<実用>【税金-補足12】 税額控除:住宅ローン控除【2022年改正】

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住宅ローン控除

住宅ローン控除は、2022年の改正で大きく変わります。

概要

  • 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
  • 控除の種類:税額控除 

個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得または増改築等をした場合、自己の居住の用に供するなど一定の要件を満たす場合には、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基にして計算した金額を居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除するものです。

主たる2022年改正のポイント

要件改正前改正後
入居期限2021年末まで2025年末まで
控除率1.0%0.7%
控除期間新築13年(※1)原則13年
中古10年10年
所得要件合計所得金額

3,000万円以下

合計所得金額

2,000 万円以下

床面積50㎡以上(合計所得金額が1,000万円以下等の要件を満たす場合は40㎡以上(※2)

※1 消費税10%への引上げに伴う特例措置
※2 改正後は2023年までに建設認可を受けた新築住宅に限る

  • 適用期限の延長:2025年末までの入居に適用されます。
  • 控除率が1% → 0.7%に引き下げられます。
  • 所得要件を合計所得金額3,000万円以下 → 2,000万円以下に引き下げられました。
  • 改正前の控除期限(新築案件)は、消費税率10%引き上げにともなう特例措置で13年としていましたが、改正後は、それを踏襲し原則13年としています。
住宅の種類2022~2023年入居2024~2025 年入居控除期間
新築住宅買取再販認定住宅(※3)5,000万円4,500万円13年間
ZEH水準省エネ住宅4,500万円3,500万円
省エネ基準適合住宅4,000万円3,000万円
その他の住宅3,000万円0円(※4)
既存住宅認定住宅/ZEH水準住宅/省エネ基準適合住宅3,000万円10年間
その他の住宅2,000万円

※3 長期優良住宅・低炭素住宅
※4 2023年末までに建設確認を受けた新築住宅については、2,000万円まで可

  • 住宅性能に応じた借入金残高上限の設定がなされます。
  • 入居時期に応じて借入金残高上限の設定がなされます。
  • 2024年以降省エネ基準を満たさない新築住宅は控除対象からはずされることが決まっています。

その他変更ポイント・改正前の既存住宅の築年数要件(耐火住宅25年以内、非耐火住宅20年以内)について、改正後は「昭和57年以後に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)に緩和
・2024年以降省エネ基準を満たさない新築住宅は控除対象からはずされることが決まっています。

住宅ローン控除の主な適用要件

取得者の要件
  • 取得日から6ヶ月以内に入居し、適用を受ける各年の年末まで引き続き居住していること。
  • 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
  • 入居年やその前後2年間に居住用財産を譲渡した場合の特例の適用を受けていないこと。
住宅ローンの要件
  • 金融機関等からの返済期間10年以上の住宅ローンを利用していること(親族などからの借入金は対象外。勤務先からの借入金は一定以上の金利が付されていれば対象となる)
住宅の要件
  • 新築または中古住宅の場合、床面積が50㎡以上(合計所得金額が1,000万円以下等の要件を満たす場合は40㎡以上)でその家屋の2分の1以上が自己の居住用であること
  • 「昭和57年以後に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)。
  • 増改築工事の場合、増改築後床面積が50㎡以上でその家屋の2分の1以上が自己の居住用であり、工事費用が100万円を超えること

留意点① 転勤などで居住しなくなると、居住していない間は控除を受けることはできないが、戻ってきて居住を再開すると残りの年数分の控除を受けることができます
② 所得税から引ききれなかった控除額は、所得税の課税所得額の7%までをよく年分の住民税から引くことができます。

Tips

控除額と控除期間

  • 控除額:年末ローン残高の0.7%
  • 控除期間:借入から13年間 (新築の場合)
  • 借入から10年間  (既存住宅の場合)

控除適用の手続き

  • 控除の適用を受けるためには確定申告が必要です。
  • 給与所得者の場合は、最初に適用を受ける年分について確定申告をすれば、翌年以降は年末調整で控除できるため、確定申告は不要となります。

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