【第7章】日米以外の主たる経済指標

グローバル化が進む世界経済

世界の名目国内総生産(名目GDP)

IMF(世界銀行)の発表によると、世界の名目GDPの合計は100兆米ドル(世界192か国合計)規模となっています。
内訳は、下記グラフの通り、米国が第1位で約25兆米ドル、第2位は英国を含むEU圏合計で約20兆米ドル、3位に中国で約18兆米ドル、そして日本が約4兆米ドルと続きます。

EU圏(英国を含む)の経済動向

EU全体(英国を含む)の名目GDPは、英国のEU離脱による影響により、経済的ダメージを受けながらも、ヨーロッパ経済圏をひとまとめにすれば、米国に次ぐGDPの規模を維持しています。

その中心となるのが、ドイツ経済であり、同国の経済動向がヨーロッパ経済のみならず世界経済に与える影響力は大きく、グローバル金融市場でも注目されています。

一方、英国は、BrexitによりEUを離脱したものの、世界の金融センターとしての地位は維持しており、世界中から投資マネーが流入する構図に変化はありません。
また、EUとの経済的依存関係は現在でも高いため、英国の経済動向が世界経済に与える影響も色あせることはないようです。
その意味でも、英国の経済動向から目を離すことはできません。

中国の経済動向

単一国家では、中国の台頭が著しく、米国に次ぐ経済大国になり、中国の経済動向がグローバル市場に多大なる影響を及ぼすようになりました。
最近では、グローバル金融市場においても、中国の景気動向を示す経済指標に注目が集まるようになり、結果次第では、金利や為替相場が大きく変動することも多くなってきました。

おさえておきたい欧州(EU諸国+英国)の経済指標

景況感指数

ユーロ圏総合PMI(ユーロ圏購買担当者景気指数)

HISマークイットが毎月、速報値を当月下旬に、確報値を翌月上旬に発表します。
ユーロ圏経済の現況と見通しについてアンケート調査を実施します。
一般に数値が上昇すれば、景況感が上向きであることを示し、下落すれば、景況感が悪化していると判断されます。

ZEW景況感指数

ZEW景況感指数ドイツで毎月発表される指数です。数値がプラスのときは、景気を楽観視している機関投資家やエコノミストのほうが多いと読み取れます。
逆に数値がマイナスのときは、景気が後退していると見ているほうが多いことを意味します。
ドイツ経済の景気の先行指標として注目度が高い経済指標です。

IFO景況感指数

IFO景況感指数は前述したZEW景況感指数と同様に、ドイツで毎月発表される指数です。
1991年時点を基準値=100とし、数値が100未満の場合は1991年よりも景気が悪いと見られており、逆に100以上だと1991年よりも景気が良いことを意味します。

物価動向

ユーロ圏HICP(統合ベース消費者物価指数)

HICPとは、ユーロ圏の物価上昇の度合い(インフレ)を見る指標である、消費者物価指数です。
欧州委員会の欧州統計局(ユーロスタット)が、月次ベースでその月の翌々月初に速報値として公表しています。
欧州中央銀行(ECB)が金融政策を実施していく上で、物価動向は重要な統計資料となるため、市場関係者では大変注目度が高い経済指標です。

おさえておきたい中国の経済指標

米国に次ぎ、単一国家では世界第2位のGDPとなった中国の経済動向は、グローバル経済に大きな影響力を持つようになりました。
中国経済の動向が、日米他、欧州の経済に対しても大きなインパクトをもつようになり、グローバル金融市場の注目になることも多くなりました。
ただし、中国の経済指標に関しては、近年急速に統計の整備が進みましたが、国家体制の違いによる面もあり、信頼性について、多くの疑問が残されていることも事実です。
十分に、注意して見ていく必要があります。

景況感指数

購買担当者景気指数(中国PMI)

国家統計局から毎月公表されます。製造業やサービス業の購買担当者を対象としたアンケート調査を実施しています。
一般的に、指標の数値が上昇すれば景況感は上向き、一方下落すれば悪化と判断されます。

マークイットPMI

IHSマークイットという民間調査会社があり、JPモルガンなどグローバルな金融機関と協力して、さまざまな国のPMI(購買担当者景気指数)を作成しているものの中国版です。
一般的には、グローバル比較の指標として世界30か国で公表されていますが、中国の場合、政府が公表するPMIのチェック機能を果たしていると言われています。

物価動向

中国の物価動向を測る指標としては、毎月、国家統計局が発表する消費者物価指数(CPI)及び生産者物価指数(PPI)があります。
インフレを測定する重要な手段であり、金融政策を決定する上で参考にする重要指標の位置付けです。

株価指数

中国の株価指数には、上海総合指数のように中国本土の証券取引所が算出している株価インデックスだけでなく、香港のハンセン指数のようにイギリス統治の時代から算出され続けている株価インデックスもあります。
上海株式市場は、未だに規制が多く、海外投資家などが自由に売買できる環境ではないことから、香港のハンセン指数の方が、中国経済の実態をより反映していると考えられています。

この記事は役に立ちましたか?

もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。

関連記事