マーケットトレンド
金融市場でのタイムリーな話題をテーマに採り上げ、その基本となる考え方や理論・原則をわかりやすく解説していきます。
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上場企業の自社株買いの功罪
上場企業が、自社株式を買い戻す(自社株買い)動きが活発化しています。日経新聞の報道によると、上場企業が自社株買いの限度額として、2023年中に取締役会決議した取得枠の合計が、約9.3兆円にのぼり2年連続で過去最高となりました。本稿では、● そもそも自社株買いとは何か● 上場企
イールドカーブが示唆することとは?
はじめに2022年のグローバルマーケットでは、「イールドカーブ」に注目する話題が多く出てきました。経済の変革期や市場の転換点において、「イールドカーブ」の形状の変化は、多くの重要なシグナルを私たちに送り続けてくれます。言い換えれば、マーケットの力が、「イールドカーブ」の形状を演出し、経済
世界を動かすFRB(通称FED) ~アメリカの金融政策のメカニズムとグローバルインパクト
FRB(FED)の利上げ(2022年)2022年3月、アメリカの連邦準備理事会は、それまで約2年間続けてきたゼロ金利政策から利上げ方針へと大きく政策転換の舵を切りました。3月16日に0.25%の利上げを発表して以来、9月までに5回、大幅かつ急激な利上げを継続しています。(表1参照)(
世界の注目を浴びる日銀の金融政策 ~異次元金融緩和の継続~
欧米主要各国の中央銀行がインフレ阻止をめざし次々と自国通貨の政策金利を上げる動きのなか、先進国で唯一、日本銀行(”日銀“:黒田総裁)だけがいわゆる異次元金融緩和を継続しています。結果としてPOINT・急激な円安の進行(2022年3月~9月でほぼ30円の円安)・日本国債市場の歪み拡大グ
「為替相場」を動かす要因を探るⅣ~ 為替相場を決定するファンダメンタルズ要因とは何か?
為替相場を決定する要因以下、中長期的視点から、為替相場の水準或いはトレンドについて、経済の基礎条件(ファンダメンタルズ)から分析していく諸説をご紹介していきます。為替相場の動きを分析する道具として、チャート等を用い過去の法則から将来を予想する「テクニカル分析」と合わせ、市場参加者にとって不可
「為替相場」を動かす要因を探るⅢ~ 外国為替市場の実際
外国為替市場「インターバンク」と「対顧客」マーケットインターバンクマーケット証券取引所のような具体的な場所はなく、ネットワークで繋がれたマーケットです。参加者は銀行等金融機関(以下「銀行等」)に限定され、専用端末から仲介業者(ブローカー)経由、或いは、直接相手先を探し取引します。市場は東
「為替相場」を動かす要因を探るⅡ~「変動相場制」移行後のドル円為替相場
固定相場制から変動相場制へブレトン・ウッズ体制 1944年7月、連合国44カ国が米国のニューハンプシャー州ブレトン・ウッズに集まり、第二次世界大戦後の国際通貨体制に関する会議が開かれました。 国際通貨基金(IMF)協定などが結ばれ、国際通貨制度の再構築や安定した為替レートに基づい
「為替相場」を動かす要因を探るⅠ~はじめに
為替相場(為替レート)が大きく動いています。本年(2022年)3月から約6ヶ月間で1ドル115円から145円(※1)とほぼ30円の円安となりました。これは、24年ぶりの円安水準となります。(※1) 9月22日 1ドル=145円を超えた水準で、財務省は為替介入を日銀に指示。24年ぶりの円買いド