2023年総合経済対策 閣議決定(2023年11月2日)
政府は、11月2日、「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて」と題し、2023年総合経済対策を閣議決定し、閣議決定文書を発表しました。
ライフマネーラボが注目する2023年度総合経済対策のポイント
物価対策として、所得税・住民税減税、及び、低所得世帯に対する所得支援の給付を明記。
- 所得税3万円、住民税1万円の減税(法改正後24年6月に実施をめざす)
(22年度までの2年間の所得税・住民税3.5兆円の税収増の還元と位置づけ) - 低所得世帯への支援:1世帯当たり7万円追加
もっとも重要な経済対策施策として、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を強化する供給力の強化を強調
「年収の壁:106万円・130万円の壁」(年収が一定額を超えると社会保険料の支払いが生じて手取りが減る)への対策に向けた支援の新設
(「配偶者控除、扶養控除(増税)の見直し」は施策から除外)
(参考)ライフマネーラボ/マネーナレッジBK/税金
【税金-7】専業主婦が仕事を始める際に注意しておくべき点
ガソリンの価格上昇を抑える補助や電気・ガスの料金を差し引く措置を24年4月末まで継続することを明記
従業員の賃金を引き上げた企業への税優遇や補助金の拡充
個人がリスキリング(学び直し)に取り組みやすくするため「教育訓練給付」の補助強化
(参考)ライフマネーラボ/COLUMN
【コラム-5】「人への投資」~リスキリング、リカレント、そして、金融リテラシー教育
労働移動の円滑化(流動化)の施策として挙がっていた「退職金控除見直し(増税)」については施策から除外。
年金等社会保障改革(2025年以降)と一緒に議論する。
(参考)ライフマネーラボ/COLUMN
【コラム-8】退職所得課税制度の見直し~骨太の方針2023年に明記
2023年総合経済対策の概要 ~内閣府HPから抜粋~
経済の現状認識と経済対策の基本的考え方
● 高水準の賃上げや企業の高い投資意欲など、低物価・低賃金・低成長に象徴される「コストカット型経済」から、30年ぶりの変革を果たすまたとないチャンスを迎えている。足元では、賃金や設備投資が上昇し、賃金と物価が好循環する「新たなステージ」への光が差しつつある。
● 今回の経済対策は、日本経済を熱量溢れる新しい経済ステージへと移行させるためのスタートダッシュを図るためのもの。
- まずは、新たなステージへの移行に向けた動きを後戻りさせないため、足元の物価高から国民生活・事業活動を守る対策に万全を期す。
併せて、賃上げの流れを地方・中堅・中小企業にも波及させ、賃上げのモメンタムの維持・拡大を図る。 - 供給力を強化すべく、GX・DX・戦略分野への投資促進、スタートアップ支援などに取り組む。
- 人口減少を見据えた社会変革を起動・推進するため、デジタル行財政改革や人手不足等に対応する制度・規制改革、こども・子育て支援や公教育の再生などに取り組む
● 予算措置のみならず、税制や規制・制度改革を総動員。
※ 税制措置については、2023年末の令和6年度税制改正において検討し、結論を得た上で、次期通常国会に法案を提出する。
総合経済対策5つの柱
総合経済対策の規模
- 令和5年度補正予算における一般会計追加額は、13.1兆円(重点支援地方交付金による低所得者世帯向けの支援1.1兆円を含む)。
- これと定額減税による「還元策」及びその関連経費とを合わせると17兆円台前半程度と見込まれる。
総合経済対策の効果
経済押上げ効果
- 実質GDP換算 : 19兆円程度
- 年成長率換算 : 1.2%程度
(今後3年程度で上記効果が発現すると仮定した場合の単純平均)
消費者物価の抑制
- 効果: ▲1.0%pt程度
(参考) 内閣府 リリース文書(内閣府ホームページ)
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