<基礎>【相続-2】民法上の親族の基礎

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民法上の親族の基礎

親等

親等とは、親族間の遠近を示す単位です。

直系親族:その間の世数を数えます(祖父母と孫は2親等)
傍系親族:夫々の共同始祖に至る世数を合計します(兄弟姉妹は2親等・叔父/叔母と甥/姪は3親等)

親族の範囲

民法では、6親等以内の血族配偶者および3親等以内の姻族と規定されています。

<親族の範囲図>

出典:税理士法人 日本税務総研HP
https://tax365management.com/become-a-trusted-tax-accountant/relatives-and-marriages/

  • ( )内の数字は親等
  • この図は本人から見た場合を示しています。

親族関係の発生

(1)自然血族関係
出生によって発生します。
・嫡出子:父母が婚姻中に懐胎された子、親子関係は当然に発生することが推定されます。
・非嫡出子:夫婦関係にない女性から出生した子、父親が認知しない限り親子関係は発生しません。

(2)法定血族関係
養子縁組によって発生します。
・養子と養親の間に嫡出の親子関係が発生します
・養子と養親の血族の間にも自然血族関係が発生します
・養子縁組(普通養子)によって、養子と養子の実方の親族の間の血族関係も消滅しませんが、特別養子の場合は消滅します。

(3)親族関係の終了
自然血族関係
死亡により終了します。失踪宣言を受けた者は死亡とみなされます。

法定血族関係
離縁および養子縁組の取り消しにより終了します。
・養子と養親の関係および養子縁組により生じた血族関係も終了します。
・養子縁組の当時者の一方が死亡しても縁組に酔う血族関係は終了しません

配偶者関係
一方の離婚・婚姻の取り消しにより終了します

姻族関係
離婚婚姻の取り消しにより終了します
死亡により配偶者関係が終了しても、生存している配偶者が姻族関係終了の意思表示ない限り、姻族関係は終了しません

婚姻

(1)形式的要件
婚姻届を届け出することによって効力が生じます。

(2)実質的要件
婚姻意思があること

  1. 婚姻適齢~男女ともに18歳(2022年4月1日以降)
  2. 重婚の禁止
  3. 再婚禁止期間~女性は前婚姻の解消から100日経過後でなくてはなりません
  4. 近親婚の制限
  5. 直系姻族間の婚姻禁止
  6. 養親子関係者間の婚姻禁止
  7. 未成年の婚姻~原則、父母双方の合意が必要ですが、一方が同意しないときは他方が同意すればよいことになっています。

離婚

(1)協議上の離婚(協議離婚)の成立
・離婚届を届け出することにより効力を生じます。
当事者間に未成年の子がある場合、どちらかが親権者となるかを離婚届に記入する必要があります。

(2)調停・審判による離婚
・調停離婚~家庭裁判所における調停
・審判離婚~調停離婚が成立しない場合、裁判所の職権でおこなう離婚です

(3)裁判上の離婚
家庭裁判所の判決による離婚です。
離婚訴訟においては、最初に離婚調停を申し立てる必要があります。

内縁

内縁とは、婚姻届を提出していない「事実上の夫婦」を指します。内縁が成立するための条件
結婚の意志を持って夫婦生活を送ること(婚姻意思)
婚姻届を提出していないが、社会的に夫婦と認められる生活をしていること(夫婦共同生活の実態)
法律上の夫婦として認めれれない男女の結合関係をいい、
相続権は認められません

養子縁組

(1)養子(普通養子)縁組

普通養子縁組とは、通常の養子縁組のことで、特別養子縁組と区別するために、普通養子縁組とよばれます。
養子と養親・養親の血族の間に親族関係が発生します。実親との親子関係が解消されるわけではありません。
普通養子縁組によって養子となった人は、2組の親を持つことになります。
実親と養親の両方に対して、相続する権利や扶養を受ける権利(および義務)を持ちます。
・養子縁組の日から、養子は養親の嫡出子としての身分を得ます
養子は養親の姓を名乗ることになります

養子縁組の成立要件
・養親が成年に達していること
・養親が養子より年上であること
・養子が養親の尊属でないこと
・夫婦が未成年者を養子とする場合は夫婦共同で縁組すること
・夫婦の一方が成年者を養子とする場合は、他方の同意が執拗であること
・夫婦の一方が養子となる場合は他方の同意が必要であること
・養子が15歳未満のときはその子の法定代理人の承諾を得ること
・未成年者を養子とする場合は家庭裁判所の許可が必要であること

(2)特別養子

特別養子縁組の成立要件
・様々な事情で育てられない子どもを他の家庭で養育できるようにすることを目的に設けられた制度です
・養親は配偶者のある者でなくてはならないこと
・25歳に達していない者は原則として養親になれないこと
・養子となる子は原則として15歳未満であること
養子となる者の父母の同意が必要であること

特別養子縁組の効果

・養子と実方の父母およびその血族は、特別養子縁組によって終了します。
・実父母との間の相続関係は消滅します

 

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