9月22日、財務省は東京外国為替市場で24年ぶりの為替介入の操作を日銀に指示しました。2.8兆円規模とみられる額のドル売り円買いを実施しました。
折しも、日銀総裁が金融政策決定会合後の記者会見で、異次元金融緩和の継続を発表している最中、1ドル=145円を超え円安が進んでいた場面でした。
マーケット関係者は、今回の為替介入に対し、その効果を疑問視する意見が後を絶たちません。特に海外勢は、逆に勢いづいてしまったかのように見えます。
筆者も、日銀のイールドカーブコントロールのもと長期金利の力ずくでの抑え込みとあわせ、今回に日本単独での為替介入には、違和感を感じざるをえません。
この介入に大義名分があるのか?
『投機筋から市場を守る、そして、急激な為替の変動から日本経済への悪影響を廃除する』というお決まりの大義名分を掲げていますが、説得力がありません。
今回の円安の原因は、投機的な動きだけではなく、日米金利差および貿易収支の悪化等日本経済力の構造的な低下によるいわゆるファンダメンタルズに根差す部分が大きいとの見方が一般的です。また、円安以上に、ドル独歩高という局面でもあります。
海外のファンド、メディアはほとんど無関心
グローバルマーケットはよりダイナミックに動いています。特に、FEDの腰の据わった徹底的な利上げ方針を受け、ドルは対円だけでなく、対ユーロ、対ポンドに対し高値を切り上げ続けています。
東京マーケットで、日本政府単独による2.8兆円規模の介入を行ったとしても、グローバル市場では何の意味があるのでしょう? 因みに2019 年のBISのレポートでは、1日の円がらみの為替取引量はグローバル市場で1兆ドル(約145兆円)に達しています。
異次元緩和継続とドル売り為替介入の整合性がない
日銀は異次元緩和政策のもと、短期市場(マネーマーケット)、長期市場(国債市場)に大量の円を供給(放出)し続けています。
一方、ドル売り円買い介入するということは、市場(主に短期市場)から大量の円を吸収することになります。これが整合的な政策と言えるでしょうか?
この両政策は、明らかに排反するものであると見えます。
これらの批判を承知で、財務省は動いたのでしょうが、危険な1歩を踏みだしてしまったのではないかと危惧します。
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