<基礎> 【金商-11】株価指数(株価インデックス)への投資

株価指数(株価インデックス)について

世界の主要な取引所に上場されている株価の市場全体の値動きを測る指標として、各種の株式指数(以下「株価インデックス」と呼びます)が公表されています。
これらの株価インデックスは、上場されている全銘柄の株価を対象として指数化する場合や、その取引所を代表する主要な銘柄群に限定して指数化する場合があります。
また指数化する際の数理的な処理方法や、起点となる基準日の設定もそれぞれであり、同一の取引所全体の株価の値動きを表す指数といっても、それぞれの株価インデックスは、異なる動きや推移を示す場合もあります。

日本の東京証券取引所に上場されている株価については、日経平均株価指数(日経225)東証株価格指数(TOPIX)が代表的な株価インデックスとして各種メディアを通じて、ほぼリアルタイムで提供されています。
両者の株価インデックスは、上述の通り、指数化の方法等の違いにより、必ずしも全く同じ動きを示すとは限りません。
それぞれの株価指数についての詳細や特徴は後述致します。

株価インデックスへの投資とは

投資信託ETF(上場投資信託)は、個人の資産形成のための金融商品として欠かせない金融商品です。
そのなかでも、基準価格や時価が、株価インデックスに連動する(リンクする)ように設計された投資信託やETF(以下、「株価インデックスファンド」と呼びます)は、資産形成の基本である「長期・分散・積立」の定番商品として、近年、広く普及しています。

株価インデックスファンドは、個人での投資のように比較的小口資金でも、巨大ファンドと同質の現物株式分散投資が実現できることが最大の魅力です。

下図は、日経225インデックスにリンクする投資信託、或いは、ETFの仕組みについて、概略を理解いただくために、イメージ的に描いたものです。

例示の株価インデックスファンド(日経225リンク)の基準価格や時価は日経株価インデックスに連動(リンク)するように設計されています。
具体的には、株価インデックスファンドは、多くの小口投資家から資金を集めファンドとしてプールし、日経225株価インデックスと同じ構成割合で、225銘柄の現物株式に分散投資を行います
これにより、日経インデックスファンドの基準価格や時価は、一般に公表されている日経株価インデックスの動きとほぼ連動して動くことになります。

例えば、
ある投資家が日経225インデックス連動型投資信託を10,000円買ったとします。
その時の日経株価インデックスの終値が35,000円でした。
一週間後、日経株価インデックスの終値が36,000円と1,000 円上昇(2.86%の上昇)したとします。
保有している日経225インデックス連動型投資信託の評価額(時価額)は概ね10,286円(10,000円+10,000円×2.86 %)近辺になります。(除く手数料)

日本の株式市場の代表的な株価インデックス

日経平均株価指数(日経225)

概要
  • 「日経平均株価指数」は、日本経済新聞社が算出し、公表している株価指数です。
  • 日本を代表する株価指数として、世界的にも広く認知され、日本株式市場のベンチマークとして、その利用が進んでいる指数です。
  • 「日経225」「日経平均」などとも呼ばれ、東京証券取引所のプライム市場に上場する約1,800銘柄のうち、主要な225銘柄の株価をもとに算出されています。
  •  表示単位は円・銭
  • 源流となる株価指数は、1950年9月に東京証券取引所が算出を開始し、1970年7月から日本経済新聞社が引き継いだ経緯にあります。
算出方法

「225銘柄の株価合計」÷「銘柄数(225)」(株価平均型)

  • 株価の単純平均ではなく、株式分割や合併、採用株式の入れ替えで生じる変動が修正されています。
  • 株価が高い銘柄ほどウェートが高くなり、指数に与える影響も大きくなる株価平均型の指数です。
銘柄選定
  • 銘柄の選定は、日本経済新聞社によってなされ、年2回(4月、10月の第1営業日)銘柄の入替えが行われます。
  • 東京証券取引所の中でも、高いガバナンスが必要とされる銘柄が上場されているプライム市場から選定されます。
  • 「市場流動性」と「セクター間のバランス」が評価の軸となり、長期間の継続性の維持と産業構造変化の的確な反映という2つの側面を満たすことを目指します。
特徴
  • 株価が高い銘柄の影響を受けやすい
  • 上位の株価の動きが、指数に大きく影響する

東証株価指数(TOPIX)

概要

・「東証株価指数」は、「TOPIX」と呼ばれ、日本の証券取引所の運営母体である日本取引所グループ(JPX)の子会社であるJPX総研が1秒ごとに算出し、公表しています。
・日経株価指数(日経225)と同様に、日本を代表する株価指数としての地位を確立しています。

算出方法

「算出時の時価総額÷基準時の時価総額×100」(浮動株時価総額加重型)
・1968年1月4日の時価総額(株価×発行済み株式数)を基準指数100ポイントとし、この基準指数を用いて算出されます。
・表示単位はポイントです。
・株式市場で実際に売買され、流通する可能性の高い「浮動株」の時価総額をもとに算出する、浮動株時価総額加重型と呼ばれる算出手法を用いています。

銘柄選定

・2022年4月、東京証券取引所では4つの市場(東証一部・東証二部・JASDAQ・マザーズ)から、プライム・スタンダード・グロースの3つの市場へ再編されましたが、これら3つの市場から2,158銘柄が選定されています。(現時点では編成前の銘柄を継続採用)
・現在は市場編成後の移行期間中で、銘柄の見直しを実施している最中です。

特徴

・時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすい
・1つの特定銘柄の動きが指数へ与える影響は小さい

 JPX日経インデックス400(JPX日経400)

概要

・資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした、「投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成される新しい株価指数です。
・JPX総研及び日本経済新聞社が算出
・2014年1月、東京証券取引所の相場報道システムからリアルタイム(1秒毎)で配信

算出方法

「算出時の時価総額÷基準時の時価総額×100」(浮動株時価総額加重型)
・2013年8月30日の時価総額(株価×発行済み株式数)を基準指数10,000ポイントとし、この基準指数を用いて算出されます。
・表示単位はポイントです。
・株式市場で実際に売買され、流通する可能性の高い「浮動株」の時価総額をもとに算出する、浮動株時価総額加重型と呼ばれる算出手法を用いています。

銘柄選定の基準

・適格基準によるスクリーニング
上場後3年未満・過去3期債務超過・営業赤字・最終赤字および整理銘柄を除外
・市場流動性指標によるスクリーニング
直近3年間の売買代金、選定時の時価総額を基準に、上記スクリーニング後の上位1000銘柄を選定
・定量的な指標(3年平均ROE、3年累積営業利益、選定時時価総額)によるスコアリング
・定性的要素(社外取締役、女性役員の選任、IFRS採用等)による加点
定期銘柄入替
・毎年6月最終営業日を選定基準日とし、毎年8月第5営業日に入替銘柄を 公表のうえ、毎年8月最終営業日に銘柄定期入替を実施

特徴

・銘柄の選出基準にファンダメンタルズの考え方を加味した点が最大の特徴
・グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした、投資魅力の高い会社で構成されています。

日本の株価インデックス 比較

アメリカの代表的な株価インデックスの特徴

以下代表的な3つのアメリカの株価インデックスを表にまとめました。

  • NYダウ平均株価
  • ナスダック総合株価指数
  • S&P100株価指数

これらのインデックスに連動する投資信託やETFは、円建ても含め、日本でも数多く販売されていることから、最近では、個人投資家にも馴染み深いものとなってきました。どのインデックスのもに投資するか、銘柄選定をするにあたり、参考にしていただきたいと思います。

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