<基礎>【税金-8】所得税の源泉徴収制度

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【税金-2】所得税の基本的しくみ【税金-5】給与所得者(会社員)の所得税

源泉徴収制度とは

所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、 これらを自主的に申告して納付する、いわゆる「申告納税制度」が原則です。
これと併せて特定の所得については、その所得の支払の際に 支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されています。 

 源泉徴収制度の概要

給与や利子、配当、税理士報酬などの所得を支払う者(源泉徴収義務者その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、支 払金額からその所得税額を差し引いて国に納付する制度です。

復興特別所得税においても、平成25年1月1日から令和19年12月31 日までの間に生じる所得のうち、所得税の源泉徴収の対象とされている所得 については、所得税を徴収する際に、復興特別所得税を併せて徴収し、徴収 した所得税と併せて納付する源泉徴収制度が採用されています。  

源泉徴収税の清算の仕組み源泉分離課税:利子等、源泉徴 収だけで納税義務が完結します。
年末調整:給与に対する源泉徴収税の清算の手続です。
確定申告:報酬・料金等に対する源泉徴収税額の清算の手続です。

源泉徴収義務者

源泉徴収制度においては、源泉徴収に係る所得税や復興特別所得税を徴収 して国に納付する義務のある者を源泉徴収義務者といいます。
源泉徴収の対象とされている所得の支払者は、それが会社や協同組合である場合はもちろん、学校、官公庁であっても、また、個人や人格のない社団・財団であっても、全て源泉徴収義務者となります。
但し、以下の場合にいて、支払い者が個人の場合については源泉徴収する義務を負いません。
・常時、2人以下の家事使用人(例えば、家政婦などが該当します。)だけに給与や退職金を支払っている人
・給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人(例えば、給与所得者が確定申告などをするために税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません。)

2.所得税の源泉徴収税額を計算する

会社はもちろんのこと、個人であっても従業員に給与を支払う場合は、基本的に源泉徴収を行わなければなりません。

給与支払いの場合

給与から源泉徴収を行う場合、まず給与から厚生年金保険料、健康保険料及び雇用保険料などの社会保険料等を控除します。
(給与)-(健康保険料などの社会保険料等)・・・(a)
(a)のようにして求めた金額を国税庁が公表する給与所得の源泉徴収税額表を用いて求めることができるのです。以下の図で説明しますのでご覧ください。

<例1>
〇給与(月額)…650,000円
〇社会保険料等…48,000円
〇扶養親族等の数…3人


<例2>
給与(月額)…75,000円
社会保険料等…なし


甲欄とは給与所得者の扶養控除等申告書の提出がある時に用いられるもので、一方の乙欄とはその提出がない時に用いられるものです。
※日額表を用いた場合も同様にして源泉徴収税額を求めることが可能です。

報酬、料金支払いの場合

  • 原稿料や講演料、或いは、弁護士や税理士等への報酬等

源泉徴収税額は以下のようにして求めることが可能です。

支払金額(A)源泉徴収税額
100万円以下A×10.21%
100万円超え(A-100万円)×20.42%+102,100円

例)支払金額が150万円である場合
(150万円-100万円) × 20.42% + 102,100円 = 204,200
以上より、源泉徴収税額は204,200円と求めることができます。

  • 司法書士等(土地家屋調査士、海事代理士も含む)への報酬等

この場合、源泉徴収税額は以下のようにして求めることが可能です。
{(1回の支払金額)-10,000円}×10.21%
例)1回の支払金額が5万円である場合
(50,000 – 10,000) × 10.21% = 40,000 × 10.21% = 4,084
以上より、源泉徴収税額は4,084円と求めることができます。

利子所得等の場合

利子所得は銀行預金、公社債利子等で受け取る利子に対して課税され、20.315%が源泉徴収されます。
また株式の配当にかかる配当所得も一部を除き20.315%が源泉徴収されます。

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