<基礎>【年金-7】企業年金制度

企業年金制度とは

企業年金制度とは、会社が社員(サラリーマン)のために年金を支給するしくみです。

会社で働く社員は、原則、公的年金制度である厚生年金保険に加入し、退職後、65歳になると、老齢基礎年金(国民年金制度「年金の1階部分」)老齢厚生年金(比例報酬部分「年金の2階部分」)の給付を受けます。
さらに、企業年金制度をもつ会社の社員は、これらの公的年金に加えて、会社が社員のために支給する年金(企業年金「年金の3階部分」)の給付を受けることができます。
すなわち、企業年金制度とは、会社が社員の退職後の生活のために、公的年金に上乗せして年金を給付するしくみのことです。

企業年金の掛け金は原則として事業主(会社)が負担します。
一般的に、退職時に会社から受け取る退職金は、一括して受け取る場合「退職一時金」、年金形式で分割して受け取る場合「企業年金」と呼ばれています。
一時金として受け取るか、一時金と年金受取の併用とするかは、受給者(社員)が選択できる制度となっています。

企業年金は、もともとは退職金を分割で支払うようにしたもので、企業年金の種類や企業が定めるルールによって、それぞれ受け取り方が異なります。
企業年金制度は、企業の福利厚生の一環として設ける任意の年金制度であるため、退職金制度と同様に、導入している企業とそうでない企業があります。

サラリーマンの皆様は、退職後のライフプランとそれに備えた資産形成を行っていくうえで、ご自身が現在働いている会社が、企業年金制度を導入しているかどうか、そして、導入している場合、どのような種類で、どれだけの給付が見込まれるかをまず知っておくことが重要です。

企業年金の種類

確定給付企業年金(DB)

将来の年金受給額が確定している制度です。
事業主と従業員との間で、給付の内容をあらかじめ約束し、将来、従業員が一定の年齢に達した後、その内容に基づいた給付を受けることができる企業年金制度です。
給付内容があらかじめ定められることから、確定給付年金(DB:Defined Benefit)と呼ばれています。
年金資産は一括して運用管理され、運用のリスクは企業が負います。

確定給付年金(規約型)

労使が合意し、厚生労働大臣の承認を受けた規約に基づき、企業が信託銀行や生命保険会社などと契約を結ぶことで、実施されます。
年金資産の管理や運用は金融機関等が実施します。
年金の財政状況は、毎年度検証され、積立不足がある場合は、掛金を増やさなければなりません。
また、積立状況は、従業員への開示が義務付けられています。

確定給付年金(基金型)

企業とは別法人の基金を設立して、その基金において年金資産の管理や運営を実施する制度です。
掛金は企業が負担しますが、規約の定めと加入者(従業員)の同意があれば、加入者本人が掛金の一部を負担することができます。
加入者個人が負担した掛金は生命保険料控除の対象になります。

厚生年金基金

老齢厚生年金の給付の一部を国に代わって支給し、さらに一定の企業年金を上乗せして支給する制度です。
企業とは別の特別法人を設立して管理・運用を行うため、主に大企業で実施されています。
掛金は労使折半に限定されているわけではなく、規約により事業主の負担割合を5割以上にすることもできますが、加入者の割合を5割超にすることはできません。
2014年以降、運用環境の悪化により、新規の設立は認められていません。

確定拠出年金(企業型)DC

確定拠出年金(企業型)(DC:Defined Contribution)は、加入者自らの判断で、掛金の運用先を決め、その運用結果に応じて将来の受給額が変動する制度です。

  • 国民年金の第2号被保険者で、労使合意に基づき確定拠出年金制度を実施する企業に勤める従業員が対象となります。
  • 原則、会社が、毎月拠出金を負担します。
    ただし、規約に定めれば、個人(従業員)からの拠出(マッチング拠出)も可能となります。
    個人で支払った掛金は、小規模企業共済等掛金控除として所得税控除の対象となります。
  • 加入者(従業員)が自己責任のもとに運用し、将来の受取額が運用実績によって変動する年金制度です。
  • 運用リスクが加入者(従業員)となっている点が、最大の特徴です。(加入者の自己責任)
  • 年金資産は個人毎に運営管理機関にて管理されるため、転職時、積み立てられている残高をそのまま持ち出すことが可能です。(ポータビリティ)

確定拠出年金(個人型)iDeCo

以下の個人を対象とする確定拠出年金制度です。
元来、企業年金制度のない会社員(サラリーマン)とそれ以外の個人事業主学生のためにあった制度ですが、2022年5月から、対象者が拡大され、ほぼ、すべての国民年金加入者が対象者となりました。

対象者● 自営業者等の国民年金第1号被保険者
● 厚生年金保険被保険者(公務員、私学共済制度の加入者を含みます。企業型の確定拠出年金で事業主掛金が拠出限度額の範囲以上に設定している方や、マッチング拠出を設定している方は対象外となります)
● 厚生年金の被扶養者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(国民年金の第3号被保険者)

  •  自分で申し込み、掛金を毎月拠出し、自分で運用方法を選んで掛金を運用します。
  • 掛金とその運用益との合計額を給付として受け取ることができます。
  • ただし運用成績によって受け取り金額が変わってきます。(企業型と同様、自己責任での運用です)
  • 掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇措置が講じられています。
    掛金は所得控除の対象に、運用益は非課税に、給付一時金は退職金控除の対象になります)

(参考)ライフマネーラボ/資産形成ナレッジBK/資産形成と投資/
【資形-8】サラリーマンの資産形成術(その2)~最強の運用法「iDeCo」が進化していく

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