本稿理解のために必要な基礎知識(記事) | 本稿と関連する記事 |
【資形-1】個人資産形成の考え方 | 【資形-3】ポートフォリオリスクを減らす分散投資 |
【資形-2】投資のリスク |
長期積立て投資
長期積立ては、小口分散投資(インデックス投資)とならび、個人の資産形成における投資戦略の定番として定着しています。
本稿では、定番たるゆえんについて、理解を深めるとともに、具体的な投資手法として、合理的かつ現実的な投資手法である「ドルコスト平均法」について、詳しく解説いたします。
時間の分散投資
「【資形ー3】ポートフォリオリスクを減らす分散投資」では、株式個別銘柄への一括投資と比べ複数の銘柄への投資をすることにより、ポートフォリオ全体の収益変動リスクを減じることができることを説明しました。さらに、株式市場を広くカバーする株式インデックスをベンチマークとする投資信託等により、個人でも手軽にかつ少額の資金から小口分散投資ができることを紹介いたしました。
本稿では、積立て方式の投資手法をとることによって、購入するタイミングを分散するする「時間の分散投資」について解説して参ります。
時間の分散投資の対をなす投資手法は、一括投資を行う手法ですが、的確な投資時期を捉えることは、常時マーケットに浸っているプロの投資家でさえ至難の業といえます。
個人の資産形成においては、目先の相場の動きに惑わされることなく、時間を有効に活用し、購入するタイミングを分散させることによって、収益の変動リスクを減少させることができます。
また、一般的に、個人の資産形成の原資となるお金は、毎月の給料で賄われるものであり、その意味でも積立て方式は、現実的な投資手法と言えるでしょう。
ドルコスト平均法
積立投資には、「定量購入」と「定額購入」という2種類の方法があります。「ドルコスト平均法」は、例えば毎月末日に、一定の金額を購入する「定額購入」にあたります。
ドルコスト平均法の最大のメリットは、価格が下がった時はより多くの株数を購入し、価格が上がった時はより少なくい株数を購入するメカニズムが内蔵されていることです。
上記表の例は、株価が上下運動を繰り返す相場展開を想定したケースです。
1年間で、ドルコスト平均法と定量購入方式の結果を比べてみると、
平均単価の比較・ドルコスト平均法の平均単価:105.969 (年末の評価益:27,213円)
・定量購入方式の平均単価: 112.083 (年末の評価益:21,500円)
という結果になりました。ドルコスト平均法の方が購入単価を低くおさえることができ、年末の評価益が定量購入方式より多くなっています。
ただし、留意する点は以下となります。
留意点・株価が一方的に下落し続ける場合は、評価損が増え続けます。しかしながら、定量購入方式や一括購入方式より評価損の額は少なくなります。
・株価が一方的に上昇し続ける場合は、評価益が増え続けます。しかしながら、定量購入方式、あるいは、一括購入方式の方が、多くの評価益を得ることになります。
プロに比べ、将来の株価の動きを予想する能力も、暇もない個人投資家にとってみれば、自動的に、保守的かつ合理的な投資行動を実現してくれるドル平均法は、とても便利で、効率的かつ有効な方法と言えます。
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