本講座は、「ライフマネーラボ」/「金融リテラシー向上」における第2弾の企画となります。
題目は、「経済指標 入門編」です。
今後、連載形式にて順次投稿して参ります。
本稿巻末に、今後の連載予定を掲載しましたのでご参照下さい。
経済指標の役割
新聞やテレビ、そしてネットの経済関係ニュースで、消費者物価の上昇率、経済成長率や失業率という言葉を耳にしたり目にしたりすることがあると思います。
これらは経済指標と呼ばれ、現在の経済や金融の状況を理解し、、将来を見通すうえでたいへん重要な役目を持っています。
各経済指標は、政府の担当各部署(省庁、局)がデータを集め、統計的に処理を施し、一定のルールのもと公表するものです。
時として、発表後、株価や金利、そして為替相場などの金融・証券市場は大きく揺れ動くこともあります。
財政政策を策定する政府の役人、および、金融政策を策定する日本銀行政策決定会合の役員にとっては、政策を立案するうえで根拠となる客観的な材料になります。
民間企業の生産者にとっては、現在の経済の状況が良いのか悪いのか(好況なのか不況なのか)、これから積極的に設備投資して生産を増やすべきか、減らすべきかの判断の材料になります。
金融・証券市場に関する仕事に従事している人達(資金・債券・株式ディーラー、債券・株式のセールス、そして、金融・証券アナリスト等)にとっては、リスク管理の基礎資料や商売のネタとして活用します。
ファンドマネージャーや機関投資家にとっては、投資戦略立案やポジション(リスクテイクの質と量)を調整するための基礎材料となります。
また、いわゆる投機筋や個人のデイトレーダーにとっては、経済指標の発表の瞬間が一つのイベントであり、リスクテイクの大きな機会を提供してくれることになります。
個人にとっては、日々の生活を賢く生き抜き、また、充実した資産形成を行うために、現在の社会全体の経済の状況を知り、理解しておくことも必要となってきます。
主な経済指標の基礎知識をもち、経済やマーケットのダイナミックな動きを理解することは、金融リテラシーを向上させるうえで大変意味のあることと思います。
経済指標記事の実例
「内閣府が14日発表した国内総生産(GDP)速報値によると、2022年の実質経済成長率は1.1%だった。」
(2023年2月14日付け日本経済新聞夕刊より抜粋)
経済指標の中でも最も重要な指標の一つと言える「国内総生産(GDP)」についての記事です。
このたった2行の文章ですが、経済指標について理解するうえで大切な基礎的事項が沢山盛り込まれています。
以下、列挙してみましょう。
① 「国内総生産=GDP」であることが分かります
② GDPを計算し、発表するのは、内閣府であることが分かります
③ 「(2023年)2月14日発表した国内総生産(GDP)速報値」とありますので、国内総生産の額は、2022年1月1日から12月31日までの総額であり、集計に約1ヶ月半の期間を要していますが、あくまでも「速報値」であることが分かります。
④ 「実質経済成長率」とありますが、「実質」(「名目」ではない)の経済成長率であることが分かります。
⑤ 「経済成長率」とは、国内総生産の前年比の増加率を意味すると推定できます。
従って、「2022年の実質経済成長率は1.1%」とあることから、2022年の(実質)国内総生産は、2021年の(実質)国内総生産に比べて1.1%増加しているということが分かります。すなわち
(2022年実質国内総生産-2021年実質国内総生産)/2021年実質国内総生産×100=1.1%
という計算になります。
以上色々なことが分かりますが,この経済指標のことをもっと理解するためには、さらに知識が必要です。
例えば、
- GDPの正式名称は?
- (国内総生産)GDPはどのように算出されるのか?
- 実質の意味は?(名目とは?)
- 速報値ということは、後日、どのように改訂がされるのか?
- 何故速報値が必要なのか?
- GDPの速報値を見て、金融・為替・債券・株式市場はどう動くか?
これらは、次回のライフマネーラボ/経済指標 入門/「第1章 経済成長の尺度~GDP」にて詳しく解説する予定です。
金融リテラシー向上/経済指標入門編 投稿予定
経済指標入門の第1章から第12章まで、日本における主要な経済指標についての基礎知識を蓄積してまいります。
同時に、経済指標が日本の景気や経済とのかかわりや、金融市場へどのような影響を与えるかについて解説していきます。
さらに、第13章、第14章において、海外の主要経済指標についても解説する予定です。
経済指標と金融市場のグローバルな繋がりも見ていきたいと思います。
<<金融リテラシー向上/経済指標入門編 投稿予定>>
※以下の投稿予定は、変更の可能性がありますことご了承下さい。
第1章 経済成長の尺度~GDP
第2章 景気判断に必要な重要経済指標
第3章 生産・在庫・出庫の動きから景気を読む~鉱工業生産指数
第4章 雇用の状況を知る~完全失業率と有効求人倍率
第5章 物価の状況を知る~消費者物価指数、企業物価指数と企業向けサービス価格指数
第6章 世界の金融市場を動かく米国経済指数~物価指数、雇用指数、その他主要経済指標
第7章 日米以外の主たる経済指標
第8章 日本の主な株価指数
第9層 世界の株価指数
第10章 マーケット指標の色々
第11章 金融収支(直接投資・証券投資)
(2023年10月改訂)
この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。