【外為_第4章】外国為替取引~実需取引

実需取引と投機取引

外国為替取引には、その取引の目的によって、実需取引投機取引に大きく2つに分類されます。
本第3章では、以下、実需取引と投機取引の概略と、実需取引についての詳細について解説します。
また、投機取引についての詳しい解説は、第4章をご覧ください。

実需取引とは

実需取引は、一般的には、対顧客マーケットにおいて発生

それらは、銀行等を介して、インターバンクマーケットに流れ込み、中長期的には為替相場を動かす根本的な(基礎的な)要因になります。

輸出入などの貿易取引や、長期的な出資や投資等の資本取引に裏付けられて締結する外国為替取引

  • 貿易取引や資本取引といった経済活動に付随する資金取引(外貨の支払いや受取)が発生します。
  • 自動車や半導体部品メーカー等の輸出においては、外貨(主として米ドル)の受取りが付随します。
  • 原油や資源等の輸入においては、外貨(同様に主に米ドル)の支払いが生じます。
  • 日本の企業が海外の企業へ出資や買収する場合には、外貨の支払いが発生
  • また、反対に、海外の企業の日本企業への出資や買収には、外貨の受取が発生します。

その他の実需取引

  • 海外旅行に行く際、行先の外貨を購入します(外貨現金の受け取り)
  • 海外から日本に訪れる観光客は、自国通貨を円に交換して円現金(外国人にとっては外貨)を受け取り、それを支払い代金に充てます
  • 私たちが、資産運用のために外貨定期預金を作成することや、外貨建ての外国債券や株式を購入する場合、銀行の円預金から円を引き出し、外貨資金を受け取り、それらで外貨資産を購入します。

投機取引とは

実需の裏づけの無い外国為替取引は、投機取引とよばれています。
外国為替相場の価格変動リスクを積極的にとって、その値上がり益を得ることを一義的な目的とする為替取引をいいます。
詳細については、第5章「外国為替取引~実需取引」をご覧ください。

実需取引の取引イメージ

輸入に伴う外国為替取引(輸入為替)

一般に日本の輸入取引の決済通貨は米ドル(※)となるケースが多く、日本国内で、輸入業者による「米ドル買い/円売り」の輸入為替が発生します。

(※)日本の全輸入取引の約7割が「米ドル建て」となっています。
貿易や金融取引の資金決済で、中心的な地位を占めている通貨を「基軸通貨」といいます。
現在では、通貨価値への信任と利便性の2点について、他の通貨より勝っている「米ドル建て」が、圧倒的に高いシェアーを占め、各国の外貨準備も最大となっています。

 

輸出に伴う外国為

一般に日本の輸出取引の決済通貨も米ドルとなるケースが多く、日本国内で、輸出業者による「米ドル売り/円買い」輸出為替が発生します。

(※)日本の全輸出取引の約5割が「米ドル建て」

海外企業への出資等に伴う外国為替

(参考:外国為替が発生しないケース)

出資する日本企業が、国際的に信用力がある場合(現地通貨建て債券の発行や金融機関借入が可能な場合)には、外貨資金取引で完結し、外国為替が発生しません。

外貨預金作成に伴う外国為替

その他実需を伴う外国為替

  • 日本の居住者が海外出張や海外旅行で訪問先の現地通貨(米ドルやユーロや中国元、韓国ウォン等)の現金を購入する場合
    為替取引:現地通貨買い/円売り
  • 海外の居住者(外国人)がビジネスや観光で日本を訪れ(インバウンド)、円現金を購入する場合
    為替取引:現地通貨売り/円買い

(注)現地通貨によっては、現地や日本の法令、或いは銀行の都合により、日本国内において、現地通貨建ての現金を伴う外国為替取引ができない場合があります。

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