「為替相場」を動かす要因を探るⅠ~はじめに

為替相場(為替レート)が大きく動いています。
本年(2022年)3月から約6ヶ月間で1ドル115円から145円(※1)とほぼ30円の円安となりました。これは、24年ぶりの円安水準となります。
(※1) 9月22日 1ドル=145円を超えた水準で、財務省は為替介入を日銀に指示。24年ぶりの円買いドル売りの為替市場への介入を実施しました。

私たちの自国通貨である円の価値が米国ドルに対し、6ヶ月間で約22%もの価値が低下した(切り下がった)ことになりますが、この急激な円安は本年3月ごろ日米の金融政策の方向性の違い(※2)が明確になったことが直接的なきっかけとみられています。

(※2)日米の金融政策の方向性の違い
米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備理事会)は、物価上昇抑制のため、政策金利を引上げ(5月0.5%利上げ、6月0.75%利上げ、7月0.75%、9月0.75%)を実施。6月から量的緩和政策で残高が積み上がった債券の残高圧縮を実施。一方、日銀は、現状国内景気下支えを優先し、いわゆる「異次元金融緩和」と呼ばれているマイナス金利政策及び量的緩和政策を当面維持することを決定しています。

(2022年9月現在

日銀による「異次元金融緩和」政策については、ライフマネーラボ/マーケットトレンド/金利・債券市場/「世界の注目を浴びる日銀の金融政策~異次元金融緩和の継続」において詳細を解説しています。  

1昨年から続いている原油価格や穀物価格の上昇による世界的な物価上昇の影響を受け、日本の輸入品価格が上昇しているところに急激な円安が加わり、円ベースの価格上昇圧力が加速しています。

物価上昇―円安圧力―日米金融政策の3つのキーワードが相互に絡み合い、現在、外国為替市場においてドル円為替相場は、1985年のプラザ合意以来の急激かつ大幅な為替相場変動に見舞われています。

マーケットトレンド/外国為替市場

ライフマネーラボでは、マーケットトレンド(外国為替市場)の扉に、“「為替相場」を動かす要因を探る”と題して、以下、3回に分け掲載いたします。

まず、まず第1回では、戦後の国際通貨体制がどのような背景を通じて現在に至っているかをご紹介します。
第2回では、一般の皆様方からは、ベールに包まれ、そして、どこか不思議な世界に見える「外国為替市場」の実態について、できるだけわかり易くご紹介したいと思います。
さらに、第3回では、本シリーズのメインテーマである「為替相場を決定する要因はなにか?」について、いわゆるファンダメンタルズ(経済の基礎条件)から諸説をできるだけわかり易い形でご紹介したいと思います。

急激に進むドル高円安の渦中、外国為替市場や為替相場についてのリテラシーを高めていただく上では絶好の機会かと思います。是非、ご覧いただきたいと思います

「為替相場」を動かす要因を探る

・「為替相場」を動かす要因を探るⅠ~ はじめに
・「為替相場」を動かす要因を探るⅡ~「変動相場制」移行後のドル円為替相場
・「為替相場」を動かす要因を探るⅢ~ 外国為替市場の実際
・「為替相場」を動かす要因を探るⅣ~ 為替相場を決定するファンダメンタルズ要因とは何か?

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