日本の通貨「円」について
日本国内で日常生活をしていく上で、私たちは、円の現金(キャッシュ)、或いは、銀行など金融機関に円預金の口座を保有していることが必要です。
買い物するにも、電気ガス水道などの公共料金を払うのも、レストランに行って食事をするにも、「円」で請求され、「円」で支払うことを求められるからです。
また、給料や報酬は、日本の企業にお勤めの場合は、ほぼ、すべて円で支払われるし、それに対する税金も円で支払わなければなりません。
最近は、キャッシュレス化が進んでいますので、支払い方法としては、クレジットカード、デビットカード、そして電子マネーといろいろありますが、その資金源となるお金は、基本的には、円の現金か、銀行などの金融機関の円の預貯金となります。
お金には、3つの役割(機能)があります。
1. 後で使うために「貯める」という機能があります。「価値の保存」
2. 欲しいものや必要なものを手に入れる手段となります。「交換の手段」
3. モノやサービスの価値を表現する尺度としての機能があります。「価値の尺度」
(参考) ライフマネーラボ/金融リテラシー向上/金融と経済 入門編
【第1章】まず「お金」について考えてみよう
日本政府が発行する「円」という「通貨」は、日本国内において、これら3つの機能が上手く働くように、日本政府が、日本の中央銀行である日本銀行を介し管理・統制しています。
日本に住む私たちは、円という通貨を信頼して、日常生活で発生する様々な取引に、安心して円を使用することができます。
ところが、日本を出て海外で暮らすとなると、日常生活においては、「円」は多くの機能を失います。
アメリカに住むなら米国ドル、そして、イギリスに住むならポンドの現金や銀行口座を持たないと、日常生活において、大変な不自由を感じることになります。
外国通貨(外貨)について
世界には、180種類程度の通貨があると言われています。
これらは、日本において円以外は全て外国通貨(外貨)となります。
世界の多くの国は、1つの通貨(自国通貨)を持ち、日本と同様に、政府や中央銀行などが、自国通貨を管理・統制しています。
しかし、中国では、本土においては人民元、返還後の香港では、香港ドルというように、ひとつの国に2つの通貨が存在します。
また、自国の通貨をもたない国として、リヒテンシュタイン(フランスフラン)やバチカン市国(ユーロ)が存在します。
さらに、欧州連合(EU)加盟国27か国のうち20か国が、通貨同盟を締結し、ユーロという一つの通貨を共有する国々も存在します。
また、世界には、経済上や歴史上の事情から、自国通貨をもちながら、ドル、ポンド、ユーロのような大国(及び通貨同盟国)の通貨に依存する度合いが高い国も多く存在します。
為替(カワセ)について
為替(カワセ)とは、遠方にいる取引相手に、現金を運ぶことなく、銀行を介すことで、お金の支払いや受取をすることをいいます。
例えば、東京に住む人(甲さん)が、函館から新鮮な生ウニを産地直送でお取り寄せする場合、その代金を現地水産加工会社(乙)の銀行口座に振込む(送金する)ことを求められます。
このように、遠方の銀行の口座に振込んで代金決済をする仕組みを「為替」といいます。
日本国内での円通貨についての為替を、「内国為替」と呼びます。
内国為替では、実際の資金は、全銀ネットワーク及び日銀ネットを介し、日本の各銀行が日本銀行に持っている当座預金勘定の残高移動により資金の決済が完了します。
(参考) ライフマネーラボ/金融リテラシー向上/金融と経済 入門編
【第3章】お金はどうやって動くの?(お金の決済のしくみ)
外国為替のしくみについて
上述の通り、日本国内での円通貨についての為替を「内国為替」といいました。
それに対し、海外との取引にかかわる異種通貨間の為替を、「外国為替」といいます。
例えば、息子(乙)がアメリカの大学に留学している東京在住の甲さんは、息子のアメリカでの生活費として、毎月1,000米ドルの仕送りをしています。
甲さんは日本のA銀行にある円預金口座から、毎月1,000米ドル相当の円預金をおろして、アメリカの銀行である米銀行Bに開設した甲さん名義の口座宛てに振り込む(海外送金)する手続きをしています。
この取引は、日本とアメリカ間、そして円通貨と米ドル通貨間の取引であり、円も米ドルも現金の移送を伴わない取引で、(広義の)外国為替となります。
外国為替の仕組みは、原理的には、内国為替と変わりませんが、以下の点で、少々しくみが複雑になります。
狭義の外国為替
外国為替は、一般に異種通貨間の交換があり、これを「狭義の外国為替」或は単に「外国為替」と呼びます。
英語では「Foreign Exchange」と呼びます。
上記例の場合、甲さんは、日本在住であり、A銀行に円の預金口座しかありません。
一方、息子の乙君は、アメリカの米銀行Bに米ドル口座しかありません。
そこで、甲さんは日本の銀行で、円を米ドル(1,000ドル)に交換して乙君の口座に送金します。
外国為替の決済のしくみ
外国為替の場合、内国為替のような全銀ネットワークや日本銀行当座預金口座が無いため、銀行間の個別契約(コルレス契約と言います)に基づく資金決済のしくみが必要になります。
さらに、上図の外国為替の仕組みの例とは異なり、米銀行BにA銀行名義の米ドル預金口座がない場合は、両銀行名義の米ドル預金口座を持つ第三の銀行(中継銀行)が必要となり、より複雑な仕組みになります。
外国為替についてのまとめ
外国為替には、広義には、異種通貨間の資金決済のしくみを指し、狭義としては、単に異種通貨の交換のことを指す場合があります。
一般に外国為替取引というと、米ドル通貨と円、ユーロ通貨と円を、ある比率(レートor 相場)で交換するという意味でつかわれることが多いですが、実は、米ドル資金と円資金、或いはユーロ資金と円資金、などの受取と支払い取引が同時に行われる資金取引と同じ効果をもつ取引です。
今後、外国為替取引や外国為替相場について色々詳しく解説していきますが、外国為替取引の本質は、異種通貨の受取と支払いの資金取引であることを思い出していただければ、理解しやすくなりものと思います。
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