雇用環境は経済循環の重要構成要素
経済活動の循環
経済活動は、消費(需要)、生産(供給)、雇用、所得で構成され、これらが循環するメカニズムが成り立っています。
このメカニズムが、好循環に入ると、景気は拡大局面に入ります。
景気の拡大
① 消費(商品やサービスに対する需要)が増加
② 生産(商品やサービスの供給)が増加
③ 賃金の上昇/雇用の拡大
④ 家計所得の増加
雇用環境
雇用は所得を生み出す源泉であり、その所得は、GDPの5割以上を占める民間最終消費支出の水準を決定する重要な要素です。
また、経済の循環メカニズムの中で、雇用環境は大きな影響力を持っています。
生産を生むための労働力が不足していれば、消費の増加にともなう生産の増加に対応ができないため、好循環が断ち切られてしまいます。
例えば、新型コロナ感染拡大が治まり、急速にレストラン等の飲食業に対する需要が拡大しているにもかかわらず、従業員が確保できず、売上げが伸び悩み、結果、飲食業全体の従業員所得も増えない状況が挙げられます。
市場関係者の注目度が高い雇用統計
労働調査
- 総務省が毎月調査を実施し、翌月末に公表します。
- 就業者数、不就業者数、完全失業率などを調査・推計した統計です。
- 標本調査として実施しています。約2,900調査区を選定し、その調査区内から選定された約4万世帯、及び、その世帯員が調査対象となりますが、就業状態は世帯員のうち15歳以上の者(約10万人)について調査しています。
労働力人口比率
- 15歳以上の人口に占める「労働力人口」の割合です。
(労働力人口/15才以上の人口)×100
- どれだけの人口が労働の意思と能力を持っているかを見るためのものです。
- 日本:2021年時点での厚生労働省のデータによると、2016年から2020年の間に、15歳以上の労働力人口比率は次のように推移しました。
2016年:60.4%
2017年:60.6%
2018年:60.8%
2019年:60.9%
2020年:60.5%
完全失業率
- 仕事を探しているが見つからず、また、その間に働いていない人のことを「完全失業者」と呼び、労働市場での求職者であり、現在仕事を持っていない人を指します。
- 完全失業率とは、労働市場において、労働力人口(求職者)のうち完全失業者の割合を示したものです。
(完全失業者/労働力人口)×100
- 完全失業率は、人的資源の活用度合いを示し、景気の動向を見る上で、市場参加者が注目している重要な経済指標です。
- 一般的に、完全失業率は、景気変動に遅れて変動する特性が認められ、景気動向指数(※)においては、遅行系列に採用されています。
(※)景気動向指数: 以下参照下さい。
ライフマネーラボ/金融リテラシー向上/経済指標入門/
【第2章】景気判断に必要な重要経済指標 第2章景気動向指数
有効求人倍率
- 有効求職者数に対する有効求人数の割合で、雇用動向を示す重要指標のひとつです。
- 景気とほぼ一致して動くので、景気動向指数(※)においては、一致指数に採用されています。
- 全国のハローワークの求職者数、求人数をもとに、厚生労働省が「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」で毎月発表しています。
- 「有効」とは、ハローワークでの有効期限を表します。ハローワークでは、求人・求職ともに手続きから2ヶ月間(翌月末)が有効期限です。
期限を過ぎた求人や求職は無効のため、「有効期限内の求人・求職者=実際の求人数・求職者数」となります。
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