「社員の資産運用に関する意識及び実態調査報告」( by CLP)
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【ラボ掲載】資産運用に関する意識及び実態調査報告.pdf
ライフマネーラボの運営母体である株式会社クレア・ライフ・パートナーズ(以下“CLP”)は、金融教育や資産形成並びに資産運用に関する意識及び実態を明らかにすることを目的として、2022年12月に全国の一般企業・団体の20代から50代の男女の正規社員・正規職員を対象としインターネットによるアンケート調査を実施し、1,111名から有効な回答を得ました。CLPは株式会社マクロミル社の協力を得て、アンケート結果の集計及分析を行い、2023年1月に報告書として纏め公表いたしました。
アンケート結果から見えてくる社員の金融教育への意識と実態
金融・投資教育を受けたことがある者は4 人に 1 人。※<P54>
※「社員の資産運用に関する意識及び実態調査報告」中の参照ページを示しています。
- 金融・投資教育を受けたことがあると回答した者は24 %となっている。
- 「勤務先で受けたことがある」が 11 %と最も多い。
- 年収や金融資産が多くなるほど、金融・投資教育を受けた者の割合が高くなっている。
- 勤務先従業員規模別にみると、規模が大きくなるほど受講経験率が高くなるが、5000 人以上でも 2 割に満たない。
勤務先での金融・投資教育に満足している者は3 人に 1 人 <P33, P55>
- 勤務先で、金融教育を受けたことのあると回答した者(サンプルス125)のうち、36%が満足している。
- 一方、不満であるとの回答は20%となっています。
望ましい金融・投資教育のジャンルは? <P57>
- トップは「資産運用・資産形成の“基礎的な知識”を学べる事」
- 社員が望む金融・投資教育のジャンルとしては、資産掲載・資産運用の基礎知識や、具体的な運用方法が上位を占める
- また、女性を中心に、家計管理に関する知識を学べるような金融教育を望む声も3割を超えている。
勤務先で受講してみたい研修・セミナーの内容は?<P58、P59 >
- NISA/つみたてNISA・企業型確定拠出年金/iDeCo等の税制優遇がある資産形成のための制度についての研修やセミナーの人気が高い
- 公的年金制度や老後の生活資金に関するテーマや、ライフプランに関する研修やセミナーも高人気
- 社員の退職後の生活に対する漠然とした不安を解消できるような内容が好まれている
“お金に関するセミナー”と“ビジネス系のセミナー”の受講意向の重なりは大きく、両系セットでの実施は相乗効果が期待できる <P61>
例えば、ライフプランに関する研修・セミナーとNISA/iDeCoなどの資産形成に関する研修・セミナーをセットにして開催すれば、より効率的で、効果的であると言えます。
金融教育の政府の取り組み
金融教育は国家戦略
金融庁は、資産所得倍増計画のスローガンである『貯蓄から投資へ』を推進するためには、官民一体となり、金融リテラシーや資産形成に関する教育体制を構築する必要性があり、重要な国家戦略であると明確に表明しています。
具体的施策として
① フィナンシャル・プランナー制度の整備
フィナンシャル・プランナーは、個人の資産形成や家計管理などについてアドバイスをする専門家です。
政府は、フィナンシャル・プランナーの養成や普及を促進し、国民の資産形成につながる支援を行う方針です。
② 金融教育プログラムの提供
金融に関する基礎知識や資産形成に必要な情報を提供するもので、学校や地域の施設などで開催されています。
以下のインターネット上でも提供されています。
https://www.shiruporuto.jp/public/
金融広報中央委員会(愛称:知るぽると)は、都道府県金融広報委員会、政府、日本銀行、地方公共団体、民間団体等と協力して、中立・公正な立場から、暮らしに身近な金融に関する幅広い広報活動を行っています。
③ セミナーの開催
資産形成や金融商品の理解を深めるためのセミナーを開催しています。これは、各地域で開催されるもので、参加費用は無料です。セミナーでは、投資信託や株式投資などについての知識を身につけることができます。
④ 情報提供の充実
消費者庁や金融庁が、金融商品の情報提供や不正な販売業者の情報発信を行っています。また、金融商品やサービスの比較情報を提供するサイトもあります。
企業の従業員に対する金融教育施策への補助金や税制優遇
① 企業の金融教育で法人税減税
企業が講師を呼んで金融教育を充実した場合などに、費用の一部を法人税から差し引けるようにすることが検討されています。
(参考) ライフマネーラボ/企業様向け情報/社員教育関連
金融庁の2023年度税制改正への要望 ~資産形成促進支援のための法人税減
② 企業の従業員への金融教育に対する補助金の支給
政府や地方自治体は、職場での金融教育を推進するために、様々な形で補助金の支給を検討しています。
企業は金融教育へどう取り組むべきか?
上述のアンケート調査の結果にあるように、従業員の75%がこれまで金融や投資に関する教育を受けたことがありません。
- そして、社員は、企業の金融教育に対する取り組みは不十分と感じていて、今後、積極的に取り組むことを望んでいる
- 特に、資産運用や形成及び家計管理に関する事柄についての知識や知恵を身に付けたいと考えています
- 具体的には、NISAやiDeCo等のセミナーには多くの社員が参加したいという意向をもっています。
このような社員のニーズに、会社として前向きに応えていくことが、社員の会社に対する忠誠心(エンゲージメント)を高め、生産効率を向上させることに繋がります。
(参考)MUFG調査レポート『従業員エンゲージメントと 金融リテラシーの関係性について』
以下、金融教育として、企業が取り組むべき事項をまとめました。
社会保障制度や公的年金及び企業年金制度の教育を徹底する
例えば、立派な企業年金制度を持っている企業でも、社員がその仕組みや内容を理解できていない可能性があります。
それゆえ、社員は退職後の生活に対し過大な不安をかかえ、その不満が会社に対して向けられることもあるかもしれません。
また、健康保険制度や雇用保険制度についても、同様です。
給与や退職金の制度、その他会社独自の各種補償制度、および、お金にかかわる福利厚生制度の社員への情宣の徹底
社員の会社に対する忠誠心(エンゲージメント)向上のためにも、お金に関する制度を確りと、社員に理解してもらうことが重要です。
同時に以下に関する福利厚生制度の充実をはかる
- 金融・資産形成・運用に関する研修やセミナーの定期的開催
- 社員が外部の研修やセミナー参加に対する補助金の支給
- 社員のお金に関する相談窓口の設置
(参考)ライフマネーラボ/企業様向け情報
“お金についての相談窓口” の企業内設置が求められています ~資産運用に関する意識及び実態調査報告(論点その2)
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