金貨にはさまざまな種類がありますが、大きく分けて地金型金貨・収集型金貨・通貨型金貨の3種類に分類できます。
そのなかでも投資用に広く一般的に取引されているのが地金型金貨であり、収集型金貨はアンティークコインコレクターをはじめとする多くの収集家が取引しているのが特徴です。
通貨型金貨は日本でも一部の記念金貨として発行されてきましたが数も少なく、プレミア価格が付くものも多いので、収集型金貨としてみなされることもあります。
この記事では、地金型金貨と収集型金貨の代表的な種類を紹介します。
金貨の分類は3種類
金貨の分類は大きく分けて3種類に分けられます。
- 地金型金貨
- 収集型金貨
- 通貨型金貨
それぞれ詳しく見ていきましょう。
地金型金貨
地金型金貨は通貨として発行されるのではなく、投資用に発行されるものや、プルーフ加工をしてコレクター用に発行される鑑賞性と一定の価値を両立した金貨のことです。
純金で作られているのも特徴であり、希少性を持つ金を含有していることから金価格に基づいた一定の価値があります。
地金型金貨は金投資に利用される金貨でもあり、金価格の安い時に購入し、高くなった際に売却されます。
どの金貨も美しく鑑賞性が高いことから初心者の方は勘違いしやすいですが、地金型金貨といわれるほとんどの金貨には含有している金以上の価値はなく、プレミア価格はほとんどつきません。
金貨の投資価値について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
収集型金貨
収集型金貨は、100年以上前に通貨として発行された金貨を含めて、金を含有していること以外に一定の希少性を持っている金貨のことです。
地金型金貨のように金価格に価値が連動する性質はないので、純金(K22などの純度が90%の金貨を含む)である必要はありません。
ただし、価値を持つ金貨は、高い希少性を有していることが条件であり、当時の発行枚数は現在の時点で考えられる現存数などの希少性という付加価値によって価格が決定します。
アンティークコイン投資用の金貨を探したい方が選ぶのは地金型金貨ではなく、収集型金貨になります。
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通貨型金貨
通貨型金貨は発行される際に額面がすでに決定されている金貨のことです。
例えば、10,000円の値が付いている通貨型金貨は発行した国がその価値を保証しており、実際に含有している金量と金価格の変動に関わらず指定された額面で取引ができます。
通貨型金貨を発行している国で代表的なのは日本であり、天皇陛下の記念金貨などが有名です。
しかし、収集型金貨として売却すれば希少性によって額面に加えてプレミアが付くことがあるので、厳密には収集型金貨に分類されます。
世界に流通する8種類の地金型金貨
金貨の分類について解説したところで、実際に現在の時点で世界に流通している8種類の地金型金貨を紹介します。
- ブリタニア金貨
- イーグル金貨
- バッファロー金貨
- ウィーン金貨
- メイプルリーフ金貨
- カンガルー金貨
- クルーガーランド金貨
- パンダ金貨
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ブリタニア金貨
ブリタニア金貨は、イギリスで発行される地金型金貨です。
地金型のコインには地金型金貨と地金型銀貨の2種類があり、ブリタニアのデザインは両方発行していますが、初めて発行された地金型銀貨がブリタニア銀貨であったことから、地金型銀貨としての知名度のほうが高いです。
また、2018年からプラチナを材料にしたブリタニアコインも発行されています。
イギリスを象徴するブリタニアの女神と2022年まではエリザベス2世の肖像が描かれてきたのが特徴であり、毎年デザインが変わることからコレクターからの人気があります。
後ほど解説するイギリス王室の収集型金貨シリーズには発行の経緯から高い希少性を持つ金貨以外は含まれず、他の金貨と同様に貴金属の価値で取引されます。
イーグル金貨
イーグル金貨は、アメリカで発行される代表的な地金型金貨の1つです。
1986年までは10ドル金貨として発行されてきましたが、現在では地金型金貨の名称として知られています。
アメリカを象徴する国獣の白頭鷲と自由の女神が描かれている人気の金貨です。
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バッファロー金貨
アメリカで主に発行されている地金型金貨は2種類あり、バッファロー金貨も人気があります。
2つの金貨の違いは、イーグル金貨はK22と呼ばれる純度が91.67%の金貨ですが、純度99.99%のK24の金貨と比較すると金貨の信用性に欠けている問題点がありました。
バッファロー金貨はK24で発行された金貨であるため、イーグル金貨よりも純度が高いので信用性のある金貨として知られています。
図柄は現在ではアメリカの国獣として認定されているバッファローと先住民のインディアンが描かれていることからインディアン金貨とも呼ばれます。
ウィーン金貨
ウィーン金貨は、地金型金貨のなかでも人気の高い金貨の1つであり、オーストリアで発行されています。
音楽の都ウィーンにちなんだバイオリンをはじめとする弦楽器の集合に、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会場の黄金の間に実際に存在するパイプオルガンが描かれているのが特徴です。
地金型金貨のなかでも信用性もあり人気のある金貨を世界3大金貨と呼ばれますが、ウィーン金貨その1つとして数えられます。
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メイプルリーフ金貨
メイプルリーフ金貨は、カナダで発行される金貨であり、世界3大金貨の1つになります。
地金型金貨のなかで最も信用性が高いといわれており、金投資に金貨を利用する投資家の多くはメイプルリーフ金貨を購入していることが多いです。
カナダを象徴するカエデの葉とイギリスの君主が描かれており、世界で最も流通している地金型金貨になります。
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カンガルー金貨
カンガルー金貨は、オーストラリアで発行される世界3大金貨の最後の一枚です。
メイプルリーフ金貨と同様にエリザベス2世をはじめとするイギリスの君主が描かれており、オーストラリアを象徴する動物であるカンガルーが特徴になります。
カンガルーの図柄は毎年変更されるので、世界3大金貨のなかでも最もバラエティ豊かでコレクターからの人気も高い金貨です。
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クルーガーランド金貨
クルーガーランド金貨は、南アフリカで発行された金貨であり、歴史上で初めて発行された地金型金貨です。
発行当時は市場を独占していたものの、現在では世界3大金貨・イギリス・アメリカで発行される地金型金貨に需要を大きく奪われることとなりました。
クルーガーランドとは、トランスヴァール共和国の大統領であるポール・クルーガーから名づけられており、南アフリカを代表するこちらの動物はスプリングボックです。
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パンダ金貨
パンダ金貨は、中華人民共和国で発行される地金型金貨ですが、他の金貨と比較すると歴史も浅く流通量自体もそこまで多くありません。
カンガルー金貨と同様に毎年ジャイアントパンダのデザインが変更されることから、コレクターから人気を集めています。
地金型金貨ですが、投資用の金貨として保有するよりも収集目的で集められやすく、図柄の入手が困難な希少性のある金貨以外に高いプレミア価値は付きにくいです。
代表的な収集型金貨シリーズ5選
収集型金貨は、これまで通貨や記念コインとして発行されてきた地金以外の価値を持たない地金型金貨を除くすべての金貨が対象となるので幅が非常に広いです。
- イギリス王室
- ナポレオン一族
- マン島キャット金貨
- スイス射撃祭
- ヴィットリオ・エマヌエレ
今回はそのなかでもアンティークコイン収集においても代表的なテーマともいえる5つのコインシリーズと該当するコインについても紹介します。
イギリス王室
代表的な金貨【ヴィクトリア女王 ウナとライオン 5ポンド金貨 1839年】
概要 | 内容 |
発行国 | イギリス |
発行年 | 1839年 |
額面 | 5ポンド |
直径 | 36mm |
重量 | 39.94g |
発行枚数 | 400枚 |
イギリス王室の歴代の君主が描かれた金貨は、アンティークコインの代表ともいえる収集テーマとなっています。
ヴィクトリア女王のハノーヴァー朝から、100年以内に発行されているモダンコインも含めたウィンザー朝のコインだけでなく、それ以前に発行された古く希少性の高いコインもこちらのシリーズに該当します。
しかし、比較的年代の若いコインのほうがイギリス王室シリーズとして注目されている理由は、新しいコインのほうが価格変動が激しいからです。
そのなかでもヴィクトリア女王が描かれたウナとライオンはその美しさとオークションにおける高額落札事例により、収集家・投資家を問わず多くの人々の注目を集めました。
アンティークコイン投資の投資対象としても注目度の高いテーマではありますが、数が多く長期的な価値の上昇が期待しにくい金貨もあるので、コインの選定が重要になってきます。
イギリス王室の金貨について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
イギリス王室の歴史とアンティークコイン14選! レアな金貨・銀貨をご紹介
ナポレオン一族
代表的な金貨 【ナポレオン1世 20フラン金貨 1811年】
概要 | 内容 |
発行国 | フランス |
発行年 | 1811年 |
額面 | 20フラン |
直径 | 21mm |
重量 | 6g |
発行枚数 | 3,705,489枚 |
ナポレオン一族は、フランスの英雄ナポレオン1世をはじめとするその兄弟と子孫たちのことを指し、ヨーロッパ諸国でコインが発行されてきました。
金本位制により、ナポレオンの通貨は金貨で発行されることとなり、ナポレオン1世が描かれた20フラン金貨は本人も大変気に入っており、セントヘレナ島に島流しにされた際もイギリス兵士や現地の人々に配ろうとしたというエピソードがあります。
誰もが知る英雄の金貨であることから、入荷してもすぐに売り切れてしまうほどの人気があります。
しかし、人気ではあるものの希少性が低く、状態によっては地金以上の価値を持たないこともあり、ナポレオンシリーズの金貨は一般に広く流通していたことから価格を決定する際は状態が重要です。
ナポレオン一族の金貨についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
ナポレオン一族の金貨を含めたおすすめアンティークコイン8選!
マン島キャット金貨
代表的な金貨【マン島 1/5クラウン金貨 ペルシャ 1989年】
概要 | 内容 |
発行国 | マン島 |
発行年 | 1989年 |
額面 | 1/5Crown |
直径 | 22mm |
重量 | 6.22g |
品位 | .999 |
マン島とはイギリス王室の君主が所有する自治島であり、マン島で2010年代まで発行されていたマン島キャット金貨は高い人気を誇ります。
ペルシャ、 ブリティッシュショートヘアー、スコティッシュホールドなどの人気の猫や、マン島に生息する尻尾のない猫であるマンクスキャットが毎年図柄を変更して描かれてきたのが特徴です。
動物の金貨は男女を問わずコレクターの間でも高い人気を誇り、ネックレスやペンダントに加工して販売されています。
発行年が近年ではあることから大きなプレミア価値が付きにくい金貨もありますが、発行枚数の少ない年は特年と呼ばれ、高い希少価値を持ちます。
現在ではすでに発行されていないシリーズであるため、今後も希少価値が高まることが予想される金貨です。
マン島キャット金貨をさらに見たい方はこちらの記事をチェックしてください。
スイス射撃祭
代表的な金貨【フリーブルク 射撃祭 100フラン金貨 1934年】
概要 | 内容 |
発行国 | スイス |
発行年 | 1934年 |
額面 | 100フラン |
グレード | MS64 |
直径 | 31mm |
発行枚数 | 2,000枚 |
状態 | Proof FDC(完全未使用) |
射撃祭とは、スイスをはじめとするヨーロッパの一部で開催されてきたお祭りであり、実銃を使った射撃大会のことです。
スイスでは射撃祭を記念して、1842年から記念コインを製造してきましたが、政治的な理由で1939年に製造が中止されました。
しかし、1984年から製造が再開され、現在においても射撃祭においては記念コインが発行されていますが、1939年以前に発行されたコインと1984年以降に発行されたコインを区別するために、1984年以降に発行された金貨は現代射撃祭コインと呼ばれます。
今回紹介したフリーブルク州で開催された射撃祭の金貨は、1939年以前に発行された金貨であり、発行枚数も2,000枚と少ないことから高い希少性を持ちます。
スイス射撃祭の金貨は発行年により入手難易度や価値が大きく異なるので、収集や投資をする際は気を付けて購入するようにしましょう。
スイス射撃祭の金貨はこちらの記事でもさらに紹介しています。
ヴィットリオ・エマヌエレ
代表的な金貨【ヴィットリオ・エマヌエレ3世 100リレ金貨 1912年】
概要 | 内容 |
発行国 | イタリア |
発行年 | 1912年 |
額面 | 100リレ |
グレード | MS62 |
直径 | 35mm |
重量 | 32g |
品位 | .900 |
発行枚数 | 4,946枚 |
状態 | AU/UNC |
ヴィットリオ・エマヌエレ3世はイタリア王国最後の君主であり、本人もアンティークコインの収集家であったことが知られています。
自身の肖像が描かれるコインへの情熱も高く、古代ローマ帝国の時代に発行された金貨を参考に高いクオリティの金貨を多数発行しました。
アンティークコイン収集家の間ではイタリアの金貨といえばヴィットリオ・エマヌエレであり、現在の収集家の間でも高い評価を受けています。
ヴィットリオ・エマヌエレ3世の左向き肖像と豊穣の女神が描かれたこちらの金貨は彫りの緻密さ、デザインの秀逸さを大型金貨にすることで余すことなく鑑賞できるので、非常に鑑賞性の高い1枚です。
金貨としての完成度が高いだけでなく、一定の資産価値を持つことから、資産防衛にも適した金貨となっています。
イタリアの金貨についてはこちらの記事でも紹介しています。
イタリア アンティークコインの価値と歴史【10種類の金貨・銀貨】
金貨の種類に関するよくある質問
金貨の種類に関するよくある質問をまとめました。
- 投資に適している金貨の種類は?
- 金貨を購入できるおすすめの取引先は?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
投資に適している金貨の種類は?
投資をするために金貨を購入する場合は、その投資に適している金貨の種類を選ぶ必要があります。
例えば、金投資のために金貨を購入する場合は、K24で発行されており信用性も高いメイプルリーフ金貨をはじめとする世界3大金貨を購入するとよいでしょう。
一方で、アンティークコイン投資を始めたい場合は収集型金貨から価値の上昇が長期的に期待できる金貨を選ぶ必要があります。
投資の種類によっても適する金貨は変わってくるので、どの投資を始めるのかを確定させた上で金貨の種類を選びましょう。
金投資とアンティークコイン投資に共通するのはインフレ対策が目的だと思いますが、インフレ対策に適した投資について知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。
インフレ対策となる資産の3つの特徴とは? 資産を守る投資対象も紹介
金貨を購入できるおすすめの取引先は?
地金型金貨は貴金属店などで購入できますが、収集型金貨が購入できるのはコイン専門店です。
アンティークコイン投資や、コインの収集を目的に金貨を購入するならコイン専門店の「コインライブラリー・プリンシパル」があります。
当サイトでは金貨を含むすべての取扱コインの真贋と適正価格での提供を保証しており、真贋に関しては万が一にも贋作であった場合には永久買戻し保証で対応し、カタログや外国貨幣評価書に基づき価格を設定します。
収集型金貨は地金型金貨と異なり、価格が不透明で心配という方もいるかもしれませんが、当サイトはコインを適正な価格で売買できるプラットフォームです。
また金貨の買取も受け付けているので、金貨を売却したい方はこちらのページからお問い合わせください。
金貨の購入方法はこちらの記事でも紹介しています。
まとめ
金貨の種類を地金型金貨と収集型金貨で分けて紹介しましたが、お気に入りの金貨や、自分の目的に合った金貨は見つかりましたか?
収集をするだけでも楽しい金貨ですが、投資にも利用可能であり、投資に利用するなら収集型金貨を利用したアンティークコイン投資がおすすめです。
アンティークコイン投資について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。