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本稿理解のために必要な基礎知識(記事) | 本稿と関連する記事 |
【資形-1】個人資産形成の考え方 | 【資形-3】ポートフォリオリスク減らす分散投資 |
投資のリスクとは
投資のリスクは、資産形成していく上で、まず第一に確りと理解しておかなくてはならない基礎知識です。
主な投資リスクは以下の通りです。
投資リスク・価格変動リスク
・流動性リスク
・信用リスク
・金利リスク
・為替変動リスク
・その他リスク
「【資形-1】個人資産形成の考え方」にて多少触れましたが、投資の世界では大変重要なポイントとなります。本稿では、より深く理解していただくため、基礎から詳細にご説明してまいります。
価格変動リスク
私たちが投資対象とする商品全てに価格変動リスクがあります。変動リスクがあるが故、投資商品として成り立ちます。この価格変動リスクが、収益(リターン)を生み出す源泉であり、資産形成の目的を達成するために向き合わなければならないリスクとなります。
とりわけ、上場株式、投資信託、債券といった金融商品は、日々取引が活発になされ、価格変動が目に見えるてしまうことから、私たちは一喜一憂してしまいます。
正しい資産形成の方法のもと、慌てず、少しずつ、長期間をかけ育てていくことが、個人にとっての資産形成の王道といえます。
2022年4月より開始した東京証券プライム市場には、選ばれし1,841社の株式が上場され、毎日、活発に取引されています。これらの株価は、毎日変動しますが、大きく上昇する場合もあれば大きく下落する場合もありますし、また、大部分が上昇している中で、ある銘柄だけは大きく下落することもあります。
投資の世界では、この株価が上下に変動することを、「価格変動リスク」と定義しています。リスクという言葉を使っていますが、一般に使われている危険というネガガィブな意味ではなく、上がるか下がるかの「不確実性」を意味しています。要は、株価が上がるのもリスク、下がるのもリスクであり、リスクが大きいという意味は、大きく儲かる可能性もあるし、大きく損失を被ることもあるということを意味しています。
まずこのことをしっかりと理解していただくことが重要となります.
流動性リスク
投資対象物(商品)を売りたい時に自由に売れない場合とか、希望価格での買取先が見つからない可能性があるリスクをいいます。換金性リスクとも言います。
すなわち、投資したお金を回収する際の難易度の問題になります。
個人が通常購入することができる金融商品のうち、上場株式、投資信託、国債等債券などは、平時であればあまり意識する必要のないリスクです。一方、同様に金融商品ながら、生命保険系の商品については、期限前解約は可能ながら多額のペナルティを課せられてしまうものもあります。
不動産等の実物資産への投資や、最近ではスタートアップやベンチャーといったプライベートエクイティ等の非公開株式への投資といったオルタナティブ投資も、個人投資家の対象商品として出現してきました。これらの商品は、そもそも、売却制限等の条件が課されていたり、買取先を探すのが困難である等、流動性(換金性)の観点からは注意が必要となってきます。
また、最近、投資対象としても人気があるアンティークコインや、ウイスキー樽投資なども、流動性リスクへ配慮が必要となります。
長期間の投資を基本とする個人の資産形成の観点から、流動性を放棄する対価として十分な見返りが期待できるのであれば、流動性リスクはむしろ積極的に取れるリスクの場合があります。但し、その前提として、確りとした資産形成計画(流動性資金確保)が必要であることは言うまでもありません。
信用リスク
株式や債券などの発行体の経営、業績不振により返済や償還ができない、または利息が返せない状況になる可能性がでてくるリスクをいいます。
発行体のリスクが高まれば、株式であれば価格が下がり、債券であれば信用リスクプレミアムが利回りに加算され(すなわち利回りが上昇)、価格は下落します。
なお、企業が債券発行するためには、然るべき格付け機関より格付けを取得する必要があります。格付け機関は、当該債券が発行されている期間、常に発行体の財務状況等を監視し、必要に応じて格下げや、格上げを行います。
当然、格下げになれば、当該債券の価格は下落し、利回りは上昇します。一方、格上げされるケースは、債券価格は上昇し、利回りは低下します。
信用リスクは、自動的に価格変動リスクに反映されることになります。従いまして、価格変動リスクの一要素として信用リスクがあると理解できます。
上場株式は、発行体が上場基準という厳しい審査(主に財務内容の審査)をクリアーしていることから、個人投資家が投資する際、一般的には信用リスクを強く意識する必要はありません。むしろ、信用状況が価格に反映されていることから、価格変動リスクの方を注視することが一般的です。
一方、債券については、格付けに応じて利回りが異なってきます。投資する際に、どれだけの収益を期待するかに応じて発行体の格付けを見ることにより投資判断することになります。
例えば、購入する債券の発行体の格付けを一段階引き下げれば、その分高い利回り(購入価格は安い)を得ることができます。
但し、一般的に投資適格と認定される最低ラインの格付け(BBB格)以上の発行体の債券購入が無難でありましょう。因みに、BB格以下の格付けの債券は、ハイイールド債やジャンクボンドと呼ばれ、発行体の倒産リスクが上昇してきます。
金利変動リスク
金利変動によって価格が変動するリスクをいいます。例えば、債券は構造的に金利が上がれば債券価格は下落し、金利が下がれば価格は上昇します。
債券だけではなく、実は株価にも金利変動リスクはあります。例えば、銀行株は一般に金利が下がれば売られる(価格が下落する)傾向がみられます。逆にIT系のハイテク株は金利が上がると、売られる(価格が下落する)傾向があります。
信用リスクと同様に、価格変動リスクに包含されるリスクとなります。
為替変動リスク
為替相場の変動によって、外貨預金などの外貨資産の円換算額が変動する可能性があるリスクです。
外貨預金を保有している場合、円安となると円換算額は増え、一方、円高になると円換算額は減ります。
信用リスク、金利変動リスク、と同様に、価格変動リスクに包含されるリスクとなります。
その他リスク
カントリーリスク
政治・経済の状況の変化によって証券市場や為替市場に混乱が生じた場合、そこに投資した資産の価値が変動する可能性のことをいいます。
法務リスク
インサイダー取引、AML(反マネーローンダリング)、個人情報保護法、守秘義務等は要注意です。
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