ナゲット金貨(コイン)は、オーストラリアで発行されていた地金型金貨であり、自然金がデザインされていることが特徴です。
自然金とは、掘り出された状態で形も不揃いな金のことであり、加工してインゴットや金貨など金投資において保有しやすい状態に仕上げています。
ナゲット金貨は現在、オーストラリアで発行されているカンガルー金貨の前身であり、ナゲット金貨を発行していた名残からカンガルー金貨がナゲット金貨と呼ばれることもあります。
この記事では、ナゲット金貨について、カンガルー金貨との関係を含めて詳しく解説します。
ナゲット金貨(コイン)とは?
概要 | 内容 |
発行国 | オーストラリア |
発行年 | 1988年 |
額面 | 15ドル |
デザイナー(表面) | Raphael David Maklouf(ラファエル・デヴィッド・マクルーフ) |
表面 | エリザベス2世の第3肖像 |
刻印(表面) | ELIZABETH II AUSTRALIA 15 DOLLARS |
デザイナー(裏面) | Stuart Devlin(スチュアート・デブリン) |
裏面 | 自然金 |
刻印(裏面) | THE AUSTRALIAN NUGGET 1/10 OZ. FINE GOLD・ 1988 LITTLE HERO 1890 |
直径 | 16mm |
厚さ | 1.80mm |
重量 | 3.1g(1/10オンス) |
品位 | 999/1000金 |
ナゲット金貨は、1986年~1989年までオーストラリアのパース造幣局で発行されていた自然金を描いた地金型金貨です。
由来は1880年代、オーストラリアはゴールドラッシュの時代であり、金塊が多く発見されたことから金の生産地である代表的な国と言えばオーストラリアを思い浮かべる人も多いことでしょう。
このことから当時のイギリスの君主であるエリザベス2世の肖像と、ナゲットと呼ばれる自然金を描いた地金型金貨を有力な金の生産地であるオーストラリアから発行したことでナゲット金貨と呼ばれるようになりました。
ナゲット金貨は、掘り出されたばかりの自然金一つ一つの形が異なるように、発行年によってナゲットの形が異なるため、デザインにバリエーションがあります。
そのため、ナゲット金貨はコレクターの間でもコレクションの対象となっており、地金型金貨ではありますがコレクション価値のある希少性の高い金貨として知られています。
ナゲット金貨のデザイン比較
1987年 15ドル金貨
1988年 15ドル金貨
パターンを比較すると、明らかにナゲットのデザインが異なっていることがわかります。
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ナゲット金貨の特徴や価格を決めるポイント
ナゲット金貨の特徴や価格を決めるポイントを2つ紹介します。
- 金と価値が連動する地金型金貨
- 重量と金価格によって概算する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
金と価値が連動する地金型金貨
ナゲット金貨は、金と価値が連動するように造られたオーストラリアのパース造幣局という信頼性の高い発行元が製造する地金型金貨です。
そのため、金価格が上昇すればナゲット金貨の価値も上がり、金価格が下落すればナゲット金貨の価値も下がります。
ナゲット金貨の次にオーストラリアで発行されるようになったカンガルー金貨は、カナダのメイプルリーフ金貨、オーストリアのウィーン金貨と共に世界三大金貨と呼ばれています。
重量と金価格によって概算する
ナゲット金貨は、品位が高く信頼性もある地金型金貨であるため、金貨の重量から金価格に基づいて金による価格を計算することが可能です。
ナゲット金貨の種類は以下の通りになります。
種類(オンス) | 直径 x 厚さ | 重量 |
1oz | 32mm x 2.95mm | 31.1g |
1/2oz | 25mm x 2.50mm | 15.5g |
1/4oz | 20mm x 2.30mm | 7.7g |
1/10oz | 16mm x 1.80mm | 3.1g |
金価格が1万円であったとき、1oz(オンス)のナゲット金貨の金としての価値は31万1,000円と概算できます。
近年に発行された地金型金貨であればプレミアはほとんどつかず、手数料を含めて購入価格や買取価格に一定の影響を与えるものの、大体の価値は概算可能です。
ナゲット金貨は発行年が1986年~1989年であることからプレミアがつくこともあり、金の価値だけでなく収集品としての価値から、より高値で売買されることが予想されます。
ナゲット金貨とカンガルー金貨の関係性
カンガルー金貨は、ナゲット金貨が最後に発行された1989年の翌年から発行されるようになった地金型金貨のことです。
オーストラリアにはさまざまな固有種が生息していますが、その中でも世界的に人気の高い動物がカンガルーです。
カンガルーはオーストラリアの国章にも用いられているシンボルであるため、ゴールドラッシュの時代を象徴した自然金からカンガルーへとデザインが変更されました。
ナゲット金貨の毎年デザインが変わる性質は受け継がれており、カンガルーのデザインが発行されるたびに変化することが魅力です。
オーストラリアで人気の高い動物であるカンガルーが描かれているためファンも多く、ナゲット金貨以上にコレクターが多いことで知られています。
デザインの変更には成功したと考えられますが、実はナゲット金貨という呼称は生き残っており、現在でも一部の国ではカンガルー金貨のことをナゲット金貨と呼ぶことがあります。
一般的には、1989年まで発行されていたオーストラリアの地金型金貨がナゲット金貨、1990年以降の地金型金貨をカンガルー金貨と呼びます。
ナゲット金貨に関するよくある質問
ナゲット金貨に関するよくある質問をまとめました。
- ナゲット金貨の由来を教えてください
- ナゲット金貨の買取でプレミア価値は期待できる?
ナゲット金貨の由来を教えてください
ナゲット(自然金)を描いた金貨であることが由来です。
ナゲットと聞いてチキンナゲットを連想する方もいるかもしれませんが、チキンナゲットの由来がNugget(貴金属の塊)であり、自然金の形状に似ていたことから名づけられたため間違ってはいません。
また、カンガルー金貨がナゲット金貨と呼ばれるのは、地金型金貨の前身が自然金を描いたナゲット金貨であったことが理由です。
ナゲット金貨の買取でプレミア価値は期待できる?
ナゲット金貨は、1986年~1989年とアンティークコインでは近年に発行されたと考えられることからプレミア価値は限定されます。
保存状態の良さなどにも左右されますが、基本的には地金型金貨であることから、地金の価値で取引する金貨といえます。
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まとめ
ナゲット金貨は、オーストラリアで発行された一世代前の地金型金貨であり、現在ではカンガルー金貨が発行されていることから発行されていませんが、その名称は残っています。
コレクションの対象としても知られていることから、金貨を収集・投資するなら知っておきたいコインのひとつです。
すでにお持ちの方は今後も大事に保管しておくと、地金以上にプレミアがつく可能性も考えられます。