【海外赴任-2】海外赴任者の日本国内でのお金の管理(2) ~税金の取り扱いについて

 所得税

海外赴任者の所得税についての主要ポイント

海外で支払われる給与は課税対象外となります。

1年以上の海外赴任となる場合、住民票の除票手続きを行わなければなりません。それにより、税法上、非居住者扱いとなり、原則、赴任中に海外支店や現地法人から支払われる給与について日本の所得税は課されません。

国内で得る収入は課税対象となります。

日本国内で一部の給与が支払われる場合(家族が日本に残留する場合の諸手当など)や、給与以外の収入がある場合は、日本での所得税が課されるため、確定申告が必要となります。
また、会社役員の場合、国内法人の役員として得る報酬は海外赴任中の報酬でも日本の所得税が課されます。
この場合、海外赴任者に代わって日本で所得申告書の提出や税金の納付などを行う「納税管理人」(個人でも法人でも可)を、出国前に選定し、所轄の税務署に届け出をする必要があります。

(持ち家)家族が残留し居住する場合は、住宅ローン控除を受けられます。

会社の命を受けて、家族全員で海外に居を移した場合、住宅ローン控除の適用を受けることはできません。ただし、住宅ローン控除適用期間内に、家族のうち一人でも帰国し居住すれば、帰国日からその期限までの間、住宅ローン控除を復活することはできます。
また、本人が海外に居住していても、その配偶者或いは子供等が日本に残留しそのまま居住し続ける場合は、住宅ローン控除をうけることができます。

出国前の手続き

出国の年の1月1日から出国日までの間に支払われた給与について

毎月の給与から源泉徴収がされていますので、通常年末に行われる年末調整と同様に、出国前に、所得税の清算をする必要があります。
この手続きは、給与の支払い者である会社が行います。
同時に、以下の書類を所轄の税務署に提出します。

  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」
  • 「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」

給与収入が2,000 万円超の人や出国までの間に給与以外に所得のある場合

出国前に、以下のどちらかの手続きを行う必要があります。

  • 「納税管理人」を指定する
  • 出国までに確定申告を行う

持ち家(自宅)についての税金に関する留意事項

赴任中に持ち家を賃貸に出す場合

  • 賃貸収入が得られますが、不動産所得として確定申告をする必要があります。
  • 確定申告が必要ですので、「納税管理人」を指名して、所轄の税務署に届け出を出す必要があります。

住宅ローン控除を受けている場合

  • 家族が残留する場合は、本人が日本国内で収入がある場合、住宅ローンの所得税控除をそのまま受けることができます。
  • 会社の命を受け海外赴任となり、家族全員が海外へ居を移す場合、赴任期間中は、住宅ローン控除を受けることはできませんが、本人及び家族のどなたかが帰国し、その自宅に居住することになった場合、適用期限が到来するまで、住宅ローン控除を復活することができます。

固定資産税は海外赴任中も課税されます。

  • 持ち家を売却しない限り、たとえ非居住者となっても固定資産税は課税されます。
  • 「納税管理人」を指名して代理納付をするか、銀行口座を維持できる場合は、銀行口座振替の手続きをしておくことができます。

 

個人住民税

海外赴任者の個人住民税についての主要ポイント

1月1日現在において国内に住所を有しない場合には、住民税は課されず納税義務もありません。

  • 個人住民税は、所得税等とは異なり、前年度の所得に対して課税される税金であり、1月1日現在の住所の所在地の都道府県と市町村が課税します。
  • したがって、海外勤務者として出国し、1月1日現在において国内に住所を有しない場合には(前年の所得に基づく)住民税は課されません
  • ただし、すでに確定している住民税額の残額は、出国前の最後の給与で一括清算されることになります。
    あるいは、引き続き国内で一部給与が支払われる場合は、出国した年の5月まで、給与から特別徴収されることになります。
    住民税は後払いの仕組みであることに注意が必要です。

帰国の年の個人住民税

  • 帰国した年は、1月1日が帰国日ではない限り、住民税は課されません。
  • 帰国した年の所得に対し、その翌年の6月より、給与から特別徴収されることになります。

海外での課税について

海外赴任先で得る給料については、赴任地の法律に基づき税金を納める義務が生じます。
国によって、ぞれぞれ制度が異なり、税率や納入方法も日本とは大きく異なる場合もあります。
海外での個人の確定申告については、会社が、現地の会計士や税理士等に委託し、手続きをサポートしてくれる場合が多いですが、最終的には申告書に個人が署名し、所定の当局へ提出する必要があります。

財務省のホームページに主要国の個人所得税を比較した資料が掲載されています。
ご参考までに、URLを添付致します。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/itn_comparison/j02.htm

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