【社教-2】 政府の「人への投資」と「社会教育支援」

5年で1兆円規模の「人への投資と社会教育」

2022年2月、経済産業省「経済通産省の取組み」と題したペーパーにおいて、現在の日本経済の衰退の根本原因は、失われた30年ともいわれる時代に、官民とも「人への投資」を怠ってきた結果であると分析し、「リスキリング教育(新時代に必要なスキルの再構築)」の重要性を強く打ち出しました。

また、厚生労働省文部科学省を中心に、人生100年時代の生き方として、「リカレント(再教育)」を重視し、単なる既存の知識の詰込みやスキルの向上だけでなく、次のステージを切り開くため様々な力を養う必要性を強調しています。

加えて、2022年9月には、金融庁が、「貯蓄から投資へ」の実現をめざし、その基本となる金融リテラシー教育「国家戦略」と位置づけ、官民共同して取組む姿勢を明確にしました。

これらに呼応する形で、政府は、諸外国から遅れをとってしまった「人への投資」「社会教育支援」を推進すべく、関連する投資額を5年で1兆円とすることを公約しています。

また、日本経済の再生・デフレ脱却の実現・安定的な賃上げ実現のため、政府は、賃上げ労働移動の円滑化人への投資という3つの課題の一体的改革(労働市場三位一体改革)に取り組む方針を打ち出しています。

(参考)ライフマネーラボ/COLUMN/
「人への投資」~リスキリング、リカレント、そして、金融リテラシー教育

企業や学校に対する人材育成支援・助成金制度

人材開発支援助成金(厚労省)

  •  従業員の職業生活設計の全期間を通じて、会社が段階的かつ体系的な職業能力開発を効果的に促進するための助成金制度です。
  • 会社が、従業員の職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、政府は、その訓練経費や 訓練期間中の賃金の一部等を助成します。
  • 「人材育成支援コース」「教育訓練休暇等付与コース」「人への投資促進コース」「事業展開等リスキリング支援コース」などの7つのコースがあり、コースや企業の規模もよりますが、経費の75%が助成される場合があります。

(参照) 厚労省HP

高等教育機関における共同講座創造支援事業(通産省)

  • 会社が、大学や高等専門学校等の高等教育機関において、特定の分野に関連する高度人材を育成するために、講座やコース・学科等(共同講座)を設置し運営する事業に要する費用に対して、その一部を国が補助する制度です。
  • こうした取組を通じ、企業内の人材のリスキリングや、当該分野の学生の輩出を実現し、産業界のニーズに即した人材の育成の加速化を図るものです。
  • 共同講座への能動的な参加・学習・行動変容等を推進するため、共同講座によるリスキリングの成果等を評価し、従業員の処遇に反映する取組について、通常より高い補助率が適用されます。

(参照) 一般社団法人 社会実装推進センター(JISSUI) HP

デジタル人材育成プラットフォーム(通産省)

「マナビDX(デラックス)」の提供
https://manabi-dx.ipa.go.jp/what

  •  DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する講座を案内するサービスです。
  • 「マナビDX(デラックス)」は、デジタルスキルを身につける講座を紹介するポータルサイトとなります。
  • これまでデジタルスキルを学ぶ機会が無かった人にも、新たな学習を始めるきっかけとなれるように、誰でも、デジタルスキルを学ぶことのできる学習コンテンツを紹介しています。
  • 掲載している講座の中には、受講費用等の補助が受けられる講座もあります。

特定求職者雇用開発助成金~成長分野等人材確保・育成(厚労省)

  •  高齢者や障害者などの就職困難者を、ハローワークの紹介により雇い入れ、人材育成に取り組む会社に、助成金を支給します。
  • 未経験の就職困難者に対し、人材開発支援助成金による人材育成や、賃上げをした場合には通常の特定求職者雇用開発助成金の1.5倍にあたる最大360万円の助成金を支給する制度です。

(参照) 厚労省HPにある特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)の紹介ページ

公的職業訓練のデジタル推進人材の育成(厚労省)

  •  公共職業訓練や求職者支援訓練を実施する民間の機関に対して、WEBデザインやITといったデジタル分野の資格取得を目指す訓練コースの委託費などを増額し、デジタル推進人材の育成をめざす事業です。
  • デジタル分野の訓練コースの受講者に対しても、一定の条件を満たせば、職業訓練受講給付金(月10万円)を支給し、早期の再就職を支援します。

(参照) ハローワークインターネットサービス参照

成長分野で即戦力人材輩出に向けたリカレント教育推進事業(文科省)

  • 成⾧分野におけるリカレント教育推進は、政府の重点施策です。
  • 本事業は大学・高等専門学校等に対し、産業界や社会のニーズを満たすプログラム開発・実施・横展開に向けた支援を行うものです。
  • 同時に、大学におけるリカレント教育事業を定着発展させるため、ニーズ把握からプログラム開発を一体的に実施する体制整備を支援します

個人に対する支援・補助金施策

政府は、個人のリスキリングを促すことによって仕事の選択肢を広げ、成長産業への転職など、労働移動する流れを強める方針です。
これまでは、企業経由の補助金・助成金が中心でしたが、ここ最近では、リスキリングやキャリアアップをめざす個人にも直接届きやすいよう、個人向け支援を拡充させています。

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業(経産省)

  • キャリアコンサルタントなどの専門家へのキャリア相談リスキリング講座の受講、それらを踏まえた転職相談や職業紹介までを一体的に支援する事業です。
  • リスキリングやキャリアアップを考えている個人は、リスキリング講座を提供する企業が実施するキャリア相談や転職相談・職業紹介を無料で受けることができます。
  • さらに、リスキリング講座については、事業による補助が最大で受講費用の70%(上限56万円)分、講座提供企業を通じて受けられます。
    講座提供企業によっては、独自にさらに受講費用を値引く場合もあります。
  • 補助は2段階あり、まず、受講者は講座提供企業を通じて講座の受講費用の50%相当額(上限40万円)の補助を受けられます。
    さらに、リスキリングを経て実際に転職し、その後1年間継続的に転職先に就業していることを確認できる場合は、講座の受講費用の20%相当額(上限16万円)が追加で補助されます。

教育訓練給付金(厚労省)

  •  キャリアチェンジやスキルアップを目指して、資格取得のための講座や大学・大学院などを受講・修了した場合に、費用の一部が国から支給される制度です。
     教育訓練には
    一般教育訓練(雇用の安定に資するもの)
    特定一般教育訓練(速やかな再就職や早期キャリア形成に資するもの)
    専門実践教育訓練(中長期でのキャリア形成に資するもの)
    の3種類があります。
  •  ①の一般教育訓練は、中小企業診断士やTOEIC、TOEFL、日商簿記といった試験のための講座や、大学院などが対象となっています。
    受講費用の20%(上限10万円)が支給されます。
  •  ②の特定一般教育訓練は、社会保険労務士、税理士、行政書士といった試験のための講座や、ITSSレベル2以上のIT関係資格取得のための講座などが対象となります。
    受講費用の40%(上限20万円)が支給されます。
  •  ③の専門実践教育訓練は、専門職大学院(MBA、法科大学院など)や専門学校(ビジネス、デザインなど)、第四次産業革命スキル習得講座(AI、IoT、データサイエンスなど)などが対象となっています。
    最大で受講費用の70%(年間上限56万円)が支給されます

求職者支援制度(厚労省)

  •  再就職や転職を目指す人が無料の職業訓練を受講できる制度です
    一定の要件を満たせば、月10万円の給付金を受け取ることも可能です。
    訓練期間は2〜6カ月で、申し込みは、各地のハローワークで受け付けています。
  • 雇用保険に加入していないことなどが要件となっており、一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職をめざす人雇用保険の受給が終了した人などが対象として想定されています。
    給付金を受け取るためには、「本人収入が月8万円以下」「世帯全体の収入が月30万円以下」などの要件を満たす必要がある。

母子(父子)家庭自立支援給付金(厚労省)

  •  児童扶養手当の支給を受けているか、同等の所得水準にある母子家庭の母親や、父子家庭の父親が、教育訓練を受講・修了した場合に費用の60%(上限は講座によって20万〜160万円)を支給される制度です。
    対象となる講座は、教育訓練給付金の対象講座や、都道府県が対象とする講座です。
  • 看護師や介護福祉士、理学療法士、保育士などの資格取得のために養成機関で学ぶ場合、給付金が支給される制度です。
    世帯の収入状況や期間によって、月7万500円〜14万円の生活支援のほか、修了時には2万5千円(市町村民税課税世帯)5万円(市町村民税非課税世帯の給付を受けることができる。

キャリアコンサルティング(厚労省)

  • 「キャリアコンサルタント」の国家資格をもつ専門家が、ハローワークなどで労働市場や企業についての情報提供、リスキリングや求職活動のサポートをしています。
  • キャリアコンサルティングでは、自身の能力・強み、関心事や取り組みたいことを記した「ジョブ・カード」を作成し、自身のスキルやキャリアを見つめ直すこともできます。

社会人の大学等での学びを応援するサイト「マナパス」(文科省)

  • 「マナパス」は、リスキリングに取り組みたい社会人が「分野」「資格」「場所」「金額」といった条件で、大学・専門学校などの講座を検索できるポータルサイトです。
  • 個人だけでなく、社員向け研修を実施したい企業のための講座検索ページもあります。

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