコインになります。
イギリス銀貨の種類【おすすめ3選】
金貨と同様にイギリス銀貨の種類を紹介します。
- イギリス ヴィクトリア女王 クラウン銀貨 1845年
- イギリス ジョージ5世 在位25年記念 クラウン銀貨 1935年
- イギリス ジョージ2世 ハーフクラウン銀貨 1745年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
イギリス ヴィクトリア女王 クラウン銀貨 1845年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1845年 |
額面 | クラウン |
直径 | 38.1mm |
発行枚数 | 159,000枚 |
状態 | VF+ |
ヴィクトリア女王がモチーフになったコインの中でも特にヤングヘッドのシリーズは人気が高くコレクターなら一枚は持っていたいという方が多く、根強い人気があります。
世界中で人気が有り売買相場が常に存在しており、コレクション性、資産性ともに秀逸なコインの一つです。
見た目は通常貨と同一でレターエッヂの銘文は陰刻で打たれていますが、プルーフ貨のレターエッヂの様に特別な極印を使い打たれています。
ヴィクトリア女王のおすすめ金貨・銀貨7選 ウナとライオンを含むコインを紹介
イギリス ジョージ5世 在位25年記念 クラウン銀貨 1935年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1935年 |
額面 | クラウン |
直径 | 38.8mm |
発行枚数 | 2,500枚 |
状態 | Toned Proof FDC |
1935年のクラウン銀貨はジョージ5世の治世25年を記念した物でワイタンギ条約締結のコインから「ワイタンギクラウン」という通称で呼ばれています。
ワイタンギ条約は1840年にニュージーランド北島ワイタンギにおいて、先住民族マオリ族とイギリス王権との間で締結されました。
プルーフ貨幣は1935年にわずか468枚のみ製造されました。ワイタンギ条約でのマオリ族と英国兵が握手をしているデザインが実に印象的なコインです。
ニュージーランドのミントステイトコインの中だと、最も有名なコインの1つとなります。
イギリスコインの値上がりも享受でき、その中でも人気のジョージ5世のコイン、更には発行枚数も少なくProofとなりますので、今後更に値上がりが期待できる1枚かもしれません。
ジョージ5世についてはこちらの記事で紹介しています。
ジョージ5世の人気コインを4つ紹介! 生い立ちと歴史についても解説
イギリス ジョージ2世 ハーフクラウン銀貨 1745年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1745年 |
額面 | ハーフクラウン |
直径 | 34mm |
状態 | UNC |
グレード | MS62 |
ハノーヴァー朝の開祖であるジョージ1世の子であるジョージ2世のハーフクラウン銀貨は、表面のバリエーションは5タイプですが、肖像のデザインは2タイプのみです。
表面は老年のジョージ2世月桂冠肖像と共に、「神の恩寵によるジョージ2世」の銘文が刻まれています。
コイン裏面のデザインには4つに区切られた紋章が配され、イングラン・スコットランド、フランス、アイルランドそしてハノーヴァー家の4つの紋章が描かれています。
状態の良いコインは少なく、状態的に素晴らしく希少品です。
イギリス記念コインの種類【おすすめ2選】
最後にアンティークコインの主な種類である金貨・銀貨に該当しないメダルなどのコインを紹介していきます。
- イギリス ヴィクトリア 在位50周年記念銅メダル 1887年
- イギリス ジョージ6世&エリザベス王妃 戴冠記念金メダル 1937年
それぞれ詳しく見ていきましょう。
イギリス ヴィクトリア 在位50周年記念銅メダル 1887年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1887年 |
直径 | 77mm |
状態 | EF |
グレード | SP Genuine |
英国王立造幣局のゴールデン・ジュビリー・エディションで、英国王立造幣局が発行したヴィクトリア女王の公式メダルです。
ヴィクトリア女王の肖像を描いたコインのデザインはイギリス本国では大きく分けて4タイプ存在しますが、これだけの肖像タイプが存在するというのは、ヴィクトリア女王がとても長い年月まで玉座に君臨していたことの表れです。
今回のメダルはジュビリーヘッドタイプであり、1837年に即位して50年統治を記念して作られた肖像タイプの大型の銅メダルです。
大型のコインであることから非常に見栄えが良くコレクションに最適の1枚になります。
イギリス ジョージ6世&エリザベス王妃 戴冠記念金メダル 1937年
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1937年 |
直径 | 57mm |
重量 | 121.42g |
発行枚数 | 274枚 |
状態 | Proof UNC |
ジョージ6世とその妻であるエリザベス王妃の肖像が描かれた戴冠記念金メダルです。
パーシー・メットカルフェがデザインしたメダルであり、金メダルは通常仕上げとプルーフ仕上げの2タイプがあり、約10倍程度の価格差があります。
パーシー・メットカルフェは父王ジョージ5世時代からロイヤルミントでコインを手掛けており、ジョージ5世の在位25周年を記念したコインの裏面に描かれたモダンの竜退治を彼が手掛けました。
世界で作られたメダルは大半が資産性は低いですが、このメダルのようにロイヤルミントで作られて製作数も少ない希少なメダルは価格形成されている為、資産性のある商品となっています。
ジョージ6世について詳しく知りたい方はこちらの記事で紹介しています。
ジョージ6世のおすすめコイン4選! その歴史を5つの章に分けて解説
イギリスのアンティークコインに関するよくある質問
イギリスのアンティークコインに関するよくある質問をまとめました。
- イギリスのアンティークコインを購入する方法は?
- イギリスの金貨・銀貨を売却できる場所は?
それぞれ詳しく解説します。
イギリスのアンティークコインを購入する方法は?
イギリスのアンティークコインは、コイン専門店を中心にさまざまな場所で購入できます。
ただし、素性の分からない相手が出品できるオークションサイトでは、相場よりも高い価格でコインが出品されている場合や、精巧な贋作が出品されている場合もあるので、アンティークコインに知識がない方が利用する場合はリスクが高いです。
アンティークコインを安心してお買い求めいただけるコイン専門店には「コインライブラリー・プリンシパル」があります。
外国貨幣評価書やコインカタログに基づいた相場に沿った価格設定と、万が一にも購入したコインが偽物であった場合にコインの永久買戻しを保証する保険が付帯しているので安心してコインの購入が可能です。
イギリスの金貨・銀貨を売却できる場所は?
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まとめ
イギリスのおすすめアンティークコインを紹介しましたが、興味を持ったコインやお気に入りの金貨・銀貨は見つかりましたか?
収集の目的はさまざまあると思いますが、アンティークコインに興味を持ったのであれば、まずはお気に入りのコインを見つけたいところです。
まずはイギリスのコインから探すと種類が多く見つかりやすいですが、他の国にも魅力的なコインは存在しているので、別の国のアンティークコインにも目を向けてみましょう。
アンティークコインの購入方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。