【CLPアンケート調査(2022年12月)】「貯蓄から投資へ」を実践するフェーズ ~資産運用に関する意識及び実態調査報告(論点その1)

アンケート調査から見えてくる資産運用に関する社員の意識と実態

「社員の資産運用に関する意識及び実態調査報告」( by CLP)

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資産運用に関する意識及び実態調査報告
ライフマネーラボの運営母体である株式会社クレア・ライフ・パートナーズ(以下“CLP”)は、金融教育や資産形成並びに資産運用に関する意識及び実態を明らかにすることを目的として、2022年12月に全国の一般企業・団体の20代から50代の男女の正規社員・正規職員を対象としインターネットによるアンケート調査を実施し、1,111名から有効な回答を得ました。CLPは株式会社マクロミル社の協力を得て、アンケート結果の集計及分析を行い、2023年1月に報告書として纏め公表いたしました。

資産形成及び資産運用((※1)資産運用)への興味・関心度 (※2)<P32>

(※1)以下、本稿においては、資産形成と資産運用の両方の言葉の意味を含めて“資産運用”という言葉で表現いたします。
(※2)「社員の資産運用に関する意識及び実態調査報告」中の参照ページを示しています

  • 資産運用への興味や関心度は、全世代において男女とも7割前後が高い興味・関心を示している特に女性の30代・40代が顕著。
  • 年収や金融資産保有が多い人ほど、資産運用への興味は高くなっています。
  • 資産運用の経験がない層でも、その半数以上の者が興味・関心を示しています。
資産運用のどういうところに興味・関心が高いか? <P33>

第1位 節税対策
第2位 家計の見直し
第3位 税金の還付
第4位 投資による定期収入
第5位 投資による資産増加

  •  総じて健全、保守的、現実的といったところです。
  • 税金対策、家計見直といった資産運用の土台となる基本事項への関心度の高さが覗われる。
 何故、資産運用に関心を持つか? <P35>

第1位 公的年金だけで老後が不安だから
第2位 預金金利が低いから
第3位 公的年金だけでは老後の生活資金が足りないと言われているから

  • 世相を反映して老後の生活不安が、資産運用の動機となっています。“年金、2,000万円足りない問題”が重くのしかかっているようです。
  • 超低金利下で、銀行預金でお金が増えるどころか、実質目減りしていく現実に危機感を持ち、他の資産運用手段に関心をもつのは極めて合理的で自然であると考えます。
資産運用経験について <P36>
  •  全体の4割が現在資産運用を行っていて、過去の経験者も含めると約5割弱となります。
  • 経験者率は男性の方が女性より高く、男女とも40代が比較的高くなっています。また、年収が高い層ほど経験者率は高いことが分かります。
  • 金融教育経験者や金融リテラシーに自信のある層が、実際に資産運用を実施している割合が高いという結果が出ています。
「貯蓄から投資へ」は着実に浸透している <P37>

資産運用の方法についての実施経験/特徴理解度/興味及び利用の意向

  • 資産運用の実施経験ある人(全体の4割)のうち、資産運用として、約7割が銀行預金等のいわゆる安全資産の貯蓄性商品を利用し、約5割がNISA/iDeCo等の税制優遇制度を利用している。以下生命保険、株式投信、投資信託と続く
  •  特徴理解度は、貯蓄、生命保険、税制優遇制度の順となるが、興味の度合いと利用意向となると、税制優遇制度がトップとなります。
  •  これらのアンケート結果から、今後、NISA/ iDeCoの理解がより進めば、さらに、利用者の割合が増えることは明らかでしょう。
  • さらに、NISA/iDeCoは、政府の施策や制度改革によって後押しされていることから、「貯蓄から投資へ」の本格的なシフトが始まるものと予想されます
資産運用の情報源 ~フィナンシャルアドバイザーなどの専門家からの情報が期待されています <P38~P40>

資産運用の情報源として現在利用している情報、役に立った情報、今後利用したい情報

  • 現在の利用情報源、役立った情報源はSNS、Webサイトの情報の割合が高く、特に若年層に顕著
  • 今後利用したい情報源は、Webサイトの情報に続く第2位にファイナンシャルプランナー等の専門家がランクイン。今後期待が高まりつつある。
投資や運用の専門機関・専門家への相談意向 <P42>
  • 3人中2人は投資や運用の専門機関・専門家へ相談する意向がある
  • 投資や運用の専門機関・専門家へ相談したくない理由は?
    資産運用経験者→“都合のよい商品・サービスを薦められそう”
    資産運用未経験者&興味者→“相談先がよくわからない”
長期・積立・分散の投資戦略は、過半数以上の支持を得ています。 <P48~P50>
  •  全体の約半数以上の人が、長期、積立、分散投資の個人投資家初心者の基本原則についての理解度が高い。
  • 資産運用経験者や金融リテラシーに自信のある人は、7割から8割の人が長期、積立、分散の投資戦略を支持している。

「貯蓄から投資へ」を実践するフェーズ

なかなか進まない「貯蓄から投資へ」のスローガン

日銀の最新に資金循環表によると、2021年の家計の金融資産は2,000兆円を超えています。そのうち現金、預金が約1,100兆円と約54%を占めています
政府が「貯蓄から投資へ」のスローガンを掲げて20年近く経ちますが、これまでほとんど進展していないどころか、現金・預金の割合はむしろ増えている状況にあります。
(図表1ご参照下さい)
また、現金・預金の割合を欧米と比べると、米国の13.7%、ユーロエリア34.5%と、日本は突出して高い割合となっています。(図表2をご参照下さい)

出所:日本銀行 2022年資金循環表 説明図表

 

官民挙げての「貯蓄から投資へ」を実践すべきフェーズ

現政府は、資産所得倍増計画を掲げ、個人年金制度改革を行い、ほぼすべてのサラリーマンがiDeCoに加入できるようにしました。
またNISA制度恒久化と非課税枠の拡大を実施する決定をしました。
また、同時に、金融教育を国家戦略と位置づけ、これを強力に推進するための具体的施策づくりに入りました。
また、職域での金融教育推進のための税額控除のしくみを強化する方針です。

一方、上述のアンケート調査結果にみられる通り、会社で働く社員は資産運用についての興味・関心が高く、その必要性を理解していますが、基本的な知識の欠如や、資産運用を実践するうえでの数々の不安を持つ人がまだたくさん存在しています。

以上から、政府は、個人の投資推進体制整備及び税制改正を進め、企業は、福利厚生制度拡充の一つとして社員の資産運用に関わるサポートのしくみ等を導入し、社員の背中を押すことで、官民挙げての「貯蓄から投資へ」が実現できるのではないでしょうか。

その結果、社員の会社に対するエンゲージメント及び生産性が向上し、ひいては、日本経済の活性化につながるものと考えます。

社員が必要としていること
  • 資産運用についての基礎知識の習得の機会(セミナー、勉強会等への参加)
  • 金融リテラシー向上のための教育の機会(セミナー、勉強会等への参加)
  • 個々人のライフプランや資産運用に関する相談窓口等、気軽に専門家に相談できる機会
  • 各種資産運用に関わる信頼できる情報源(社内ポータルサイトの活用)
  • iDeCo加入のサポート
サラリーマンの資産形成術のご紹介

ライフマネーラボの資産形成ナレッジBKにおいて、資産形成に関する基礎情報、資料を掲載しています。

以下、社員の資産運用の基礎知識向上に資する記事をご紹介します。

<実用>【資形-7】サラリーマンの資産形成術(その1)~まずはiDeCo, NISAの活用で投資に挑戦!

<実用>【資形-8】サラリーマンの資産形成術(その2)~最強の運用法「iDeCo」が進化していく

<実用>【資形-9】サラリーマンの資産形成術(その3) ~新しい「NISA」のご紹介と資産形成術の

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